収録内容
バッハ、J.S. | フルート・ソナタ ロ短調 BWV1030 (DVD) | 阿部博光 |
解説
レッスンにおいて何度も登場する曲です。それだけに、当然演奏される機会も多いのですが、逆に演奏する場合においても、レッスンをする場合においても、夫々の人が夫々に何となく定番といったような考え方を持ち易い曲ということにもなります。 このテープでも、その冒頭に 「バロック音楽とその演奏解釈についての一般的な話」 が収録されています。シュミッツ先生の著書である 「演奏の原理」 の中でも触れている、いわゆる 「右グループ」 と 「左グループ」 の話が分かりやすく説明されていますが、その中でも、「矛盾点は重なり合い、極端に異なる物は相通じる」 という下りがあります。 このh−mollのソナタは、まさにその集大成と言っても過言ではないでしょう。 この曲が作られた目的、g−moll版とともに存在するバッハの自筆の楽譜などから広がるシュミッツ先生のこの曲に対するアプローチは、さすがにそれだけでも魅力的で、我々の持っている拙い定番のイメージをどんどん塗り替えてくれるのです。 確かに、我々が常識的に吹いていると思っているようなことが、その原則において考え違いであったり、また、頭では理解しているにもかかわらず、単純に楽器を吹くということに支配されてしまって思い掛けない結果を生み出しているなど、改めて考えさせられることが多いのと同時に、これが唯単にこのh−mollのソナタだけの話にとどまらす、バロック音楽全般の音楽に対する指針ともなり得るということを充分に教えてくれています。 例えば、装飾音符の中で「おおよそ」という長さを指定したかと思えば、細かい音符では、「バロック時代は、"偉大な小さな値の時代" だから」 と 「明確に、明瞭に」 ということを要求したり、早口でアーティキュレーションを歌ってくれるのですが、「他にも考え方はある」 と、何度も見直して、じっくりと考えさせる材料を沢山提供してくれています。解説●斉藤賀雄 東京音楽大学教授 元・読売日本交響楽団フルート奏者ニュース
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