今もなお多くの人に愛されるフルーティスト、マルセル・モイーズ。
演奏家であり教育者であった彼はフルートへの愛に溢れ、その人柄と演奏は世界中の人々を魅了しました。
フランス革命期にパリ音楽院の設立に関わったドヴィエンヌから歴代の著名なフルーティスト達により古典派、ロマン派、近代へと発展し続けたフレンチ・スクールは現代、モイーズの真摯にフルートと向き合う探究心によって進歩し続けました。
その功績は多くのフルーティストによって継承され続けています。
今ではその実像に触れることはできませんが、彼が残した数々の教則本から彼のフルートへの愛情が伝わることでしょう。
今回、モイーズの教則本を「基礎教則本」「演奏・奏法について」「オリジナル練習曲」「編曲作品による練習曲」「モイーズ校訂による練習曲」に分類してご紹介します。
この機会に彼が残した教則本に触れていただき、彼と共にフルートの上達への道を歩んでみてはいかがでしょうか。


オリジナル練習曲
楽譜ID:2374

24の旋律的小練習曲と変奏(初級)
24 PETITES ETUDES MELODIQUES AVEC VAR.

奏 法 音/音程/アーティキュレーション/タンギング/半音音階/ターン/トリル
難易度 初心者 初級 中級 上級 最上級
シンプルで短いメロディと変奏曲からなる練習曲です。パリ音楽院の学生をはじめ、モイーズのレッスンを受講する沢山の生徒達が使用した練習曲で、約16小節の短いメロディ(主題)からフレーズの組み立て方、音色、タンギング、リズム変奏等、基本的なテクニックを習得するために作曲されました。今なお、多くの学習者のために使われる教則本です。

楽譜ID:2375

25の旋律的練習曲と変奏(中級)
25 ETUDES MELODIQUES AVEC VARIATIONS

奏 法 音/音程/アーティキュレーション/シングル・タンギング/ダブル・タンギング/トリプル・タンギング/跳躍/トリル
難易度 初心者 初級 中級 上級 最上級
「24の旋律的練習曲と変奏」のさらなる練習に取り組むために考えられた練習曲です。初級に比べ、フレーズが長くなり、跳躍する音、ダブル・タンギング、トリプル・タンギング、アタック等が変奏曲の中に展開されており、ただ技術練習をするだけではなく、フレーズを大切にしながら練習するように考えられています。
「24の旋律的練習曲と変奏」と「25の旋律的練習曲と変奏」の2冊は、基本的な音楽表現と奏法について作曲されましたが、この練習曲で学んだことが楽曲に活かされるよう考えられています。

楽譜ID:2389

48の技巧練習曲 第1巻
48 ETUDES DE VIRTUOSITE,1ER CAHIER

奏 法 アーティキュレーション/跳躍/トリル/タンギング
難易度 初心者 初級 中級 上級 最上級
オリジナル練習曲の上級に位置するこの教則本は、跳躍した音、アタック、スタッカート、トリル等を含む48曲が1巻・2巻に分かれて出版されました。モイーズのレッスンでよく取り上げられたアンデルセンの練習曲を活かした内容で、さらに近代の作品にも応用できる技術練習です。こちらの教則本も短いメロディ(主題)があり、メロディを基に緻密に考えられたリズム変奏が組み込まれており、モイーズのきめ細やかな練習方法を知ることができます。

楽譜ID:2390

48の技巧練習曲 第2巻
48 ETUDES DE VIRTUOSITE,2E CAHIER

奏 法 アーティキュレーション/トリル/半音音階/ダブル・タンギング/トリプル・タンギング/跳躍
難易度 初心者 初級 中級 上級 最上級
第1巻では主に♭系の長調、短調の練習曲、第2巻では♯系の長調、短調の練習曲が中心となっています。リズム変奏では、トリル、クロマチックスケール、ダブル・タンギング、トリプル・タンギングが取り入れられ、全巻で総合的に学習が出来るように深く考えられた練習曲です。オリジナル練習曲は音楽の基本的な部分から徐々に発展させ、より高い技術の習得を目指す教則本です。これらの練習曲を取り組んでいくことで音楽表現を豊かにし、フルートの魅力を引き出せるようモイーズの想いが込められています。