解説
バルトークは、音楽院を卒業した直後から後輩コダーイと共に各地の民謡や民族音楽を収集しその方面の研究に大きな足跡を残していますが、自らの作品のなかにもその素材を活用し、西欧的な音楽伝統に留まらない独自の音楽を築きました。この曲集は、彼が民族音楽を用いた一連のピアノ曲のなかで最も重要な曲集の一つである 「15のハンガリー農民歌」 を原曲としています。P.アルマによる編曲は、原曲第6番のバラードを省略し、いくつかの曲でくり返しを付けたりフルート・パートに変奏させている他、曲の本質に触れる変更はしていません。第1の部分にあたる第1〜4曲は 「悲しい民謡 」と題され、メドレーで4つの民謡がルバートを伴って歌われます。ハンガリー民謡になじみのない方には、雰囲気がつかみにくいかと思いますが、譜面に書き込まれているテヌートやアクセントを生かして、自分自身の言葉を話しているように吹いてみてください。バルトーク自身の和声付けが斬新で、ピアノ・パートに喚起されて、曲に奥行きが与えられます。第2の部分にあたる 「スケルツォ」 は、哀調を帯びた第1部分と対照的にユーモラスな曲となっています。軽妙でこっけいな感じを出してみてください。第3の部分は、「古い舞曲」 と題され、9曲が配されています。第1曲後半のフルート・パートの派手なお囃子のようなパッセージはアルマによるものですが、笛の特性を生かした編曲といえましょう。最終曲は、バグパイプの伴奏のような効果を持っています。テンポ表示の変更を厳格に守って吹いてみてください。(解説/三上明子)ニュース
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