2本フルートの編成で、W.F.バッハやテレマン、クーラウ、モーツァルトなど定番の名曲レパートリーをひと通りやってしまったお2人にご紹介したい1曲、それは、イタリア、フィレンツェ出身のユダヤ系作曲家カステルヌオーヴォ=テデスコの「DIVERTIMENTO」です。テデスコといえば20世紀ギター音楽の重要な作曲家の一人であり、映画音楽も有名です。フルートの作品では、ギターとのデュオで「SONATINA,OP.205」を聴いたことがある方もいるかもしれません。
こちらの「DIVERTIMENTO」は、3つの楽章で構成されています。聴きやすいメロディーと軽快なリズムの掛け合いが印象的な楽曲で、遊び心も感じられる洒落たデュエットです。
演奏会のレパートリーとしてもお使いいただけますが、楽章だけを取り上げてアンコールピースにも良さそうです。デュエットの新しいレパートリーにおすすめします。
T.Allegretto grazioso
U.Tempo di Siciliana Andantino semplice e melinconico
V.Molto Vivace e ritmico
【中・上級者向け】 演奏時間:約11分 (U)
二重奏曲集(教本)はたいてい生徒が上、先生が下のパートを吹きますが、この曲集では先生が上、生徒が下のパートを吹くように指定されています。1曲目はG, A, Hの3音だけですが、少しずつ使う音が増えていきます(音が増えた場合はNew Noteと書かれています。)ので、先生とデュエットを楽しみながら少しずつ運指を覚える事が出来ます。また、先生と一緒に吹くことにより、音符の長さを正確に吹く練習や相手の音を聴く練習が出来ます。 (I)
収録作品は、
G.B.Viotti/Serenata Concertante per due Flauti
L.Gianella/Duo Concertante per due Flauti
S.Mercadante/Duo Brillante per due Flauti
こちらの楽譜はイタリア古典派の音楽が堪能できる曲集です。
この時代のイタリアでは弦楽器の製作も盛んに行われ、北イタリアの小都市・クレモナで製作された弦楽器は、現代でも名器として知られています。
この時代に活躍したG.B.Viotti(1755−1824)はヴァイオリニストとしても活躍した作曲家です。彼の生涯はイタリアだけではなくフランス・パリでも大きな功績を残します。
彼の作品は、ヴァイオリン協奏曲の作品が知られており、この曲集はフルート二重奏で演奏できる貴重な作品です。
L.Gianella(1778−1817)はミラノ出身のフルーティストで、ミラノ・スカラ座のフルート奏者として活躍しました。1800年パリへ渡り、パリの劇場で作曲家としてオペラ作品など残しました。フルートの作品も多数残されており、彼のフルート協奏曲は多くの演奏家によって今でも演奏されています。
最後にS.Mercadante(1795−1870)はオペラの作曲家としても有名で、また器楽のためにも作品を残しています。フルート作品では「フルート協奏曲・ホ短調」が馴染みある作品ですね。この曲集の中では一番身近な作曲家かもしれません。
収録されている曲は、1曲が4〜5分とあまり長くなく、明朗快活なメロディは演奏者も楽しむことができます。また、「急-緩-急」のような展開する部分があり、テンポや曲調の移り変わりも面白いです。この曲集でイタリア古典派の作品を気軽に楽しんでみて下さい。
(TO)
J.S.バッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043』を2本フルートとピアノで演奏ができる楽譜をご紹介いたします。
『2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043』といえば、2つのヴァイオリンが美しくからみ合う、ドイツ・バロックの名曲で、フルーティストにとってもお馴染みの曲です。
この曲は『2台のチェンバロのための協奏曲BWV1062』 として編曲もされていて、こちらも名曲です。
原曲のヴァイオリンの響きを再現することはもちろんできませんが、あの優雅で気品あふれる音楽の重なりを体感することができます。ヴァイオリンの弓の動きやフレージングを思いながら演奏することは、フルートの曲を吹く時とまた少し違った発見があり面白いです。
バッハの美しい音の並びと調和が凝縮されたアンサンブルを、仲間との楽しみとして、またレッスンや合宿などで取り上げてみてはいかがでしょうか。
第1楽章 Vivace d-moll/第2楽章 Largo ma non tanto F-dur/第3楽章 Allegro d-moll (全て原調と同じです)
【中・上級者向け】 演奏時間:約14分 (U)
作曲者のデイヴィッド・ヒースは1956年生まれのイギリス人で、器楽曲からオーケストラ作品まで多彩な曲を書いており、ジェームス・ゴールウェイやナイジェル・ケネディなどが取り上げて演奏している人気作曲家の一人です。
この曲は、作者によると、中世ヨーロッパで異端として十字軍により虐殺された「カタリ派」がテーマで、音と表現の誠実さの美しさを通して永遠の真理に世界を戻し、洗礼を施すために、モンセギュール虐殺の灰の中から上昇する二人の偉大なカタリ派の笛吹きの物語です。
…というと難しそうですが、フェニックスのように現れる二人の魂の美しさを表現する、流れるようなメロディが印象的です。部分的に、カタリ派のメロディや中世の音楽がモチーフに使われているようで、耳馴染みの良い曲となっています。
二人のプレーヤーのうち、一人はピッコロ、一人はアルト・フルートとの持ち替えになります。3楽章からなり、第1楽章“The Last Song”は最後の祈りを思わせる静謐な曲、第2楽章”The Human Flame”は一転して燃え盛る炎をイメージさせるピッコロの激しいメロディが印象的です。第3楽章“Song of the Light – Return to Avalon”は不死鳥のように灰の中から立ち昇った笛吹きたちの魂が昇華していく様子が絡み合う2本のメロディであらわされた後、静かに終わります。
ぜひ演奏会などで取り上げてみてください。
【上級者向け】 (T)
フランスのフルーティスト・作曲家のトゥルーは、三度にわたってイギリスを訪れ、その時の印象をもとに2曲の「イギリスの思い出」幻想曲を作曲しました。1曲がこのフルート2本とピアノのためのもので、もう1曲はフルート三重奏(作品51)です。三重奏の楽譜は以前から出版されていましたが、この度二重奏版が復刻されましたのでご紹介します。 2曲とも同じ旋律を用いたアレンジが違うだけのほぼ同じ曲で、 3楽章からなり、第2楽章にはアイルランド民謡「庭の千草(The Last Rose of Summer)」、第3楽章には同じく「この世をさまよい(We May Roam Through This World)」がモチーフとして使われています。 2本の旋律が絡み合うというより、どちらかがソロをとってもう一方は伴奏または休みに回る部分が多く、技巧的な変奏やカデンツァで二人のフルート奏者が腕を競い合う、華やかな伴奏付二重奏と言えるでしょう。中級以上の方の発表会や、デュオ・コンサートなどに使えるのではないでしょうか。 (T)
この曲は数十年前から出版されておりますが、作曲家について調べることは出来ませんでした。この出版社から出ている楽譜はアメリカで学生の為の吹奏楽、副教材として出版されている楽譜が多く見られます。多分、この曲も初級者用に作曲されたと思われます。アメリカ民謡でよく知られている「アルプス一万尺」や「Mary's a Grand Old Name」などが、楽しくメドレーになっています。行進曲風に明るく、元気にアンサンブルを楽しんで下さい。 【初級者向け】 演奏時間:約1分 (K)
日本でも「バースデー・ソング」としておなじみの曲をフルート4本で演奏できるように編曲してあります。単に旋律と伴奏に分かれるのではなく、ちょっとジャズっぽく、ちょっと遊び心を効かせた大胆なアレンジです。バースデー・パーティーで主役が登場するとき、ケーキのロウソクを消すとき・・・。サプライズで演奏してみるのも良いのでは?最後はみんなで「HAPPY BIRTHDAY TO YOU!!」 (B)
ウルナは1973年プラハで生まれ、幼少期から音楽に親しんでいました。ドイツのライプツィヒ音楽院でファゴット、作曲、ピアノなどを学び、プルゼニのティル歌劇場やピルスナー交響楽団のファゴット奏者として活動しています。作曲家としては、ソロ楽器の協奏曲を得意としていますが、オーケストラ作品、音楽劇なども手がけているようです。
この曲のモデルとなっている『モンマルトルの小人』とは、フランスの画家、ロートレック(1864-1901)を指しています。フランスの貴族の家柄に生まれますが、少年期に足を骨折し足の成長が止まり、成人してもとても小柄でした。モンマルトルの歓楽街に住み、そこに住む人々を鋭い視線で描いていきました。はっきりとした輪郭の線と、大胆な構図、モデルとなった作品の登場人物を個性豊かにデフォルメする手法は、日本の浮世絵の影響を受けているそうです。父親との不仲や自身の身体の障害、モンマルトルでの奔放な生活等により、36歳の若さで亡くなっています。
曲は【Introduction】と【The joy of life】の2つの楽章に分かれています。全体的には細かいリズムと掛け合いが面白い、明るい雰囲気の曲です。アルト・フルートに独立した動きが多くあります。次々と変わる曲調をそれぞれの雰囲気を読み取って変化をつけると、曲にメリハリがつくのではないでしょうか。
演奏会のレパートリーとして、また友達と楽しむパーティーなどでもお使いいただけるでしょう。ロートレックの絵は、生きた表情と動きから描かれた人物の人柄まで伝わってくるような印象を受けます。4人の呼吸を合わせて表情豊かに演奏して下さい!
【上級者向け】演奏時間:約3分10秒/約8分45秒 (U)
ありそうでなかった、ディズニーのカルテット楽譜。
目次は以下の通りです。
“It’s a Small World”
“The Jungle Book”
“Pirates of The Caribbean”
“Peter Pan”
演奏会などで、リクエストに挙がるディズニー・ソングですが、意外に楽譜が無くてお困りだった方が多かったのではないでしょうか?難しくはありませんがアレンジも少し凝っていて面白いと思います。演奏会に、パーティーに、持って来いの1冊です♪ (O)
チャイコフスキーがイタリアに滞在していた時に着想を得たためこの副題がついています。原曲は弦楽六重奏曲(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各2)という珍しい編成ですが、弦楽合奏として演奏されることも多いようです。
タイトルはイタリア風ですが、曲はイタリアをイメージさせるようなところはなく、チャイコフスキーらしいメランコリックさとかっちりした対位法が駆使された大曲です。
4楽章形式で、いきなり迸るような疾走感で始まる第1主題が印象的な第1楽章(Allegro con spirito)、メランコリックなカンティレーナが甘美な第2楽章(Adagio cantabile e con moto)、イタリアというよりはロシア民謡風な響きが面白い第3楽章(Allegretto moderato)、室内楽よりむしろ交響曲を思わせる壮大さのある第4楽章(Allegro con brio e vivace)からなり、どこを取ってもチャイコフスキー節が溢れる、晩年の隠れた名曲です。
フルートで演奏するには動きも早く難しいところもありますが、その分やりがいのある曲です。全曲では30分を超える曲ですので、一つの楽章だけ取り上げてもいいでしょう。編曲者のレインフォードは6人ではなくフルートオーケストラでの演奏が、音の厚みや息継ぎの点からも好ましいとしています。ぜひ大編成の合奏でトライしてください。
(上級者向け)(T)
今回ご紹介する楽譜は、ヴィオラ二重奏からのアレンジです。フーガが充実した、二重奏の美しさとバロック音楽の面白さを再発見できる楽曲です。レッスンではもちろん、演奏会のプログラムや、気に入った楽章を取り出してアンコールにお使いいただいてもいいかもしれません。第1番F.60は原曲C-DurからD-Durへ移調されていますが、第2番F.61は原曲のままG-Dur。第3番F.62も原曲と同じG-Mollです。ヴィオラの名曲に挑戦してみましょう!
【中・上級者向け】演奏時間:約6分/約9分/約8分 (U)