解説
A.ルーセルはフランスの印象主義と新古典主義の作曲家で、ストラスブール音楽院、パリのスコラ・カントルムに学び、ヴァンサン・ダンディに師事しました。原曲は「弦楽三重奏曲 Op.58」(Vn.Va.Vc.)(1937)で、有名なパスキエ・トリオに献呈されました。この曲を完全5度上に移調し、更に弦楽器の重音等は的確に処理し、原曲に忠実に全3楽章を編曲した作品です。I. Allegro Moderato 4/4 は近代の自由なソナタ形式、奇妙な現代風の響きの中、第1主題の分散和音動機が半音階の糸で結ばれ流れます。第2主題は上行旋法旋律が歌い戯れ、それに半音階的動機が絡みます。II. Adagio(espressivo) 3/4 はソナタ風に2つの主題を有し、減5度と完全4度音程を含む跳躍旋律、及びオクターヴと完全4度音程を持つ跳躍旋律が共に半音階的旋律に絡み合い現代的に響きます。中間部は新たな下行旋律に半音階的旋律の綾が次々と絡み、やがて主題が再現します。III. Allegro con spirito 6/8 はロンド形式で、ジーグ風分散和音と音階からなるロンド主題が乱舞し、それに挟まれ、前半・後半に奇妙で現代的な2つの挿入楽句が飛翔します。ルーセルはこの曲を7月10日に完成させ、その約1か月後の8月23日に心臓発作で亡くなり、これが最晩年の作品となりました。ニュース
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