「ソナタ OP.121」は1977年1月に作曲され、同年の3月、ウェールズのカーディフで行われた「カーディフ20世紀音楽祭」でジェームズ・ゴールウェイと、イギリス人ピアニストのアンソニー・ゴールドストーンにより初演されました。 曲は3楽章からなっています。
どことなくミステリアスな響きの1楽章【Allegro】、装飾的な半音階と流麗な音階の動きが印象的です。2楽章【Andantino】はゆったりとした憂いのあるメロディーが続きます。3楽章【Maestoso con molto ritmico】は少しおどけたような、また洒脱な雰囲気で聴く人を楽しませてくれます。
アーノルドはこの曲について「できる限り音楽的に面白いものにしようとしている。」と述べています。ソナタの各楽章はとても自由で、まさに「音楽の楽しみ」に溢れています。ですが、とくに1楽章は難しいです。そしてピアノとの掛け合いも巧みです!
「音楽の楽しみ」を是非感じていただきたいと思います。
【中・上級者向け】(U)
ヴィルヘルム・フリーデマンはヨハン・セバスティアン・バッハの長男として1710年に生まれました。父親ゆずりの楽才は、バッハの息子の中でも最も天才肌と称されましたが、晩年は身を持ち崩し、不遇の内に亡くなりました。 作品は伝統に根差したオーソドックスな作風のものと、ロマン派の先駆けか、むしろ近代を思わせるような斬新な作風の曲が混在しており、この協奏曲はどちらかと言えばオーソドックスな部類に入るものです。おそらく彼が晩年を過ごしたベルリンで1773年以降に作曲したものと思われます。当時のベルリンの趣味「多感様式」の影響を受けたこの協奏曲は、Un poco Allegro−Largo−Vivaceの3楽章から成っています。オーケストラ用のスコア・弦パートも別に出版されています。 (SR)
バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエルは1714年に生まれました。長男とは違って独立心の強いエマヌエルは豊かな才能だけでなく、社会性や経済感覚にも優れ、ベルリンのフリードリヒ大王の宮廷音楽家を経て、彼の名付け親だったテレマンの後を受けて、ハンブルグの音楽監督にまで上り詰めた人物です。 今まで知られていた彼のフルート協奏曲5曲は全て彼自身の手によって、彼の楽器であるチェンバロ用にも編曲され、さらにその中の2曲はチェロ用にも編曲されています。作品番号のWq.13は、すでに知られているチェンバロ協奏曲の番号が代用されています。他の5曲に勝るとも劣らないこの協奏曲は、Allegro−Un poco andante e piano−Allegro assaiの3楽章から成り、この楽譜には、ブリュッセル音楽院に所蔵されているエマヌエル自身の手になる第2楽章のカデンツァも掲載されています。オーケストラ用のスコア・弦パートも別に出版されています。 (SR)
この曲は、ハンガリーの巨匠バルトークが26歳でブダペスト音楽院ピアノ科教授となった1907年に作曲されました。トランシルヴァニア(ルーマニアの一部の歴史的な地名)のチーク地方の民謡採集を行った際に得た旋律に基づいており、ハンガリーの民族楽器である「ティリンコ」という指穴の全くない縦笛とピアノのために作曲され、その後、ピアノ独奏用に編曲されて出版されました。この楽譜は、ハンガリーのフルート奏者ヤーノシュ・シェベニーによってフルートとピアノ用に編曲されたものです。Rubato / L'istesso tempo / Poco vivo と短い3曲が一続きになっていて、短いながらも、哀愁漂う部分と活気のある部分それぞれが印象的な曲となっています。 【中級者向け】 演奏時間:約3分 (I)
フォスターの代表的な歌曲「CAMPTOWN RACES/草競馬」「JEANIE, WITH THE LIGHT BROWN HAIR/金髪のジェニー」「OH SUSANNA/おお スザンナ」「BEAUTIFUL DREAMER/夢みる人」「SWANEE RIVER/スワニー河・故郷の人々」をB.ホルコムがフルートの特性を生かしたアレンジに仕上げています。組曲になっておりますが、以前は一曲ずつ出版されていましたので、一曲だけ取り上げて演奏するのもいいと思います。ピアニスト(伴奏者)の表現力が大切です。
【中上級者向け】 (Y)
フランセは自由でユーモア溢れる中に、洗練された音楽センスをうかがわせる独特の世界観で、20世紀フランスを代表する作曲家の一人に数えられています。
作品はピアノ曲から室内楽、交響曲、オペラ、バレエ音楽など幅広く、200曲以上にのぼります。
ディヴェルティメントは1953年にJ.P.ランパルに捧げられた名曲です。
この曲を聴くと作曲家の洒落にとんだ性格がはっきりとわかります。
聴く方にとっては魅力的で楽しい曲ですが演奏者にとっては大変難しい曲で、フランセは其の辺りを十分に意識して書いたのではないでしょうか。
I Toccatina
II Notturno
III Perpetuum Mobile
IV Romanza
V Finale
【上級者向け】 演奏時間:約12分 (Y&U)
オペラの中で歌われるアリアなどをフルートで歌い上げる作品は、今までもたくさん作曲されてきました。今回ご紹介するのは、プッチーニの四幕のオペラ「ラ・ボエーム」の中の美しいアリアを繋ぎ合わせた華麗なファンタジーです。
チャールズ・ゴッドフリーによるピアノ曲をもとに、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団のフルート&ピッコロ奏者、ユルゲン・フランツさんがフルート用にアレンジしました。
使用曲目は、第一幕:ロドルフォ「Che gelida manina(冷たき手を)」/ショナール「Legna! Sigari! Bordò!(薪だ!葉巻だ!ボルドー酒だ!)」/第四幕:ロドルフォとマルチェッロ「O Mimì, tu più non torni(ああミミ、君はもう戻ってこない)」/第四幕:ロドルフォとミミ「Sono andati?(みんな行ってしまったのね)」/第四幕:ロドルフォ、マルチェッロ、ショナール、コッリーネの4人が舞踏会だ、と踊って(ふざけて?)いる場面/第二幕:ムゼッタ「Quando me'n vo soletta per la via(私が街を歩けば)」(ムゼッタのワルツ)/第二幕:最後の軍楽隊の行進曲、です。(最後の行進曲はピッコロに持ち替えてもOK)
「ラ・ボエーム」はプッチーニのオペラの中でも人気の高い作品です。内容も分かりやすく、登場人物それぞれにモチーフがあり、どのアリアも美しく素敵です。是非オペラをご覧になって、それぞれの登場人物に思いを馳せながら演奏してください。
※フルートのレパートリーにオペラのファンタジーが多い背景については、以前のスタッフのおすすめ楽譜、楽譜ID:26347ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー の紹介文をご覧ください。
【中・上級者向け】 約12分30秒 (B)
フルートとピアノで「泣かせて下さい」。
(SR)