解説
ジュナンは、19世紀に活躍したフランスのフルーティストです。彼は1832年にアヴィニョンに生まれ、長く保養地として有名なヴィシーのオーケストラの首席奏者を務めた後、パリにあったイタリア劇場のソロ・フルーティストとして大いに活躍しました。オペラ劇場で脂の乗り切った歌手たちの歌いぶりを目のあたりにして、その歌とわたり合って技をみがいたであろう彼の作品は、自ずと、当時の白熱した音楽の現場を思い起こさせる出来ばえとなっています。「ナポリ民謡による変奏曲」は、一番有名な「ヴェニスの謝肉祭」に次いで、よく知られている作品です。(この2曲が特に有名なのはモイーズによる名演が残されているからでしょう)演奏効果に比べて、技術的なハードルが高過ぎないところにも、この曲の親しみ易さがあると思います。フルートの音域の選び方も無理がなく、アルペジョや、細かいアーティキュレーションをアピールしつつ、冗長にならずに展開し、ハ長調に転調してゆっくりとした歌をきかせて、フィナーレはホ短調に転じてボレロの形式で緊迫感を演出しています。(解説/三上明子)ニュース
関連サイト
注文ボタンのない商品につきましては、右上の「お問い合わせ」よりお願いします。