Vol.22 白木 由美 先生

C.ドビュッシー
シランクス

この曲は元々ムーレの詩劇「プシュケ」の劇中に使う音楽として作曲されました。
ニンフ(精霊)のシランクスは牧神パンに一目惚れされ、にじり寄られ、逃げ惑ううち、川岸まで追いつめられて逃げ場を失い、川の妖精に祈って葦に姿を変えたと言い伝えられています。嘆き悲しんだパンは、その葦から笛を作りました。この曲が挿入された第3幕ではこの笛で吹かれたという設定です。
私がこの曲に出会ったのは大学を卒業してからです。
フルートに行きづまっていた私は、フルートをやめようか迷っていました。
そんなある日、当時名古屋フィルハーモニー交響楽団にいらした寺本義明先生にレッスンをしていただけることになりました。(実は名古屋フィルに入られたときから憧れの方だったのです)
レッスンでは音作りから丁寧に指導していただき、 一言一言が私にはとても新鮮でフルートを吹く楽しさを呼び戻してくださった気がします。
ある日のレッスンで「コンクール挑戦してみない？」とお声をかけていただいた課題曲がこのシランクスだったのです。

学生時代、エチュード中心のレッスンだったこともあり、あまり多くの曲を知らなかった私。
楽譜を見て、なんじゃこりゃ！？
変ロ短調の調性記号があるも調性感？？分からず．．．。
五音音階やら半音階フレーズ、全音音階！！
はじめは意味も分からず音を並べるだけで曲にならず落胆。
レッスンでは音列、音程、音色、ニュアンス、物語性など、 とても分かりやすくそして細かく教えていただき、 コンクールを迎える頃には大好きな曲になりました。

この曲をきっかけにフルートの世界に戻ってきた気がします。
実はフルート吹くよりもレッスンする方が好き。
大好きなレッスンをお仕事に導いてくれた大切な、そしておもひでの名曲です。

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