Drouet自身の演奏は、Nicholsonのように大きい音ではなく、鮮やかなアーティキュレーション、とりわけダブルタンギングに賞賛の声が高かったと云われています。 また、DROUETは、作曲や教本の執筆にも腕を振るい、1827年には大変優れた教則本「Méthode pour la Flute ou Traité complet et raisonné」がパリのIgnace Pleyel社から出版されました。Schott社(Mainz,1830年)、R.Cocks & Co(London,1830年)からも相次いでリプリントされた事からも、その教本の価値は多くの人々に認められ、求められたことが伺われます。
前置きが長くなってしまいました。今回ご紹介する「25 Études (25の練習曲集)」は、上記教本の第4部の練習曲集全46曲からの抜粋です。現在数種の出版社のものが出ていますが、どの版も、先ず教本46曲のNo.1からNo.24までを一様に並べています。楽譜購入の際に要注意なのは、25番です。練習曲集の最後にあたる25番目の練習曲のチョイスが版によって全く違った曲を選択しているのです。
Broekmans en Van Poppel B.V.社(Amsterdam) は、前2社とは全く異なるÉtude moduléeを25番に置いています。これは、Méthodeとは全く別のDrouetによるイギリス民謡 “The Blue Bells of Scotland (スコットランドの釣り鐘草)”の変奏曲です 【譜例2】。