※この記事は2019年に執筆していただいたものです。
第4回
小さな歌口、6つの指穴に1つのキーがついている古典派時代に使われたフルート。
現在のハープより、弦とペダルの数が少ない古典派時代のハープ。
最低音Cまで演奏できる古典派時代のフルート。フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299≫で初めて最低音のCが出てくる。
(譜例13) 2オクターヴと3度におよぶ上下の「跳躍」
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時には2オクターヴにおよぶ長い音価の「跳躍」
≪フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313≫の第1楽章の107小節目から109小節目(譜例13)(同じことが118小節目から120小節目でも)では、最大2オクターヴと3度におよぶ上下の「跳躍」で緊張を全音符で演出した後に、減7の和音を響かせて、その音を解決することによって緩和を演出、さらに1オクターヴと7度の跳躍をしています。このように、長い音価の音の跳躍を使いながら、目くるめくように緊張感と緩和を演出しています。6度→7度→8度(オクターヴ)の跳躍
≪フルート協奏曲 第1番 ト長調 K.313≫の第2楽章の17小節の1拍目で6度音程の跳躍、18小節目の1拍目では7度音程の跳躍、そして19小節目の1拍目では8度音程=オクターヴの跳躍(譜例15)というように、跳躍の幅を広げることによって、緊張感を増して聴衆を引き寄せるモーツァルトお得意の手法は、第3楽章の107小節目から110小節目の間(譜例16)にもみられます。 これとは逆に、≪フルート四重奏曲 ニ長調 K.285≫の第1楽章の70小節目のアウフタクトからは、8度→7度→6度と跳躍の幅が狭まる(譜例17)ことで、緊張が弛緩されています。(譜例17) 跳躍の幅が狭まることで、緊張が弛緩
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(譜例18) 6度や8度の跳躍を挟みながら分散和音の音型で10度の跳躍に達する
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竹澤 栄祐
東京芸術大学音楽学部器楽科フルート専攻を経て、同大学院修士課程修了。さらに博士後期課程に進み、「J.S.バッハの作品におけるフルートの用法と真純問題をめぐって」についての研究と演奏で管楽器専攻としては日本で初めて博士号を授与される。ニュース
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