J.S.バッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043』を2本フルートとピアノで演奏ができる楽譜をご紹介いたします。
『2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043』といえば、2つのヴァイオリンが美しくからみ合う、ドイツ・バロックの名曲で、フルーティストにとってもお馴染みの曲です。
この曲は『2台のチェンバロのための協奏曲BWV1062』 として編曲もされていて、こちらも名曲です。
原曲のヴァイオリンの響きを再現することはもちろんできませんが、あの優雅で気品あふれる音楽の重なりを体感することができます。ヴァイオリンの弓の動きやフレージングを思いながら演奏することは、フルートの曲を吹く時とまた少し違った発見があり面白いです。
バッハの美しい音の並びと調和が凝縮されたアンサンブルを、仲間との楽しみとして、またレッスンや合宿などで取り上げてみてはいかがでしょうか。
第1楽章 Vivace d-moll/第2楽章 Largo ma non tanto F-dur/第3楽章 Allegro d-moll (全て原調と同じです)
【中・上級者向け】 演奏時間:約14分 (U)
作曲者のデイヴィッド・ヒースは1956年生まれのイギリス人で、器楽曲からオーケストラ作品まで多彩な曲を書いており、ジェームス・ゴールウェイやナイジェル・ケネディなどが取り上げて演奏している人気作曲家の一人です。
この曲は、作者によると、中世ヨーロッパで異端として十字軍により虐殺された「カタリ派」がテーマで、音と表現の誠実さの美しさを通して永遠の真理に世界を戻し、洗礼を施すために、モンセギュール虐殺の灰の中から上昇する二人の偉大なカタリ派の笛吹きの物語です。
…というと難しそうですが、フェニックスのように現れる二人の魂の美しさを表現する、流れるようなメロディが印象的です。部分的に、カタリ派のメロディや中世の音楽がモチーフに使われているようで、耳馴染みの良い曲となっています。
二人のプレーヤーのうち、一人はピッコロ、一人はアルト・フルートとの持ち替えになります。3楽章からなり、第1楽章“The Last Song”は最後の祈りを思わせる静謐な曲、第2楽章”The Human Flame”は一転して燃え盛る炎をイメージさせるピッコロの激しいメロディが印象的です。第3楽章“Song of the Light – Return to Avalon”は不死鳥のように灰の中から立ち昇った笛吹きたちの魂が昇華していく様子が絡み合う2本のメロディであらわされた後、静かに終わります。
ぜひ演奏会などで取り上げてみてください。
【上級者向け】 (T)
フランスのフルーティスト・作曲家のトゥルーは、三度にわたってイギリスを訪れ、その時の印象をもとに2曲の「イギリスの思い出」幻想曲を作曲しました。1曲がこのフルート2本とピアノのためのもので、もう1曲はフルート三重奏(作品51)です。三重奏の楽譜は以前から出版されていましたが、この度二重奏版が復刻されましたのでご紹介します。 2曲とも同じ旋律を用いたアレンジが違うだけのほぼ同じ曲で、 3楽章からなり、第2楽章にはアイルランド民謡「庭の千草(The Last Rose of Summer)」、第3楽章には同じく「この世をさまよい(We May Roam Through This World)」がモチーフとして使われています。 2本の旋律が絡み合うというより、どちらかがソロをとってもう一方は伴奏または休みに回る部分が多く、技巧的な変奏やカデンツァで二人のフルート奏者が腕を競い合う、華やかな伴奏付二重奏と言えるでしょう。中級以上の方の発表会や、デュオ・コンサートなどに使えるのではないでしょうか。 (T)
この編成で真っ先に思い浮かぶのは、ドップラー兄弟のアンサンブルでしょう。
しかし、今回は数多くのエチュードや演奏会用小品を残しているアンデルセンの作品です。
タイトルの通り、堂々とした勢いのある曲想から始まります。そして、2本フルートの細かいパッセージと技巧的な掛け合いが続く、とても華やかな曲です。また、掛け合いの他に1stフルートのロマンチックなソロやピアノの間奏も入り、最後まで飽きさせない楽曲構成となっています。何より息の合ったアンサンブルが必須と言えそうです!気の合うフルートのお友達と是非挑戦してみてください。
【上級者向け】演奏時間:約10分 (U)