スタッフのおすすめ「フルートと他の楽器」(ハープを含む)

このコーナーでは、ムラマツのスタッフが、長年の経験から「これは!」と思う楽譜を、その目的や内容の解説付きでご紹介します。
定期的にご紹介する楽譜を更新して行きますので、皆様の目的に応じた「使える」楽譜が見つかることと思います。

美しい女性に囲まれて・・・(Fl.Hp)

イギリス出身のウィリアム・オルウィンは、祖国でフルーティストと作曲家の二刀流で活躍しました。多才な彼は、ロンドン交響楽団のフルート奏者、そして英国王立音楽院で作曲の教授も務めました。オルウィンの作品は室内楽曲から交響曲に及び、ドキュメンタリー番組や映画音楽の為の作曲も数多く手がけました。作品には独自の十二音技法を用いて、繊細かつミステリアスな雰囲気を持たせています。
ライネッケ作曲の「ソナタ『ウンディーヌ』」やドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ムーケの「パンの笛」といった、ギリシア神話を題材とした作品はフルート吹きの皆様にはお馴染みですよね。
今回ご紹介する作品「ナイアデス」は、ギリシア神話に登場する「泉や川のニンフ(精霊)」を意味しています。全体にわたって美しい旋律が続く中で、時々怪しげな雰囲気や緊迫感のあるフレーズが見え隠れします。中盤には拍子が3/4のワルツに変わり、躍動感のあるパッセージが続きます。
ロマン派から近現代の楽曲を行き来するような、とても神秘的な作品です。演奏会のレパートリーとして是非お使いください。
【中・上級者向け】 演奏時間:約12分 (CK)

静かに、美しく輝く曲です。(2Fl.Hp)

フランス生まれ。ロマン派を代表する作曲家。表題音楽の創始者、ベルリオーズの代表作である「幻想交響曲」は特に有名な作品です。形式にとらわれない自由な管弦楽法は多くの作曲家に多大な影響を与えました。この曲はオラトリオ「キリストの幼時 Op.25 」の第三部で演奏される「二本のフルートとハープの為のトリオ」と題されており、信じがたいほど穏やかで、優美な曲です。ハープの代わりにピアノでも多く演奏されますし、チェンバロでも可能です。題材からクリスマスのコンサート等でも多く演奏されるようです。又、アンコール曲のレパートリーにもいかがでしょうか。
【中級者向け】 演奏時間:約7分 (Y/K)

フランス音楽の小品をお届けいたします(Fl.Hp)

ビュセールはパリ音楽院でフランク、ヴィドール、ギロー、グノーに師事しました。純フランス風な音楽をご賞味ください。この曲は当時のパリ、オペラ座の主席フルートソロ奏者、J.BOULZEに捧げられています。アンコール曲にもおすすめいたします。伴奏はピアノまたはハープになっておりますが、私はハープで演奏することをおすすめいたします。これらの曲を聴いていると、ブローニュの森を散策しながら、リスたちが楽しそうに遊んでいたり、白鳥が優雅に泳いでいる情景が目に浮かんできます。
(注、私はフランスに行ったことはありません) 
(Y)

フランスとアフリカ音楽の融合( Fl.Hp/Fl.Pf)

ジャン・クラ(1879〜1932)は、フランスの海軍士官として従事しながら作曲を続け、声楽曲や室内楽をはじめ様々な作品を残しています。音楽好きの両親に育てられた彼は、幼少期から音楽が大好きで、音楽の美しさに触れながら成長しました。アンリ・デュパルクから作曲を習い、海軍としてのキャリアを積み、作曲もあきらめることなく続けました。彼の作品は、海軍生活で訪れた国々の音楽が影響しており、今回ご紹介する作品も、西アフリカのパーカッションのパラフォンからインスパイアされて、1927年に作曲されました。
第1曲「Preambule」序奏。ハープのグリッサンドから始まり、フルートがハープの和音を受け継ぎ分散和音で奏でます。フランスの田園風景が思い浮かぶような優しく軽やかな響きが印象的です。
第2曲「Modere」モデラート。第1曲に続き、軽やかな舞曲風のメロディ。
第3曲「Assez lent」十分に遅く。音の動きが波のようで、中間部に向かって激しくなり、航海中の荒れた海のように揺れ動きます。交互に奏でる16分音符の刻みや、ハープの響きはパラフォンを連想させます。
第4曲「Danse a onze temps」11拍子のダンス。陽気で軽快なリズムをフルートの低音から高音まで使って演奏します。
この作品は、フルートとハープにために作曲されましたが、楽譜はピアノでも演奏できるように書かれています。ぜひ演奏してみてください。
【中級者向け】演奏時間:約15分(TO)

新刊紹介(Fl.Hp/Fl.Pf)

なんといってもフルートでも演奏される「ヴァイオリン・ソナタ イ長調」が有名なベルギー出身の作曲家フランクは、作曲だけでなくオルガニストとしても活躍していました。
「前奏曲、フーガと変奏曲」はもともとはオルガンのために作曲されたもので、彼の代表作の一つとされ、ピアノでもよく演奏されます。
タイトル通り三部からなり、前奏曲はアンダンティーノ・カンタービレ、ゆったりとした優美なメロディがどこかもの悲しげです。
フーガは荘厳なコラールからバッハを思わせるフーガ、変奏曲はアンダンティーノでアルペジオの伴奏が終始流れる中、前奏からのメロディの変奏が続きます。
今回ご紹介する楽譜では、マガリフが手を加え前奏曲の後にさらに即興的なパッセージを付け足し、フーガでは別の旋律を加え、変奏曲ではフルートの独奏曲を増やしているなど、オリジナルとはかなり異なるものになっていますが、全体的にゆったりととても美しい曲です。ハープとの演奏がおすすめですがピアノ伴奏でも可能です。なお弦楽伴奏版も出版されています
【中級者向け】 演奏時間:約15分 (T)

2本のフルートとハープの曲を紹介します(2Fl.Hp)

ゴーベールはフランス近代を代表するフルート奏者でもありますが、作曲と指揮の分野でも大変活躍し、フルートの作品を数多く残しています。
ハープ の奏でるリズムに乗って三度の和音を保ちながらゆっくりと流れて行く2本のフルートとのハーモニーは、ギリシャのどこまでも広がる真っ青なエーゲ海と白い建物が連なる風景を思い起こさせる一曲です。
(E)

トリオでイベールを(Fl.Vn.Hp/Fl.Vn.Cemb)

フルーティストにはおなじみのイベールの室内楽作品です。
今回ご紹介させていただく「2つの間奏曲」はフルートとヴァイオリンとハープの編成の曲です。ドンファンの物語を下敷きにした演劇“Le Burlador”の付随音楽として1946年に作曲されました。 フルート&ギター(or ハープ)で演奏される「間奏曲」はご存知の方も多いと思いますが、この「2つの間奏曲」は意外と知られていないのではないでしょうか。
1楽章(Andante espressivo)はゆったり流れるメロディとハーモニーが優雅でとても美しいです。2楽章(Allegro vivo)は1楽章とは対照的に、激しさの中にも異国情緒あふれる雰囲気が漂っています。 ハープに代えてピアノでも演奏可能です。演奏会や発表会で是非取り上げてみて下さい!
【中級者向け】 演奏時間:約7分30秒 (OU)

疲れたときの、この一曲。(Fl.Hp./Fl.Pf.)

ベルギーの作曲家ジョゼフ・ジョンゲン(1873-1953)の美しい小品です。1919年、第一次大戦の開始後に一家で移り住んだ英国の地で作られたとのこと。フルートとハープのための作品ですが、フルートとピアノの実用的な編成でも演奏できます。ゆったりと流れるような雰囲気で、繊細な和声の移りかわりやハープ(ピアノ)の上で響くフルートのメロディーが、とても魅力的です。ピアノと合わせる際も、ハープのきらっと輝くような音色を意識すると、より一層完成度が高まることでしょう。
ジョゼフ・ジョンゲンはベルギーのリエージュ出身。1897年にローマ大賞を受賞しました。同時代の作曲家にはフォーレ(1845-1924)、ダンディ(1851-1924)、リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)、また新ウィーン楽派のシェーンベルク(1874-1951)、ヴェーベルン(1883-1945)などがいますが、ジョンゲンは比較的分かりやすい、フランス近現代の音楽に通じるような作品を残しています。フルートにも充実した曲をいくつか残している、興味深い存在です。
(YS)

フルートだけではないフレンチ・スクール3

ハープというと豪華な装飾のついた王宮の調度品、というイメージがあるかもしれません。その優美なフォルムや音色から「楽器の女王」と呼ばれることもあります。これは、フランスのマリー・アントワネットがハープを嗜んだエピソードが知られていることもその理由の一つでしょう。そして彼女のハープを製作したのがハープ奏者で製作者でもあったジャン=アンリ・ナーデルマン、今回のフランソワ=ジョゼフの父でした。このハープはシングル・アクション・ペダル・ハープでまだ半音階が不自由でした。そして19世紀に入り、ピアノで有名なエラール社が1810年にダブル・アクション・ペダル・ハープを開発し、あらゆる調を演奏することができるようになると、コンサート楽器としての地位を確立し、多くの独奏曲が作曲され、オーケストラ内で効果的な使用がなされるようになります。
フランソワ=ジョゼフ・ナーデルマン(1781-1835)は1825年にパリ音楽院(コンセルヴァトワール)のハープ科の初代教授となった、ハープのフレンチ・スクールの祖と言っても良いでしょう。当時の名手J.-B.クルムホルツに師事した後、ハープ奏者として活躍しました。
《ノクチュルヌ》はやはり当時のフルートの名手であり、パリ音楽院の教授を務めたジャン=ルイ・チュルー(1786-1865)との共作によるヴィルトゥオーゾ小品です。華やかな序奏に続き、ロッシーニの歌劇《ウィリアム・テル》の第3幕第2場のチロル人の合唱のテーマによる素朴な中間部、軽快なロンドレットの3部構成です。それぞれ当時一流の奏者が作曲・監修しているので、それぞれの楽器の演奏効果が遺憾なく発揮されており、演奏会に花を添えてくれることでしょう。
ちなみに、チュルーが旧式の多鍵式フルートの擁護者であり、彼の退任後、初めてベーム式がパリ音楽院で採用されたように、ナーデルマンも旧式のシングル・アクョン・ペダルの擁護者で、彼の死去に伴う退任後、初めてダブル・アクション・ペダルが採用されたのは興味深いです。当時は機構が単純な代わりに、繊細な表現ができる楽器が好まれたのでしょう。
(2023年12月記) 【中級者向け】 演奏時間:約10分30秒 (M.N.)

フルートだけではないフレンチ・スクール1→楽譜ID:34035(デュヴェルノワ/三重奏曲 第1番)
フルートだけではないフレンチ・スクール2→楽譜ID:4843(バルボトゥー/スケッチ)

今宵のメインディッシュに是非どうぞ。(Fl.Hp)

シャポシニコフはロシアの作曲家で、ストラヴィンスキーと同じ時代に活躍しました。 オペラ、バレエ、管弦楽曲、室内楽、ピアノ曲等、様々なジャンルの作品を残していますが、 なかなか取り上げられる機会が少なく、知る人ぞ知る作曲家になっているようです。
この曲はフルートとハープの持つ美しく、優雅で、はかなげな雰囲気が充分に表されています。 作曲者が一時期ロシア(旧ソ連)南部の民俗音楽の発展に力を入れていた事もあり、なんとなく民族的な印象も受けます。 フランス近代の様な明るく、華やかな作品とは一味違った、秘めた美しさを持つ曲です。 ピアノでも可能ですが、ハープでの演奏をおすすめします。 ハープと競演する演奏会のプログラムに是非加えて頂きたい一曲です!
T Andante con moto   U Allegretto   V Allegro molto
【上級者向け】 演奏時間:約12分 (U)

憧れのハープと(Fl.Hp/Fl.Pf/Fl.CD)

優しい響きを持つハープとフルートのアンサンブルはとても美しく、イベール、ドビュッシー、モーツァルト、武満徹など多くの作曲家が作品を残しています。
いつかハープと一緒に演奏してみたいと憧れる方も多いと思いますが、なかなか機会が得られないという方がほとんどではないでしょうか。
今回ご紹介する楽譜には、カラオケとしては珍しい、プロの演奏によるハープの伴奏CDが付属されており、どなたでもハープとの共演が実現できてしまう一冊となっています。
収録曲は、映画ミッションより「ガブリエルのオーボエ」やフォーレの「シシリエンヌ」、宇多田ヒカルの「First Love」など様々な音楽ジャンルから選曲されており、全16曲の中から気分によって選べるのが嬉しいポイントです。
また、ピアノでも演奏可能な伴奏譜と模範演奏CD(Fl.+Hp.)も付属されており、充実した内容の贅沢な楽譜となっています。是非フルートとハープの極上の音色をお楽しみください。
※CDに収録されている曲は全16曲中、12曲です。
【初・中級者向け】(HS)