解説
この四重奏曲は理想郷を情景描写した交響詩的小品と解釈します。単一楽章の三部の枠組みで書かれています。霧の隙間から朝日が輝き、牧場の羊たちが踊り、牧童がパンの笛を奏でる様をルネサンス民謡風の旋法で描いています。ダンス主題は切れ目なく色彩を変化(転調)させ、終始一貫して姿を変えて、輪舞(ロンド)の如く幾重にも繋がります。前半部は前奏で提示されたダンス主題が、前奏を含めて4回奏でられます。中間部のダンス主題は小刻みするリズム上に断片主題が乱舞し、更にそのダンス主題は拡大変容して飛翔するように舞い上がり、宙を覆い尽します。その背景には牧草と木立のざわめき、小川のせせらぎを自然描写した16分音符トリル音形と音階の同形反復進行が、さざ波の如く次々と押し寄せ、各パートにリレーされ繋がります。つまり、ドビュッシー風、ラヴェル風のフランス近代印象派音楽の響き、色彩に変化します。後半は前半同様にダンス主題が繋がり、コーダは中間部のさざ波状音階の背景から冒頭主題断片が乱舞して曲を閉じます。(解説/佐野悦郎)ニュース
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