スタッフのおすすめ「フルートソロ、エチュード」(エチュード)

このコーナーでは、ムラマツのスタッフが、長年の経験から「これは!」と思う楽譜を、その目的や内容の解説付きでご紹介します。
定期的にご紹介する楽譜を更新して行きますので、皆様の目的に応じた「使える」楽譜が見つかることと思います。

知る人ぞ知るエチュードB

フランスのフルート奏者、教育者のフィリップ・ベルノルドさんによる教本です。すでに出版されている「アンブシュアの技術」(ID:32341)の続編といえるもので、しっかりとした気柱を維持するための、息のコントロールや唇の柔軟性を得ることに焦点をあてています。協奏曲や交響曲などの作品の中から1フレーズを抜き出し、調性を変えて何通りか載せて、練習できるようになっています。上から順に練習してもいいですし、原調が示してあるので、その調から始めてもいいかもしれません。ハーモニクスやロング・トーン、長いフレーズの作品を演奏するうえでの練習、アーティキュレーションの練習にも役立つでしょう。
収録曲の一部をご紹介します。
ベートーヴェン/交響曲 第6番「田園」 第3楽章より
ヴェルディ/オペラ「仮面舞踏会」 第2幕 プレリュードより
J.S.バッハ/パルティータ(BWV1013)より
ビゼー/「アルルの女」メヌエットより
フランク/ソナタ 第1楽章 第1主題より
モーツァルト/協奏曲 ト長調 第3楽章より
プロコフィエフ/ソナタ 第1楽章より
など。
「普段、自分ではなかなかここまでいろんな曲から取り出せない」「調性を変えて吹くのはニガテ・・・」という方にもありがたい1冊です。
(B)

練習曲(エチュード)を紹介致します。

ボザは、フランスのニース生まれ。パリ音楽院でビュッセル等に師事し、現代フランスの作曲家として、重要な多くの曲を作曲しました。皆さん、良くご存知の曲「イマージュ」(FL.SOLO)、「アグレスティード」(FL.PF)、「夏山の一日」(4FL.)、等を多く作曲し、管楽器奏者、教育者に大いに貢献いたしました。この「練習曲」はフルート学習者のために上記等の曲からフレーズやパッセージを編曲してまとめられている練習曲集です。必須の練習曲(エチュード)として、是非、お薦めいたします。
尚、課題曲として、2004年、第二回東京音楽コンクール。2005年、第六回神戸国際フルート・コンクールに選ばれております。
(Y)

フルートだけではないフレンチ・スクール7

ベートーヴェンの《ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 作品47》、通称「クロイツェル・ソナタ」で知られる、ルドルフ・クロイツェル(フランス語読みでロドルフ・クレゼール、1766-1831)は、当時を代表するヴァイオリニストの一人でした。 彼はドイツ人の父親から音楽の手ほどきを受け、その中でヴァイオリンも習いました。1778年からはアントン・シュターミッツにヴァイオリンと作曲を師事します。1780年、13歳の時にコンセール・スピリチュエルの演奏会で師の《ヴァイオリン協奏曲》を演奏し、神童として楽壇に受け入れられ、以後着実にヴァイオリニストとしてのキャリアを積み、マリー・アントワネットの庇護も受けるまでになりました。フランス革命が起こった1789年、拠点をヴェルサイユからパリに移し、1795年にパリ音楽院(コンセルヴァトワール)が設立されると、その初代ヴァイオリン教授の一人となりました。そして、開校間もない音楽学校ですので、指導用の教本として編まれたのが当時のヴァイオリン教授3人(クロイツェル、ピエール・バイヨ、ピエール・ロード(ローデ))による『ヴァイオリン教則本』でした。この教本は後世に大きな影響を与えることとなり、3人は「三位一体」となってヴァイオリンにおけるフレンチ・スクールの基礎を作り上げました。クロイツェルはベートーヴェンから1803年に《クロイツェル・ソナタ》を献呈され、名声は高まる一方でしたが、1810年に交通事故に遭って腕を負傷したため、ソリストとしてのキャリアはそこで終わりました。とはいえ、アンサンブル奏者としては演奏を続け、指揮者としても活動を広げました。パリ音楽院の教授は1826年まで務めますが、弟のオーギュスト・クロイツェル、シャルル・ラフォン、後にバイヨのクラスを引き継ぐことになるランベール・マサールといった弟子を育てました。
 クロイツェルの「エチュード」、元は《ヴァイオリンのための40のエチュード、またはカプリス》(後に42曲に増補改訂)は1805年に出版され、パリ音楽院の『ヴァイオリン教則本』とほぼ同時期ですので、草創期の音楽院の生徒向け副教材として書かれたと想像されます。そのため、『教則本』と並んで一種のバイブルとして教師から生徒へ脈々と引き継がれ、フルートにおける《アルテ》のように現在でも使われています。なぜ、これほどまでロングセラーになっているかと言えば、現代にも通用するテクニックが過不足なく網羅されており、「完成された」教本だからでしょう。よって、このエチュードを移調などしてフルート用に編集すれば、フルートにとっても良い練習になるのでは、と考えるのは自然なことで、マルセル・モイーズがすでに《クロイツァーによる20の練習曲》として出版していますが、全音版の《クロイツェル・フルート・エチュード》においてはパウル・マイゼンが35曲を取り上げ、中でも「クロイツェルの2番」と「クロイツェルの5番」をそれぞれエチュードA、Bとして冒頭に掲げ、日々のウォーミングアップ用としています。200年以上も受け継がれている、ヴァイオリンのフレンチ・スクールの伝統をフルートの練習に取り入れてみてはいかがでしょうか。
(2025年4月記) (M.N.)

フルートだけではないフレンチ・スクール1→楽譜ID:34035(デュヴェルノワ/三重奏曲 第1番)
フルートだけではないフレンチ・スクール2→楽譜ID:4843(バルボトゥー/スケッチ)
フルートだけではないフレンチ・スクール3→楽譜ID:1877(ナーデルマン/ノクチュルヌ)
フルートだけではないフレンチ・スクール4→楽譜ID:7931(トゥルニエ/組曲 作品34)
フルートだけではないフレンチ・スクール5→楽譜ID:7258(ジュボエ/3つの三重奏曲 作品42)
フルートだけではないフレンチ・スクール6→楽譜ID:34752(ジャンクール/ベッリーニの「ノルマ」によるファンタジー・コンチェルタンテ)
フルートだけではないフレンチ・スクール7→楽譜ID:23568(クロイツェル/クロイツェル・フルート・エチュード)

元オケ奏者によるオケスタ

著者のクジャラは47年間名門シカゴ交響楽団にフルート・ピッコロ奏者として在籍し、現在は音楽大学でオーケストラ演奏の指導に当たっています。今までにも何冊かの教則本を著していますが、今回は特にその経歴を生かしたオーケストラ・スタディとなっています。オケスタといえばほとんどの本は交響曲などのフルート・ソロを抜粋しただけですが、この本では一つ一つにクジャラによる解説、演奏上の注意点などが丁寧につけられていて、実際に演奏する上でとても参考になります(英語です)。取り上げられているのは、ベートーヴェンの第3,6,7,9番、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」など、オーケストラのオーディションの定番とも言える曲ばかり。これからオーケストラ・プレイヤーを目指す方は目を通されると良いのではないでしょうか。また、そうでない一般フルート愛好家の方も、さわりだけ吹いてみたい名曲の数々に触れられ、オーケストラに入った気分を味わっていただけると思います。 
【上級者向け】 (T)

知る人ぞ知るエチュード@

マルセル・モイーズ(1889-1984)は、フルーティストのために多くのエチュードを残してくれました。おそらく一番初めに思いつくものは『ソノリテ』ではないでしょうか。その他ですと、モイーズオリジナルの『24の旋律的小練習曲と変奏』『25の旋律的小練習曲と変奏』『480の音階と分散和音の練習』『日課練習』などは、多くの方が練習するエチュードだと思います。
今回ご紹介するTONE DEVELOPMENTは、『480』や『日課練習』のような規則的な技術練習ではなく、『ソノリテ』に通じるエチュードです。
ヴェルディの「椿姫」やドニゼッティの「ランメルモールのルチア」、ビゼーの「カルメン」、マスネの「マノン」など、オペラのアリアなどを中心に美しい旋律の小品が90曲収められています。 その90曲がそれぞれ以下の音域やダイナミクスによりA〜Hの項目に分けられ、その中にピアノ伴奏がついているものが8曲入っています。モイーズはクライマー、ケッスラー、ツェルニー、ショパンなどピアノ曲や、クロイツァー、ヴィエニャフスキーなどヴァイオリンのエチュードを用いたフルート用エチュードの編曲からも分かるように、フルートという枠にとらわれず、様々な器楽曲、また、自身の演奏家時代の経験から、オペラにも深く精通しています。
このエチュードですが、モイーズの『私のフルート論』(ID:12154)と一緒にお使いいただくと、更に理解が深まると思います。『私のフルート論』の実践と応用練習曲集と言っても良いかも知れません。このエチュードから、モイーズの偉大さを改めて知り、また、音楽の美しさに感動する心に出会えるでしょう。
A.Register:low/Dynamic:soft(p.pp)
B.Register:low/Dynamic:loud(f.ff)
C.Register:low/Diversified expression
D.Register:high/Suppleness(p.pp)
E.Register:low to middle Suppleness,delicacy and color variation
F.All three registers Fullness of tone
G.All three registers Diversified expression
H.Interpretation of classical pieces
【ピアノ伴奏付き小品】
●メサジェ/フォルチュニオ/●ドリーブ/ラクメ/●ビゼー/アルルの女 Adagio/●ヴェルディ/イル・トロヴァトーレ/●マスネ/ウェルテル(2曲)/●ブリュノー/水車小屋への襲撃/●ドニゼッティ/ドン・パスクァーレ(2Fl/Pf)/●J.S.バッハ/ヴァイオリン・ソナタ BWV1015 第3楽章
(U)

知る人ぞ知るエチュードA

スイスのチューリッヒに生まれたハイナー・ライツ(1925−2014)のエチュードをご紹介します。
ライツは幼少期に母親からピアノを習い始め、高校生でヴァイオリンを始めます。ピアニスト・作曲家としてスイス国内をはじめ、フランスやアメリカなど海外でも活躍の場を広げていきます。彼の作品は、あまりなじみのない方も多いかもしれませんが、フルートの他にヴァイオリンや室内楽のために作曲された作品があります。
今回ご紹介する「12のカプリス Op.4」では、「カプリス」と題名にあるように、音楽に特定の技法や形式をもたず、拍子記号や調号もなく、形式にとらわれない構成となっています。古典的な面と、ほどよく近代を取り入れており、巻頭にはペーター=ルーカス・グラーフによる練習方法も載っています。音楽的な要素だけではなく、演奏するうえで大事なタンギング、スラー、スタッカート、トリル、跳躍など学習者におすすめの1冊です。
ライツは、ソリストとして演奏活動しながら「カプリス」形式の様々な研究もしていたようです。気ままで形式にとらわれないエチュード「カプリス」を皆さんも感じてみて下さい。
(TO)

ピッコロとアルトのオケスタ!

フルート用のオーケストラ・スタディは従来からいくつかの種類があり、お持ちの方も多いでしょう。
今回ご紹介するのは、ピッコロとアルトフルートに特化したオケスタです。
バイエルン放送交響楽団の首席フルート奏者であるヘンリック・ヴィーゼが、フルート奏者として、また教育者としての豊富な経験を生かして、207のオーディション用抜粋曲を丁寧に編集し、わかりやすくまとめたのが本書です。
ピッコロはおなじみのベートーヴェンの「第九」のメロディはもちろん、ロッシーニやヴェルディのオペラ作品、マーラー、ショスタコーヴィッチの交響曲、ストラヴィンスキー「火の鳥」まで網羅されています。
アルトフルートはラヴェルの「ダフニスとクロエ」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」など。 オーケストラのプレーヤーを目指す方はもちろん、オーケストラの音楽がお好きな方なら、ちょっと吹いてみたいメロディが満載です。ピッコロやアルトフルートをアンサンブルでしか使わないのはもったいない。ぜひこの楽譜をご活用ください。
【中・上級者向け】(T)


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