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スタッフのおすすめ「フルートソロ、エチュード」 STAFF'S RECOMMENDATION
このコーナーでは、ムラマツのスタッフが、長年の経験から「これは!」と思う楽譜を、その目的や内容の解説付きでご紹介します。
定期的にご紹介する楽譜を更新して行きますので、皆様の目的に応じた「使える」楽譜が見つかることと思います。
アーノンクール・ニコラウス「古楽とは何か」(Book)
古楽とは何か〜言語としての音楽〜(翻訳:樋口隆一・許光俊)
楽譜ID : 32746
アーノンクール、ニコラウス / Harnoncourt, Nikolaus

古楽とは何か〜言語としての音楽〜(翻訳:樋口隆一・許光俊)
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2016年3月5日にニコラウス・アーノンクールが亡くなりました。指揮者として“マエストロ”と呼ばれ、昨年末まで古楽の世界だけでなく大活躍したので、フルートの世界でもご存じの方は多いと思います。1952年にチェロ奏者としてウィーン交響楽団に入団し、団員と語らってピリオド楽器によるアンサンブル「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」を創立。以後オーケストラでの活動のほか、チェロ奏者、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、コンツェントゥス・ムジクスのリーダーとして活躍し、アムステルダムのレオンハルト、ウィーンのアーノンクールとして人気を2分してきました。アーノンクールが“マエストロ”と呼ばれるようになったのは音楽活動の主体を指揮に移し、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルといった現代の楽器を使ったオーケストラも指揮するようになってからです。ピリオド楽器やピリオド奏法の経験を、現代の楽器や奏法にも生かし、アーノンクールの個性や考え方に裏打ちされた演奏は、賛否はありましたが、現代の楽器を演奏する数多くの音楽家たちにも大きな影響を与えました。しかし方法論というものは時が経つにつれて形骸化してしまい、表面的な真似事になってしまいがちです。「ノンヴィブラート、強いアクセント、短いアーティキュレーションがピリオド奏法だ」と言い切ってしまうのは論外としても。今ここでその原典に立ち返って根本を見直す時期ではないでしょうか。
「古楽とは何か –言葉としての音楽」(音楽之友社)は1982年に出版され1997年に翻訳された本で、アーノンクールが1954年以降に書きためてきた論文などをまとめたものです。「音楽と解釈への基本的考察」「楽器と言葉」「ヨーロッパのバロック音楽とモーツァルト」の3章に分けられた本書は、音楽の捉え方、考え方とその問題点、楽器と表現そしてアーノンクールの主張の中核をなす音楽に“話す”という表現を獲得すること、そして具体的なそれぞれの音楽に関する問題を論じた、刺激的で触発される内容です。ここに書かれていることはアーノンクールの主張ですし、全てではありませんが、半世紀以上も前からこのようなことを考え、実践をもって現代の音楽演奏に大きな影響を与えてきたことを考えれば、これから音楽を実践する人にとっての必読書のひとつと言ってもいいと思います。
この本を読んで興味を持たれた方は、さらに具体的な内容まで踏み込んだアーノンクール著の「音楽は対話である」(アカデミア・ミュージック)(商品ID:32833)を、またアーノンクールやウィーン・コンツェントゥス・ムジクスの活動はどんなものだったかを知りたくなった方には、モーニカ・メルトルが行ったアーノンクールへの取材をもとに書いた文章と、アンサンブル・ウィーン・ベルリンのファゴット奏者であっただけでなく、コンツェントゥス・ムジクスでのバロック・ファゴットの名手でもあったミラン・トゥルコヴィッチの文章で構成された「アーノンクールとコンツェントゥス・ムジクス –世界一風変わりなウィーン人たち」(アルファベータ)を読んでみることをお薦めします。そしてもちろん数多く残されたアーノンクールの演奏を聴いてみることも。
(SR)
バッハ四兄弟(Book)
バッハの四兄弟(オルフェ・ライブラリー)
楽譜ID : 32261
久保田慶一 / Kubota, Keiichi

バッハの四兄弟(オルフェ・ライブラリー)
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18世紀に「バッハ」といえば、ヨハン・ゼバスティアン・バッハのことではなく、次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハのことだったといいます。その後、ブラームスやシュピッタらの活動があり、バッハ全集の楽譜も刊行され、現代ではバッハといえばヨハン・ゼバスティアン。一時、息子たちのことは忘れられていました。
しかし、最近ではバロックから古典派の音楽への架け橋となった「前古典派」「多感様式」「音楽における疾風怒濤」などがクローズ・アップされると共に、その時代の中心的存在だったバッハの息子達の音楽に再び目がむけられるようになってきました。その楽譜を見、聴いてみると彼らの音楽は、それまでの時代とは異なった独創性を持ち、場合によっては時代を飛び越えたような近代性を感じさせる作品まであります。
著者の久保田慶一氏は長年、バッハの息子たち、特にカール・フィリップ・エマヌエルの研究を続けて来られた方です。名著「バッハの息子たち」の執筆から30年近く経った今、世界の最新の研究の成果を盛り込み、具体的な音楽の実例を引きながら、読みやすくまとめられたのが、この「バッハの四兄弟」です。
バロックから古典派へはフルート音楽の黄金期でもあり、数多くのフルート作品が残っています。それらの作品を演奏するときに、一度は目を通したい必読書としてお薦めします。(SR)
新しくなったクヴァンツのフルート奏法(Book)
VERSUCH EINER ANWEISUNG DIE FLOTE TRAVERSIERE ZU SPIELEN
楽譜ID : 33507
クヴァンツ、ヨハン・ヨアヒム / Quantz, Johann Joachim
フルート奏法[改訂版](訳:荒川恒子)
VERSUCH EINER ANWEISUNG DIE FLOTE TRAVERSIERE ZU SPIELEN
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バロック音楽の演奏法を勉強しようというときに必ず引き合いに出されるのがJ.J.クヴァンツの「フルート奏法」です。バロック時代の末頃にドイツで活躍したクヴァンツはフルートの名手であり、作曲家であり、当時のドイツの名君でフルートの名手でもあったフリードリヒ大王のフルートの先生でもありました。大王の先生ですから、当然給料も破格で、同じ宮廷で楽師を務めていたC.P.E.バッハの7倍近くもらっていたこともあるようで、これではエマヌエルも怒る(!?)かもしれません。
そんなクヴァンツが1752年に著した「フルート奏法(試論)」が、昔から名著と言われバロック音楽を勉強する必携書とされてきたのは、単にフルートの演奏法を語っただけの本ではないからです。クヴァンツはまず“良い音楽家になるための心得”を序章で述べています。そして第1章から第10章まででフルートの楽器のことや演奏法のことを述べた後、第11章は“良い歌唱法、良い器楽演奏全般”、第12章の“アレグロの奏法”、以下“装飾法”“アダージョの奏法”等々が語られ、その後に多くの紙数を使って、“伴奏者の義務”、“音楽家と音楽作品論”と続きます。これらの中には弦楽器奏者や鍵盤楽器奏者への記述も多く、当時の様々な演奏上のあり方や問題点が語られています。つまりこの本は「フルート奏法」とされてはいますが、その対象は弦楽器奏者や鍵盤楽器奏者にまで及び、あらゆる楽器に携わる人への啓発書にもなっているのです。この本は、後期バロック時代のベルリン周辺のドイツ音楽を知る上で大変貴重な資料と言うことができます。
さらに、この改訂版の特長は、本文について旧版の誤訳の修正や読みやすい和訳への変更にとどまらず、新たに訳者による「クヴァンツを巡る音楽環境について」と題する、当時のクヴァンツの周辺を語った70ページあまりの解説が付いていることです。この解説はこの本を読むためだけでなく、この時代の音楽状況を知る上で大変有益なものになっています。
ドイツ後期バロック時代の音楽がお好きなあなた!たとえ旧版をお持ちであっても、さらに得るところの大きい本書を是非手にとって読んでみて下さい。このように書いている筆者も買い直したひとりで、買い直したことに大変満足しています。
(SR)
フルートの神様 マルセル・モイーズの想い出(Book)
MY TEACHER, REMEMBERING MARCEL MOYSE (ENGLISH)
楽譜ID : 29092
Fries, Susan
我が師、マルセル・モイーズの思い出 (英語)
MY TEACHER, REMEMBERING MARCEL MOYSE (ENGLISH)
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「ソノリテについて」をはじめ多くの教本を著し、「フルートの神様」と呼ばれるマルセル・モイーズですが、1984年に亡くなってからもう25年以上がたち、若いフルーティストには実際どんな人だったのか、ご存じない方が多いことでしょう。 この本は、モイーズの弟子であった著者が師の思い出を綴ったもので、写真も多く掲載され、人柄がしのばれる数々のプライベートのエピソードはもちろん、レッスンの様子も垣間見られるものです。
たとえ全部通して読まなくても
“Without the heart, the brain cannot produce music.(心がこもらなくては、頭だけでは音楽は生み出せません)”
“Music is the language of love.(音楽は愛の言葉なのです)”
といったモイーズの言葉を拾い読みするだけでも、彼の音楽に対する真摯な姿勢が伝わります。
英語の本ですが、高校生くらいの英語力で十分読める内容ですので、フルートと音楽を愛するすべての人にぜひ読んで頂きたいと思います。(T)
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