チャイコフスキーがイタリアに滞在していた時に着想を得たためこの副題がついています。原曲は弦楽六重奏曲(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各2)という珍しい編成ですが、弦楽合奏として演奏されることも多いようです。
タイトルはイタリア風ですが、曲はイタリアをイメージさせるようなところはなく、チャイコフスキーらしいメランコリックさとかっちりした対位法が駆使された大曲です。
4楽章形式で、いきなり迸るような疾走感で始まる第1主題が印象的な第1楽章(Allegro con spirito)、メランコリックなカンティレーナが甘美な第2楽章(Adagio cantabile e con moto)、イタリアというよりはロシア民謡風な響きが面白い第3楽章(Allegretto moderato)、室内楽よりむしろ交響曲を思わせる壮大さのある第4楽章(Allegro con brio e vivace)からなり、どこを取ってもチャイコフスキー節が溢れる、晩年の隠れた名曲です。
フルートで演奏するには動きも早く難しいところもありますが、その分やりがいのある曲です。全曲では30分を超える曲ですので、一つの楽章だけ取り上げてもいいでしょう。編曲者のレインフォードは6人ではなくフルートオーケストラでの演奏が、音の厚みや息継ぎの点からも好ましいとしています。ぜひ大編成の合奏でトライしてください。
(上級者向け)(T)
【中・上級者向け】 演奏時間:約9分 (I)