解説
J.シェラーは1768年にドイツのカッセル宮廷楽団でフルート兼ヴィオラ奏者を務めていたこと以外はほとんど知られていません。この曲はコペンハーゲンの図書館に所蔵される「3つの三重奏曲」の第2番で、4楽章構成で書かれた、バロックから古典派に移る過度期の様式です。メヌエットを除く1〜3楽章はバロック期の二部形式の名残を持ちながら、再現部が認められる古典ソナタ様式で書かれています。第1楽章Allegroは第1主題の16分音符と弾力のあるシンコペーションが各パートに重なり合って前進し、バロック風の第2主題が次々と模倣されます。第2楽章Andante[E]はE音上に優美なセレナード風旋律がさまよい、後半では属調[H]に転調してH音上に田園風旋律が流れます。第3楽章Allegroは分散和音上行形動機とシンコペーション動機が活発に躍動を続けます。第4楽章 Menuetto[e]は基本様式で書かれ、単純な分散和音の上下行する主題が典雅な古典を偲ばせ、Trioでは同主調[E]に転調し、明るい分散和音主題が明暗の対比を付けています。(解説/佐野悦郎)ニュース
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