スタッフのおすすめ
「フルート・ピアノ」

このコーナーでは、ムラマツのスタッフが、長年の経験から「これは!」と思う楽譜を、その目的や内容の解説付きでご紹介します。
定期的にご紹介する楽譜を更新して行きますので、皆様の目的に応じた「使える」楽譜が見つかることと思います。

泣きのアルビノーニ

「アルビノーニのアダージョ」はアルビノーニの作品ではありません。「バロック名曲集」には必ずと言っていいほど収録されているこの名曲、以前は残されたアルビノーニの作品の断片を基に音楽学者レモ・ジャゾットが復元した作品という触れ込みで出版・演奏されていました。しかし、今では完全にジャゾットの創作だということが分かっています。ジャゾットがアルビノーニの研究家だったことが、この“逸話”の信憑性を高めてしまったのかも知れません。いずれにしてもオルガンの重厚なハーモニーと、泣かせる弦のメロディー、ヴァイオリン・ソロのアルペッジョ、どこを聴いてもバロックというよりは高級なムード・ミュージックまたはセミ・クラシックの作品です。
フルートとピアノで「泣かせて下さい」。
(SR)

大王の妹、アマーリアのフルート・ソナタ

2012年は、バッハ、グラウン、クヴァンツ、ベンダ他多くの音楽家と関係が深く、自らフルートを演奏したフリードリヒ大王の生誕300年にあたり、CD、演奏会などでその名前を見る機会が増えています。今回ご紹介するのは、そのフリードリヒ大王の妹アンナ・アマーリアが作曲したフルート・ソナタです。兄に劣らず音楽を愛し、多くの音楽家を擁護したアマーリアは、1758年にキルンベルガーを楽長に迎えると、その指導の下に本格的に作曲を学びました。このヘ長調のソナタは、当時のロココ趣味を反映した美しい作品で、1771年に作曲され2月14日に兄のフリードリヒに送られています。フリードリヒ大王が演奏したのでしょうか。エマニュエル・パユが録音したCD「ザ・フルート・キング」の中にもこのソナタが収録されています。
(SR)

東洋と西洋が出会った音楽

アミロフはアゼルバイジャンの作曲家です。アゼルバイジャンは、チェロ奏者のムスティスラフ・ロストロポーヴィチの出身地でもあり、東洋と西洋に挟まれたこの地域では独自の音楽の世界があります。
アミロフは、民族音楽の歌い手でタールという弦楽器奏者であった父のもとで民族音楽に恵まれた環境に育ち、生地ギロヴァドと、バクーで音楽教育を受けています。
アミロフの音楽はアゼルバイジャン民謡に強く影響されており、この「6つの小品」には、T.アシュグの唄 U.子守歌 V.舞曲 W.アゼルバイジャンの山脈で X.泉にて Y.夜想曲 と各楽章にタイトルが付けられ、アゼルバイジャンの民族色を感じられる作品です。
【中級者向け】 演奏時間:約14分 (NI)

エチュードでも小品でもないアンデルセン

「アンデルセン」と聞くと、フルート関係者はすぐにエチュードが浮かびますよね。今回ご紹介する「演奏会用小品(コンチェルトシュトゥック) OP.3」は、フルート奏者、作曲家、指揮者として活躍した彼の初期の作品です。また、アンデルセンの作品ではエチュードのほかに小品のイメージも強いですが、こちらは大ぶりの曲で、演奏時間は19分近くに及びます。技巧的に華やかな面を持ち合わせながら、たっぷりと歌い上げることも求められます。ロマン派の作品が他に比べて少ないフルートにとって、貴重なレパートリーでしょう。
カール・ヨアヒム・アンデルセン(1847-1909)はデンマーク出身で、後にベルリン・フィルの創立メンバーとなり、第一フルート奏者として活躍、指揮者としての仕事も行いました。この「演奏会用小品」の作曲年は資料によって諸説ありますが、ベルリン・フィルが創立された1882年近辺と考えられ、当時活躍していたハンブルクのWilhelm Tieftrunkというフルート奏者に捧げられました。また、後世まで知られる偉大なフルート奏者ポール・タファネル(1844-1908)は、この曲を高く評価していたようです。(この楽譜の解説によると、タファネルは1895年のパリ音楽院の試験課題曲に、おそらくカットして当曲を採用したとありますが、試験課題曲の記録では、曲名は「Morceau de Concert」と記されています。)
エチュードで練習するような音形がたくさん出てきますから、日頃の成果の見せどころ?! ちなみに、「第18回日本フルートコンヴェンション 2017 in 川崎」のコンサートで、ウィーン・フィル首席のカール=ハインツ・シュッツ氏が演奏しました。現在手に入るものだと、ザヴィエル・ラック氏のCD(ID:7425)などで聴くことができます。
【上級者向け】 演奏時間:約19分 (YS)

エチュードだけじゃない!アンデルセンの世界♪

K.J.アンデルセン(1847-1909)はデンマーク出身のフルーティスト。作曲家や指揮者としても活躍しました。彼が残した作品は主に練習曲や演奏会用小品で、その数は膨大です。「24の練習曲 作品15」など、エチュードでの印象が強い方もいらっしゃるのではないでしょうか。彼は草創期のベルリン・フィルを支える重要なソリスト、指揮者をつとめ、病気でフルートの演奏が困難になった後はコペンハーゲンで宮廷管弦楽団の指揮者、ティヴォリ公園オーケストラの指導者をつとめるなど、デンマークの音楽界で重要な役割を果たしました。
 この曲集には「マズルカ」や「子守歌」などからなる「6つのサロン用小品 作品24」や「即興曲 作品7」など、上品で綺麗な小品や華やかな作品が集められています。演奏会のアンコール曲や、パーティー等での演奏の場にもおすすめです。特に、パリ音楽院のP.タファネルに献呈された「即興曲 作品7」は、華麗な技巧やドラマチックな曲想が特徴の、聴き映えのする素敵な作品です。
(YS)

おすすめします!

アーノルド…イギリスの作曲家で代表作は、映画音楽「戦場にかける橋」、管弦楽「ピータールー」序曲 など様々な分野で活躍しました。 作曲家として本格的にデビューする前はトランペット奏者として活躍しておりオーケストラ、ロンドン・フィルの首席奏者でした。
この曲は、1948年から1972年まで長くロンドン・フィルの首席フルート奏者を務めアーノルドと同じオーケストラ団員でもあったリチャード・アデニーのために作曲し1954年初演されました。3つの楽章はどれも短いですが中身がつまった音楽です。特に2楽章!! とてもきれいな曲で一度聴いたら忘れないメロディーです。1、3楽章はとてもパワフルで華やかな曲になっております。試験曲、演奏会など…曲をお探しの方におすすめ致します!
【上級者向け】 演奏時間:約12分15分 (N)

メモリアル「マルコム・アーノルド」

「ソナタ OP.121」は1977年1月に作曲され、同年の3月、ウェールズのカーディフで行われた「カーディフ20世紀音楽祭」でジェームズ・ゴールウェイと、イギリス人ピアニストのアンソニー・ゴールドストーンにより初演されました。
曲は3楽章からなっています。
どことなくミステリアスな響きの1楽章【Allegro】、装飾的な半音階と流麗な音階の動きが印象的です。2楽章【Andantino】はゆったりとした憂いのあるメロディーが続きます。3楽章【Maestoso con molto ritmico】は少しおどけたような、また洒脱な雰囲気で聴く人を楽しませてくれます。
アーノルドはこの曲について「できる限り音楽的に面白いものにしようとしている。」と述べています。ソナタの各楽章はとても自由で、まさに「音楽の楽しみ」に溢れています。ですが、とくに1楽章は難しいです。そしてピアノとの掛け合いも巧みです!
「音楽の楽しみ」を是非感じていただきたいと思います。
【中・上級者向け】(U)

フランスの女流作曲家、クロード・アリューをご存じですか?

フランスの作曲家、クロード・アリュー(本名:ルイーズ・マリー・シモン [1903-1990])のソナチネをご紹介いたします。
彼女はパリ音楽院でポール・デュカスをはじめ、多くの著名な作曲家とともに作曲を学びました。1932年にはパリ音楽院で第一回作曲賞を受賞しており、フランスの作曲家が当時好んでいた新古典主義のスタイルを得意とする、多作な作曲家です。
この曲は、第二次世界大戦中の1943年(39歳)にマルセイユで作曲されました。1944年にパリでジャン=ピエール・ランパルによって初演され、国営ラジオで放送されました。その放送は好評を博し、感謝したアリューはこの曲をランパルに捧げました。
メロディックな面とエネルギッシュな面のどちらも持ち合わせ、彼女の特徴である、少し風変わりで遊び心のある1曲です。第1楽章はト長調でエネルギッシュなアレグロ・モデラートで始まります。第2楽章はイ長調の抒情的なアンダンティーノです。その後、元気なプレストの第3楽章が続き、楽しいフィナーレで締めくくります。
少し個性的で素敵な新しい曲をお探しの方、フランス近代のレパートリーをお探しの方や、他の人が知らない発表会の曲をお探しの方におすすめの1曲です。
【中級者向け】演奏時間:約6分(M.M.)

忘れられたコンクール用小品3

ルイ・オベールはブルターニュ地方で現在サン・マロ市の一部となっているパルメで1877年に生まれました。子供の頃から歌が上手で、音楽の才能を感じ取った両親のおかげでパリに行き、マドレーヌ寺院の聖歌隊の一員となりました。1888年のフォーレの《レクイエム》の第一稿の初演の際、〈ピエ・イェス〉のソロを任されたほどでした。1887年に彼はコンセルヴァトワール(パリ音楽院)に入学し、ピアノをルイ・ディエメルに、和声をアルベール・ラヴィニャックに、伴奏法をポール・ヴィダルに、そして作曲をフォーレに師事しました。オベールはピアノでも頭角を現し、1911年に名前を伏せて初演され作曲家名を当てる実験が行われたことで有名なラヴェルの《高雅で感傷的なワルツ》の初演を行い、作品を献呈されたことでも知られています。彼は母校で教鞭をとる傍ら、1956年にギュスターヴ・シャルパンティエの後を継いでフランス学士院(音楽アカデミー)のメンバーとなりました。彼の代表作はペローの童話を元にしたオペラ《青い森》や、管弦楽のための《シャトーブリアンの墓》などがありますが、ミュージック・ホールの歌手のためのポピュラー・ソングも作曲しています。
ルイ・オベールの作風は、当時盛んになった生地ブルターニュのナショナリズムから距離を置き、最初フォーレ、次いでラヴェルの影響を受け、旋法を多用しています。《序奏とアレグロ》は1922年のコンセルヴァトワールのフルート科のコンクール(卒業試験)のために作曲されました。当時の教授であったフィリップ・ゴーベールに献呈されています。オベールは1917年から1919年にかけて《6つのアラビアの詩》を作曲し、1919年の夏にゴーベールの指揮でオーケストラ伴奏版の初演がなされており、そういった縁もあって作曲の依頼が来たのでしょう。タイトルの通り二部に分かれており、前半の緩と後半の急というコンクール用小品の一般的なスタイルです。《アラビアの詩》は当時のフランスにおける東洋趣味を反映していますが、《序奏とアレグロ》にもその残り香が引き継がれ、冒頭において旋法的な主題がフルートによって提示されます。「序奏」部はこの主題を元にした一種の長大なカデンツァと言っても良いでしょう。後半はアレグロの通り軽快な主題で広い音域を駆け上がったり下がったりして、拍の頭に休符があって音楽がほとばしるような音型が多用されます。クライマックスには序奏のテーマが回帰し、音価が引き伸ばされて朗々と歌い上げられ、コーダではさらにテンポが上がって一陣の風が過ぎ去るように締め括られます。
《序奏とアレグロ》の初演ともなった1922年の試験で一等賞(プルミエ・プリ)を取ったアルフォンス・カルパンティエとジャン・デュボスはその後それほど有名にはなりませんでしたが、二等賞でロジェ・コルテ、リュシアン・ラヴァイヨット、フェルナン・カラジェといった錚々たるメンバーが入賞しました。
(2017年2月記)(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

一粒で二度おいしいC.P.E.バッハ(2Fl.Bc/Fl.Pf)

ヨハン・セバスティアン・バッハの次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハは、音楽を父に学んだ後、ライプツィヒとフランクフルトで法学を学びましたが、音楽で身を立てることになります。1740年、プロシアの国王フリードリヒ大王の宮廷楽に職を得た彼は、チェンバロ奏者として大王のフルートの伴奏を務める事になりました。そのため彼の室内楽作品はフルートを中心とした曲がかなりの比率を占めています。
今回ご紹介する2つの楽譜は楽器編成の異なる同一の曲です。1749年にポツダムで作曲された「ソナタ ホ長調」は“フルートとオブリガート・チェンバロ”または“2本のフルートと通奏低音”のためのソナタとして作曲されました。フルートとオブリガート・チェンバロのソナタでは、トリオ・ソナタの第1フルートがチェンバロの右手、第2フルートがフルート・パートに当てられています。エマヌエル・バッハの場合、「フルートとヴァイオリンのためのトリオ・ソナタ」と「フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ」が同一曲であるものは幾つか存在しますが、2本のフルートを使ったトリオ・ソナタはこの曲のみです。優雅で華やかなギャラント様式で書かれ、繊細な表情と大胆な和声が特徴です。
大王とそのフルートの先生だったクヴァンツがフルートを吹き、エマヌエル・バッハがチェンバロを弾いて演奏されたのでしょうか。
(SR)

再発見されたバッハの息子達の協奏曲

ヴィルヘルム・フリーデマンはヨハン・セバスティアン・バッハの長男として1710年に生まれました。父親ゆずりの楽才は、バッハの息子の中でも最も天才肌と称されましたが、晩年は身を持ち崩し、不遇の内に亡くなりました。
作品は伝統に根差したオーソドックスな作風のものと、ロマン派の先駆けか、むしろ近代を思わせるような斬新な作風の曲が混在しており、この協奏曲はどちらかと言えばオーソドックスな部類に入るものです。おそらく彼が晩年を過ごしたベルリンで1773年以降に作曲したものと思われます。当時のベルリンの趣味「多感様式」の影響を受けたこの協奏曲は、Un poco Allegro−Largo−Vivaceの3楽章から成っています。オーケストラ用のスコア・弦パートも別に出版されています。
(SR)

バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエルは1714年に生まれました。長男とは違って独立心の強いエマヌエルは豊かな才能だけでなく、社会性や経済感覚にも優れ、ベルリンのフリードリヒ大王の宮廷音楽家を経て、彼の名付け親だったテレマンの後を受けて、ハンブルグの音楽監督にまで上り詰めた人物です。
今まで知られていた彼のフルート協奏曲5曲は全て彼自身の手によって、彼の楽器であるチェンバロ用にも編曲され、さらにその中の2曲はチェロ用にも編曲されています。作品番号のWq.13は、すでに知られているチェンバロ協奏曲の番号が代用されています。他の5曲に勝るとも劣らないこの協奏曲は、Allegro−Un poco andante e piano−Allegro assaiの3楽章から成り、この楽譜には、ブリュッセル音楽院に所蔵されているエマヌエル自身の手になる第2楽章のカデンツァも掲載されています。オーケストラ用のスコア・弦パートも別に出版されています。
(SR)

フルート用になったバッハの協奏曲

この曲は「チェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV 1056」によるものです。原曲は失われていますが、ヴァイオリンかオーボエのための協奏曲であったと推定されています。フルート用にするにあたってイ短調に移調されました。特に、美しいメロディーの第2楽章は人気があり、終結部の形は違いますがカンタータの第156番のシンフォニアとしても使われていて、カンタータではオーボエがソロになっています。編曲はジェームズ・ゴールウェイとフィリップ・モルが行っています。

この曲はチェンバロ協奏曲としては第7番 ニ短調にあたりますが、「ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 BWV 1041」という原曲が現存します。大変有名な曲で第1楽章の急速楽章であるにもかかわらずゆったりとした情感のある佇まいや、第3楽章のスピード感もさることながら、第2楽章の装飾音形の美しさは特筆に価します。フルートへの編曲にあたっては、ヴァイオリン用とチェンバロ用の両方を参考にしながらも、概ねヴァイオリン用に準拠しているようです。調性も原曲のヴァイオリン協奏曲と同一になっています。

バッハのパルティータをフルートで(Fl.Pf/Fl)

バッハのパルティータ。原曲は、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータBWV1006ホ長調(1720、ケーテン)です。 その無伴奏パルティータをロベルト・シューマンがハーモニーなどを補充してヴァイオリンとピアノ用に編曲した楽譜をもとに、ウェルナー・リヒターがフルート用に直しました。 バッハは無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを3曲ずつ書いており、この曲はパルティータの第3曲にあたります。
本来、ヴァイオリン1本でバス、ハーモニーから対旋律まで弾くところを、かなりの部分がピアノ伴奏に移してあるので、フルート・パートのみを無伴奏で演奏した場合、原曲を知っている人にとっては、物足りなく感じるかもしれません。 3楽章のガヴォットは、耳にしたことがある方も多いことでしょう。 原調のホ長調からイ長調に移調されています。
因みに、この曲は、バッハ自身の手によって、1楽章がカンタータBWV120/a(1728〜1736頃、ライプツィヒ)の第二部の冒頭のシンフォニアとカンタータBWV29(1731、ライプツィヒ)の冒頭のシンフォニア、全楽章がリュート組曲BWV1006a/1000(1735〜1740頃、ライプツィヒ)に、転用されています。同じメロディを全く違った曲としてお楽しみいただけます。是非聴いてみてください!
尚、この楽譜には無伴奏ヴァイオリンのためのソナタBWV1005も収録されております。
【中・上級者向け】 (B)

クイケン校訂のバッハ

トラヴェルソの第一人者B.クイケンによる校訂のバッハのソナタ集です。このト短調のソナタは以前はJ.S.Bachの作と考えられ、近年は息子のC.P.E.Bachの作と見なされることが多くなっています。この楽譜でも表紙ではどちらとも限定せず、作品番号も2つ併記しています。しかし中の解説を読むと、クイケン氏は様々な考察の上で、この曲の作曲者はクヴァンツではないかという驚くべき可能性を示唆しています。真偽の解明は今後の研究、あるいは新資料の発見を待たねばなりませんが、フルーティストには実に興味深い説ではないでしょうか。もちろん楽譜も資料の入念な検討の上で校訂されています。別の版をすでにお持ちの方にも、勉強のため手に取っていただきたい版です。
(T)

ヴィオラ・ダ・ガンバの名曲をフルートで吹くなんて…!

バッハの2本のフルートと通奏低音のためのト長調のトリオ・ソナタ(BWV 1039)は大変よく演奏されるフルート作品です。この曲をバッハ自身がヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのために編曲したのが、3曲残されているガンバ・ソナタのうちの第1番です。そのような経緯から、フルートのレパートリーを増やすために、他の2曲のガンバ・ソナタも2本のフルートと通奏低音に編曲した楽譜が出版され、よく演奏されてきました。それなら、この3曲のガンバ・ソナタをフルートとオブリガート・チェンバロ用に編曲するアイディアも出てくるわけですが、これまでそのような楽譜はほとんど出版されていませんでした。「ガンバ・ソナタなら第1番より第2、第3番の方が好きなのに・・・」と思う方もおられると思います。
この不足を埋めるべく、この度、フルーティスト、ヘンリック・ヴィーゼ氏が編曲を担当して出版されたのがこの楽譜です。強くしっかりした低音を持つヴィオラ・ダ・ガンバの曲を、むしろその逆の音の構造を持つフルートで演奏するのは、音楽の表現上難しい部分があるのは承知の上で、それでもガンバ奏者になったつもりで吹くも良し。また、ガンバとは違った新たな表現を目指すも良し。どちらにしても充実した音楽の時間を持てることは間違いありません。
そういえばフルートでよく演奏するマラン・マレの「スペインのフォリア」も元はガンバの曲です。
(SR)

バッハの捧げ物(Fl.Vn.Pf/Fl.Cemb)

「フーガの技法」とならんでJ.S.バッハ晩年の大作「音楽の捧げ物」の中のトリオ・ソナタです。「音楽の捧げ物」は、次男カール・フィリップ・エマヌエルがチェンバロ奏者として奉職しているフリードリヒ大王の宮廷を訪ねたおり、大王から提示されたテーマをもとに作曲し、献呈した作品集です。鍵盤楽器のためのリチェルカーレが2曲、楽器指定の無いカノン9曲とフルート、ヴァイオリンと通奏低音の指定があるトリオ・ソナタと無限カノンからなる特殊な曲集です。この楽譜はその中から楽器指定のある2曲を集めたものでバッハの代表的なトリオ・ソナタというだけでなく、この時代のトリオ・ソナタの最高峰ともいうべき作品です。原典版で定評のあるヘンレ社の出版で、トリオ・ソナタのほかに無限カノンが付いていることがこの楽譜の特長です。
(SR)

J.S.バッハの傑作、「音楽の捧げ物」のトリオ・ソナタはやってみたいけれど、ヴァイオリンが居ないという方、こんな楽譜はいかがでしょう。これはこのトリオ・ソナタを、ヴァイオリンのパートをチェンバロの右手に置き換えて、フルート1本とチェンバロの右手が上声部を、そしてチェンバロの左手が通奏低音を受け持つという形に編曲したもので、基本的には原曲と全く変わりません。このような形の曲は当時のテレマンやC.P.E.バッハの作品などに多く見られるもので、特殊な編曲というわけではありませんが、この曲に関しては現代の編曲です。
(SR)

バッハの魅力がつまった一曲です!

この曲はもともとリュートのための作品で、チェンバロなどの鍵盤楽器のレパートリーとしても知られています。1740年頃、バッハがライプツィヒでトーマス教会の音楽監督をつとめた時期の作品です。プレリュード、フーガ、サラバンド、ジーグ(ドゥーブル付き)の4曲からなり、第3曲サラバンドの冒頭部分は《マタイ受難曲》の終曲と類似しています。バッハのオリジナルのフルート作品と並んでレパートリーに挙がる事も多く、フルート吹きにとっても魅力的な作品です。
この楽譜の編曲は、ヨゼフ・ボップによる現代のものです。フルートの声部がソリスティックに書かれている一方で、フルートとピアノのかけあいや華麗なフーガの魅力も表現されています。
(YS)

美しいオブリガートをピアノ伴奏で

J.S.Bachのフルート作品にはソナタや無伴奏パルティータといったフルーティストには聖典のような曲がありますが、ミサ曲などの宗教曲にも美しいフルートのメロディがたくさんあります。
この楽譜は「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「ミサ曲 ロ短調」といったバッハの代表的な宗教曲の優れたフルート・オブリガートを集めたものですが、従来こういうオブリガート集は原曲のフルート・パートを抜き出しただけのいわばオケスタ的なものが多いのに比べ、これはフルート・パートはほぼオリジナルのまま、歌のパートとオーケストラのパートを編曲してピアノ伴奏にしてあるため、単独の曲としての演奏が可能です。
宗教曲は長いものが多くとっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、これらの曲はほんとうに美しく心打たれるものばかりです。プロのオーケストラプレイヤーでもなければこういった曲を演奏する機会はないと思いますが、このような独立した形で演奏することができるのは、フルーティストにとって喜ばしいことだと思います。演奏会のアンコールなどにも使えるのではないでしょうか。
【中・上級者向け】 (T)

フルート・ソナタ発掘

バーネットは1837年アメリカで生まれました。もとはピアノ専攻でロンドンの王立音楽大学で学んだのち、ドイツに渡りました。その後、作曲家としても注目を集め、管弦作品やピアノ曲も多く残しています。
このグランド・ソナタは、全体に華やかで美しさのある作品です。特に2楽章はメロディーラインがとても綺麗で、あるときは解放的で輝かしく、そしてピアノ伴奏との絡みがとても美しい楽章です。終楽章の3楽章は、しばしば聴かれるフルートとピアノの右手パートのユニゾンや掛け合いで盛り上がります。
是非、演奏会の最終曲に入れてみてはいかがでしょうか。
【中・上級者向け】 演奏時間:約19分 (N)

中欧の薫り漂う小品です♪

この曲は、ハンガリーの巨匠バルトークが26歳でブダペスト音楽院ピアノ科教授となった1907年に作曲されました。トランシルヴァニア(ルーマニアの一部の歴史的な地名)のチーク地方の民謡採集を行った際に得た旋律に基づいており、ハンガリーの民族楽器である「ティリンコ」という指穴の全くない縦笛とピアノのために作曲され、その後、ピアノ独奏用に編曲されて出版されました。この楽譜は、ハンガリーのフルート奏者ヤーノシュ・シェベニーによってフルートとピアノ用に編曲されたものです。Rubato / L'istesso tempo / Poco vivo と短い3曲が一続きになっていて、短いながらも、哀愁漂う部分と活気のある部分それぞれが印象的な曲となっています。
【中級者向け】 演奏時間:約3分 (I)

さまざまな踊りが楽しめます!

1915年、バルトークが34歳の時に作曲された「ルーマニア民俗舞曲」は、6曲からなるピアノの小品です。ルーマニア各地で採集した民謡を題材としており、親しみやすい旋律に加え約5分という演奏時間なので、コンサートでもよく取り上げられています。バルトーク自身が編曲したオーケストラ版の他にヴァイオリンとピアノ版、弦楽合奏版もあり、彼の作品の中でも人気が高いものとなっています。

第1曲 棒踊り:それぞれのフレーズ終わりに棒で地を打つようなリズムが感じられる、表情豊かな曲です。
第2曲 飾り帯の踊り:メロディーが2度繰り返されますが、一定のテンポではなく少し緩急をつけて演奏される農民舞踏です。
第3曲 足踏み踊り:どこかあやしい雰囲気があり、増2度のメロディーが特徴的です。
第4曲 角笛の踊り:流れるような舞踏曲で、スラーが活かされています。
第5曲 ルーマニアのポルカ:生き生きとした躍動感あるリズムが印象的で、この中でも特に有名な曲です。
第6曲 速い踊り:ダイナミクスがより華やかになり、勢いに乗ったまま締めくくります。
テレビ番組でも使用されているので、どこかで聴いたことがあると思われる方も多いかもしれません。発表会等でぜひ挑戦してみてくださいね。
【中級者向け】演奏時間:約5分(OY)

ピッコロのレパートリーにいかがですか?(Pic.Pf)

ピアノ曲「14のバガテル OP.6」は、バルトークが26歳でブダペスト音楽院ピアノ科教授に就任した翌年の1908年に作曲され、自筆譜を見せに行ったブゾーニから高い評価を受けました。「弦楽四重奏曲 第1番」などとともに、初期の代表的作品といわれています。
この楽譜はアメリカのダン・フォックスが14曲の中から2、12、14曲目の3曲を選び、「ピッコロとピアノのための組曲」として出版されたものです。「組曲」として演奏するだけでなく、アンコール用にこの中の1曲だけ演奏するのもオススメです☆
T.Allegro giocoso 30小節の短い曲ですが、変拍子が出てきます。駆け抜けるような曲です。演奏時間:約1分
U.Rubato sostenuto accelerando 冒頭の次第に早まる同音連打のリズムパターンが繰り返しあらわれます。変拍子も多く、リズムやテンポの変化が印象的な曲です。演奏時間:約4分
V.Valse (Ma mie qui danse…)(踊る恋人) 速いテンポの情熱的なワルツです。演奏時間:約2分
【中級者向け】 演奏時間:約7分 (I)

「楽聖」ベートーヴェンのセレナーデ

セレナーデを作った作曲家は数多くいますが、今回ご紹介するのは「楽聖」と称されるベートーヴェンの作品です。フルートのソロで始まるこの曲は全7楽章からなっており、演奏時間は約24分です。冒頭2小節は、最後の16部音符以外全てニ長調の1度の和音の構成音(D,Fis,A)だけで書かれており、一見単純で簡単そうに見えますが、曲の始まりにふさわしく吹くのは意外と難しいかもしれません。穏やかな子守歌のような楽章、付点のリズムを多用した躍動的な楽章など様々な顔を見せ、最後はPrestoでフルートとピアノがユニゾンとなりffで曲を締めくくります。
なお、原曲である「フルート、ヴァイオリンとヴィオラのためのセレナーデ 作品25」も同じHenle社より出版されております。※ポケットスコア(ID:27790)、パート譜(ID:27789)別売 
【中級者向け】 (I)

ヴァイオリン ソナタの名曲 『春』

ベートーヴェンは10曲のヴァイオリン・ソナタを作曲していますが、中でも特によく演奏されるのが第9番の「クロイツェル」とこの「春」です。男性的で力強い「クロイツェル」に対し、女性的で優美な「春」と対比されることもある名曲です。この版は、アルテスがフルート用に編曲したものにマリオンが手を加えていますが、ピアノ譜は原曲のままで、フルートパートも音の異同は最小限にしてあります。またピアノ伴奏譜のソロパートは原曲のヴァイオリン譜が書かれていますので、フルートパートと見比べることもできる、大変便利な版です。フルートソナタを書いていないベートーヴェン(変ロ長調のソナタは疑作)の世界にぜひ挑戦してみて下さい。
【上級者向け】 (T)

さらっと奏でたいお洒落な一曲

リチャード・ロドニー・ベネット(1936〜2012)はイギリスの作曲家で、映画音楽やテレビドラマのほか、クラシックやジャズの作曲、また彼自身が演奏して活躍しました。代表作はアカデミー賞にノミネートされた作品「オリエント急行殺人事件」(1974)や「フォーウェディング」(1994)などの映画音楽が中心ですが、管弦楽曲、ピアノ曲、合唱曲などの作品も作曲しています。
彼の残した数少ないフルートのための作品の中から、今回ご紹介する「SUMMER MUSIC」は、1982年に作曲されたフルートとピアノの作品です。3楽章形式で1.SUMMER MUSIC、2.SIESTA(昼寝)、3.GAMES(遊戯)となっています。
どの楽章もお洒落な美しい響きで、フルートとピアノのなめらかな掛け合いが特徴です。映画やテレビドラマの劇中に流れてきそうな曲調で、多数の映画音楽を手掛けたベネットの個性に溢れた10分程度の作品です。
サロン・コンサートやBGM演奏などの機会に、プログラムに取り入れてみてはいかがでしょうか。
【中級者向け】 (KM)

波と風を感じてください(Pic.Pf)

ピッコロとピアノの曲をご紹介します。 ケン・ベンシューフ作曲の「波しぶき」は1992年にアリシア・スアレスによって初演されました。 テンポ、拍子などはたびたび変化し、少し暗めですが、ジャズっぽい面白い曲です。
ピアノ譜を見るとよくわかりますが、音の流れが波のようにうねっているように見えるのもお洒落です。
【中・上級者向け】 (B)

発見!フルートで吹くダークタンゴ!

クリフォード・ベンソン(1946-2007)はイギリス生まれのピアニストで、フルートを嗜む皆さんの中にはウィリアム・ベネットの伴奏者といえばピンと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ベンソンによるフルートとピアノの作品は今回ご紹介する「TANGO VARIATIONS」と、ベネットの誕生日に寄せて作曲された「A SONG FOR WIBB」(絶版)があります。
さて、この作品は1つのテーマと3つのヴァリエーションにより構成されています。
皆さんはタンゴというと明るいイメージなどを持たれるかもしれませんが、この曲は暗く、うねるようなテーマをもって始まります。
VAR.1【Allegro vivace e gusto】はテーマのダークな雰囲気からは打って変わって、快活な変奏となっています。
VAR.2【Andante espressivo】は表情豊かに歌い上げます。次に続くヴァリエーションへの持っていき方にも注目です。
VAR.3【Prestissimo con fuoco】はノリが良いリズムと共に始まり、そこから徐々にテーマに戻っていきます。
テーマではピアノが奏でる2拍子は典型的なタンゴのリズムですが、それに乗るダークなフルートの旋律がなんとも忘れられない一曲です。
【中・上級者向け】 演奏時間:約5分 (M.R.)

もう一つの「愛の喜び」

「愛の喜び」といえば名ヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーの名曲を思い出す方が多いでしょう。でももう1曲あるのです。ここで「ああ、あのナナ・ムスクーリが歌っていた曲ね」と分かるアナタは相当古い・・・・・・。そうです、今回取り上げるのはその「愛の喜び」なのです。
このポピュラー・ソングとして大流行した「愛の喜び」は、実はイタリアの古典歌曲とされていて、マルティーニが作曲した曲です。でも間違ってはイケマセン。よく混同されるのですが、イタリアのマルティーニとして有名なのは、モーツァルト少年にも音楽を教えたジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニ(1706 – 1784)ですが、「愛の喜び」の作曲者はジャン・ポール・マルティーニというイタリア名を名乗ってパリで活躍した、本当はヨハン・パウル・シュヴァルツェンドルフ(1741 – 1816)というれっきとした(?)ドイツ人なのです。この人はパリ音楽院の監督官まで務めた人ですから、それなりに実力はあったのでしょう。えっ、なんて面倒なですって・・・そうです、この世の中、実に複雑で面倒くさいんです。
(*ちなみに、今回ご紹介しているチュルーの楽譜の表紙には、ジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニと記されています)
この歌は当時から人気があったらしく、2人の名フルーティストがそのメロディーを使ったファンタジーを書いています。ひとりはイタリアのB.T.ベルビギエ、64小節の序奏に続いて主題と5つの変奏がくり広げられます。もうひとりはフランスのJ-L.チュルーで、こちらは72小節の序奏、主題、3つの変奏と123小節からなる長い終曲から出来ています。どちらも名フルーティストの作品ですからそこそこ難しいのですが、チュルーの方がより難易度が高そうです。演奏会のプログラムなどに肩の凝らない曲として是非使ってみて下さい。
(SR)

不思議な雰囲気が漂います(Rec.Bc)

バークリーは1903年生まれのイギリスの作曲家です。 パリでブーランジェの下、作曲を学び、プーランク、オネゲル、ルーセル等、フルートの重要なレパートリーを残した作曲家とも親交があったようです。
このSONATINEは本来リコーダーとピアノのために作曲された曲ですが、フルートで演奏される事も多い作品です。 3楽章からなり、ミステリアスに始まる1楽章、ゆったり落ち着いた2楽章、軽快なテンポ、ピアノとの掛け合いが楽しい3楽章へと続きます。 全体で10分程の曲で、演奏会の曲として組み込み易いおすすめの一曲です。
【初・中級者向け】 (SH)

お洒落な一曲

ベルトミューはフルートアンサンブル曲「猫」や「アルカディ」の作曲者としておなじみですが、フルートとピアノの編成の曲もございます。このロマンティック組曲は「アレグロ・モデラート」「ロンド」「メヌエット・グラーヴ」「プレスト」の4つの楽章から成るチャーミングな作品。フルートとピアノがおりなす色彩豊かな響きが魅力的です。
演奏時間:約9分 (E)

ミステリアスな一曲です。

ブロッホはスイスで生れたユダヤ系の作曲家です。ブリュッセル音楽院でヴァイオリンを、フランクフルトのホッホ音楽院で作曲を学びました。第二次世界大戦の影響でアメリカへ移住し、市民権を取得しました。作曲家として活躍する一方、教育者としても名を馳せ、アメリカ各地の音楽学校で教鞭を取り、多くの優秀な生徒を輩出しました。作品はユダヤ的な題材を扱っているものを数多く残しています。
「旋法の組曲」はブロッホ晩年の1956年にアメリカのフルーティスト、エレーヌ・シェファーに捧げられた曲です。中世からルネサンスの旋法が用いられ、全体が神秘的な雰囲気に包まれています。ある程度テクニックをお持ちの方なら、演奏しながらメロディーの美しさをじっくり味わうことができるでしょう。フルートのもつ、繊細で優雅で美しいイメージをそのまま音楽にしたような大人の一曲です。
【中・上級者向け】 演奏時間:22分 (U)

お好きなほうをどうぞ!

「動物界」という言葉を聞いたことがありますか?今回おすすめします曲は、テオドール・ブルーマーの作曲です。全部で6つの小曲からなり、それぞれにタイトルがつけられています。
1. きつね狩り 2.白鳥 3.南へ向かう鳥の飛行 4.羊飼いと羊たち 5.ジプシーと踊る熊 6.ガゼル
1曲3〜4分程の曲ですので、アンコールや発表会などで抜粋して演奏しても良いと思います。
動物たちの生き生きとした様子や、優雅さ、また、ジプシーと踊る熊とは・・・?など考えてみると、物語がまた広がるのではないでしょうか。
【中級者向け】 (B)

一風変わったタイトルの作品をご紹介いたします。テオドール・ブルーマーの作曲で、こちらも「動物界より」と同じく、全部で6つの小曲からなり、それぞれにタイトルがつけられています。
1.ユリ 2.サクラ草のお話 3.ヒルガオ 4.サボテン 5.スギ 6.ラン
花々の可愛らしい様子やサボテンのトゲトゲなど、イメージして吹いてみると、面白さがより出てくるのではないでしょうか。
【中級者向け】 (B)

忘れられた19世紀フランス・オペラ9

フランソワ=アドリアン・ボワエルデュー(1775-1834)の作品の中で、現在耳にする機会が多いのはロココ風の名残の典雅なハープ協奏曲でしょうか。彼はマイアーベーアやオーベールの一世代前の作曲家で、19世紀初頭の仏蘭西楽壇における重鎮でした。この時代はグランド・オペラの確立前ですが、オペラが音楽生活の中心を既に占めており、ボワエルデューも多くのオペラを残しましたが、現在上演されることは少なく、今回取り上げる《バグダッドの太守》や彼の代表作である《白衣の婦人》の序曲が演奏される程度です。
《バグダッドの太守》は1800年に初演され、19世紀前半に高い評価を得てボワエルデューの名声を確立したオペラ=コミックです。オペラ=コミックとは元来は字義通り滑稽な内容のものであり、シリアスな歌劇との差別化を図るために台本の一部は歌われることなくセリフで語られ、短時間で終わる軽いものでした。上演される劇場も「オペラ=コミック座」という専用のものがあり、「オペラ座」では上演しないといった厳密な区別、ヒエラルキーが存在しました。ただ、社交界の上流紳士淑女が集い、貴賓を接待するといったオペラ座の役割から観客動員を安定させるためレパートリーが硬直化したのに対し、本作やビゼーの《カルメン》といった若手作曲家の新作の受け皿となったのがオペラ=コミック座でした。そのため、後年は喜劇の制約は無くなりましたが、その他の制約はそのままで、パリ音楽院(コンセルヴァトワール)においてもオペラ科とオペラ=コミック科は別々に存在していました。
《バグダッドの太守》はその名の通り、主人公はイザウンという太守(カリフ)で、自由に街でお忍び歩きをするために偽名を使い、身なりをみすぼらしくして出かけていました。ある日、山賊からヒロインのゼトゥルベを救い出し、恋に落ちます。彼女の母親はイザウンの姿を見て結婚を許可せず、逆にイザウンが宝石を用意したのを見て、彼が山賊なのではと勘違いし、ひと騒動が起きて最終的に素性が明らかになり、めでたく結婚のハッピー・エンドとなります。
設定がバグダッドとあるように、東洋趣味(オリエンタリスム)の作品ですが、18世紀末の作品ですので、真正な東洋の音階や楽器が取り入れられているわけではなく、ラモーの《華やかなインドの国々》の系譜につながる、幻想世界を描いた優雅な音楽となっています。序曲に始まり、主要なアリアがポプリとしてつなぎ合わされ、華やかなコーダで締めくくられます。超絶技巧のファンタジーではなく、録音再生装置の無い時代にサロンや家庭で楽しめるよう編曲されたものですので、発表会や演奏会のアンコールにご活用いただけると思います。
(2022年8月記)(M.N.)

忘れられた19世紀フランス・オペラ1→楽譜ID:26347(ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー )
忘れられた19世紀フランス・オペラ2→楽譜ID:30704(ドップラー/オペラ・フェイヴァリッツ 第2巻 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ3→楽譜ID:26588(タファネル/「ニヴェルのジャン」によるファンタジー)
忘れられた19世紀フランス・オペラ4→楽譜ID:24355(サン=サーンス/パヴァーヌ&夕べの夢 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ5→楽譜ID:25608(タファネル/「フランチェスカ・ダ・リミニ」によるファンタジー(ベルノルド編))
忘れられた19世紀フランス・オペラ6→楽譜ID:24046(マスネ/バレエ組曲「ル・シッドより」)
忘れられた19世紀フランス・オペラ7→楽譜ID:20970(グノー/「ロメオとジュリエット」(グノー)によるファンタジー 第2番)
忘れられた19世紀フランス・オペラ8→楽譜ID:30070(ビゼー/耳に残るは君の歌声(歌劇「真珠採り」より))
忘れられた19世紀フランス・オペラ9→楽譜ID:27579(ボワエルデュー/曲集「バグダットの回教国の王」より )
忘れられた19世紀フランス・オペラ10→楽譜ID:23103(アレヴィ/サロン風四重奏曲 (アレヴィ) )

天才姉妹の妹

リリ・ブーランジェはフランスを中心に活躍した若手の女性作曲家でした。わずか24年の短い人生でしたが、作曲家として大成功を収めました。歴代の受賞者にはベルリオーズ、ビゼー、ドビュッシーやイベールがいる、フランスを代表する作曲家コンクール「ローマ賞」で女性として初めて大賞を受賞しました。これにより、社会で女性の活躍が認められなかった時代に、女性も男性と同じ土俵で戦えるということを証明した立派な作曲家でした。
一流の音楽一家に生まれたリリは、年上の姉ナディアと一緒に幼い頃からパリ音楽院で作曲を勉強しました。リリのあまりの才能ぶりに、ナディアはリリの影に隠れてしまいましたが、ナディアは有名な作曲家の指導者として音楽界に長年貢献しました。
リリは声楽曲を中心に作曲しました。多くの評論家は彼女の楽曲を「美しいメロディーを持つ印象派のようなフランスっぽさ、時にはフォーレを思わせるような哀愁ただよう豊かな表情がある」と評価しています。
今回ご紹介する曲は、リリの晩年(1918)に作曲されました。オリジナルはヴァイオリンとピアノの編成でしたが、姉・ナディアの力を借りながら、後に自らオーケストラ用、弦楽トリオ、フルート用に編曲しました。冒頭は軽快な付点のリズムが次々と転調しながら続きます。中間はレガートで横に流れる美しい旋律が続き、終盤は前半の生き生きとしたリズムが再登場します。
【中級者向け】演奏時間:約5分30秒 (C.K.)

「春の朝に」だけじゃない、リリ・ブーランジェのフルート作品!

初めて女性でローマ賞を獲得し、24歳という若さで亡くなったフランス近代の作曲家、リリ・ブーランジェの「フルート作品全集」がSchott社から出版されました。この曲集には、コンサートやCDへの録音でもよく取り上げられている人気作「春の朝に」(1917/1918)をはじめとして、「ノクチュルヌ」(1911)、「序奏―行列」(1914)、「小品」(1910)の全4曲が収められています。ヴァイオリンのために書かれたものも含みますが、ブーランジェのフルート作品を網羅した内容で、最後に所収された「小品」は世界初出版。いずれも2分から5分程度の短い作品で、難易度も高くありませんが、作曲者の繊細な感性が光る生き生きとした音楽が描き出されています。
また編集者によって“この4曲は個々の作品だが、必要に応じて2楽章、3楽章、4楽章の組曲として一緒に演奏することができる”と記されていますので、演奏会や発表会用にお好みの曲を組み合わせて演奏してみてはいかがでしょうか。
ぜひ「春の朝に」だけじゃない、ブーランジェの才気あふれる作品の魅力をご堪能ください!
【初・中級者向け】(M)

可憐です

ボニスはフランスの女流作曲です。 パリ音楽院で作曲を学び、数多くのピアノ曲、室内楽曲、歌曲などを残しました。 しかし、当時はまだ女性が作曲をする時代ではなく、また両親の理解も得られず、 大変苦労をしました。
この曲は、女性らしい軽やかで可憐な小品です。 ピアノの動きが美しく、影響をうけたとされるドビュッシーを思わせます。 4分程度の短い曲ですが、印象に残る、『この曲は誰の曲?』と気になってしまう作品です。 サロンコンサートなどでプログラムに加えて頂きたい一曲です!
【中級者向け】 (U)

フランスのフルート音楽のレパートリーを増やしてみませんか?

ボニスは、1858年にパリで生まれたフランスの女性作曲家です。
この曲はルイ・フルーリーに捧げられています。第1楽章は、どことなく郷愁を感じさせる旋律が印象的です。第2楽章は吹きぬける風のような感じで、わずか2分程度の短い楽章です。第3楽章はしっとりとしたイメージ。第4楽章は全体的に壮大な感じで、冒頭のメロディがあちらこちらに顔を出します。
とても素敵な曲ですので、フランス作品のレパートリーに加えてみませんか?
【中〜上級者向け】 演奏時間:約17分 (I)

忘れられた19世紀フランス・オペラ1

フルートのレパートリー、特にフレンチ・スクールの楽曲には「オペラ(作品名)によるファンタジー」といった作品を多く見かけます。これらは、当時の人々がオペラ座で観劇して聴きなじんだメロディをサロンや家庭で再現し、なおかつ超絶技巧をアピールできるよう作編曲されたものですが、クラシック音楽といえども流行や地域性があり、現代の日本の我々にはなじみの無いオペラにしばしば遭遇し、練習の際、作品背景を勉強するのに苦労された方も多いのではないでしょうか。そもそも、19世紀フランスのグランド・オペラ(グラントペラ)というジャンル自体が既に縁遠く、現在フランス・オペラの代表格とみなされるビゼーの「カルメン」はグランド・オペラではなく格下のオペラ・コミックなのですが、説明が長くなるのでまたの機会に譲ります。それでは、チュルー、アルテス、タファネル、ゴーベールなどが活躍した時代のオペラ座の観客席にタイム・トラベルしてみましょう。
《「アフリカの女」による華麗なファンタジー》
本年2019年はパリ・オペラ座創立350周年ですが、それを記念し、2018−19年のシーズンの最初を飾って上演されたプログラムはジャコモ・マイアーベーアの《ユグノー教徒》でした。実はこの《ユグノー教徒》、パリ・オペラ座で初めて1000回以上の上演を記録した空前の大ヒット作だったのです。その後もマイアーベーアは《預言者》などの作品により、グランド・オペラの作曲家としての不動の地位を確立しました。しかし、生前の成功は大勢のライヴァルの嫉妬を買い、多くの批評により攻撃され、死後は急速に忘れ去られてしまいました。
今回取り上げる《アフリカの女》はマイアーベーアの遺作です。ただし、作曲者自身が最終的に考えていたタイトルは「ヴァスコ・ダ・ガマ」で、メインの筋書きはヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を発見するという話ですが、波乱万丈の冒険物語というより、アジアへの案内人としてアフリカからヴァスコのもとに連れてこられた男女の奴隷のうち、女性のセリカが実はインド洋上の島の女王で、彼女と、ヴァスコのフィアンセのイネス、ヴァスコのライヴァルのドン・ペドロとの間で繰り広げられる恋物語が中心になっています。
ボルヌがこの《ファンタジー》で用いたモチーフは以下の通り。冒頭と最後に使われるメインのテーマは、第一幕終結でヴァスコが自身のインド航路開拓のための計画を実現させようとするも、案内人として連れてきた奴隷が口を割らないために出身国が判明せず、計画が議会で否決され、怒りのあまり無礼な態度をとったヴァスコが議会側から糾弾され牢送りになるシーン。第一幕冒頭、ヴァスコの帰りを待つイネスが歌うロマンス。第四幕、セリカの母国の島に捕らわれの身としてたどり着いたヴァスコが、美しい東洋の国の情景に幻惑されて歌うアリア「素晴らしい国、おおパラダイス」。第四幕冒頭、帰国したセリカを迎える戴冠式の音楽、異国情緒あふれるバレエです。
(2019年10月記)【中・上級者向け】(M.N.)

忘れられた19世紀フランス・オペラ1→楽譜ID:26347(ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー )
忘れられた19世紀フランス・オペラ2→楽譜ID:30704(ドップラー/オペラ・フェイヴァリッツ 第2巻 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ3→楽譜ID:26588(タファネル/「ニヴェルのジャン」によるファンタジー)
忘れられた19世紀フランス・オペラ4→楽譜ID:24355(サン=サーンス/パヴァーヌ&夕べの夢 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ5→楽譜ID:25608(タファネル/「フランチェスカ・ダ・リミニ」によるファンタジー(ベルノルド編))
忘れられた19世紀フランス・オペラ6→楽譜ID:24046(マスネ/バレエ組曲「ル・シッドより」)
忘れられた19世紀フランス・オペラ7→楽譜ID:20970(グノー/「ロメオとジュリエット」(グノー)によるファンタジー 第2番)
忘れられた19世紀フランス・オペラ8→楽譜ID:30070(ビゼー/耳に残るは君の歌声(歌劇「真珠採り」より))
忘れられた19世紀フランス・オペラ9→楽譜ID:27579(ボワエルデュー/曲集「バグダットの回教国の王」より )
忘れられた19世紀フランス・オペラ10→楽譜ID:23103(アレヴィ/サロン風四重奏曲 (アレヴィ) )

忘れられたコンクール用小品8

ロジェ・ブトリは日本の吹奏楽ファンにはおなじみの名前でしょう。1973年から1997年までの長きにわたり、フランスの軍楽隊の名門、ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽団の首席指揮者を務めました。吹奏楽編成で何度も来日しており、日本公演の模様がDVDで発売されたこともあります。親日家で、「Ikiru Yorokobi (生きる喜び)」という吹奏楽曲や、「Asuka (飛鳥)」というクラリネットとピアノのための曲も作曲しています。彼は1932年に音楽一家に生まれ、コンセルヴァトワール(パリ音楽院)にてナディア・ブーランジェ、トニー・オーバンらに師事、作曲や伴奏をはじめ、8つのクラスで一等賞を取り、1954年には若手作曲家の登竜門、ローマ大賞を受賞しました。1962年には母校の和声科の教授となり、1997年まで務めています。
《コンチェルティーノ》は1955年のコンクールのために作曲されました。ローマ大賞の受賞の翌年です。どうやら、他の管楽器クラスの課題曲の例を見ても、コンクール用小品の作品の委嘱が、有望な若手作曲家に対する支援となっていたようです。当時のフルート科の教授、ガストン・クリュネルに献呈されています。「小協奏曲」ということで単一楽章の曲ですが、大きく分けると緩−急−急の3つの部分に分かれます。半音上行を素材とした旋律の導入部で始まり、アンダンテではまず付点による旋律が大きな弧を描き、次に遠くから叙情的で静的な主題が聞こえます。三連符による主題で次の部分に向かってアッチェレランドをかけます。第2部はアレグレットで、3拍子のダンスのリズムに乗り、流れるような息の長い旋律をフルートが奏でます。次第に音価が短くなって盛り上がりを見せた後、元の旋律に戻ります。第3部はアレグロ・ヴィーヴォです。第1部の導入部の旋律を展開させた後、その断片を契機としてフルートが上行跳躍主題を奏でます。半音下行進行を含む叙情的な旋律が応答となり交互に繰り返された後、第二主題は三連符による舟歌のような旋律です。アニマートで頂点を迎えた後再現部となり、その後は第一主題とは逆に下行跳躍をバネにした旋律を元に第二の頂点を作り上げ、カデンツァに突入します。コーダではオクターヴの下行エネルギーを元にした旋律がヴィヴァーチェで駆け抜けて終わります。
6月6日に行われたコンクールで一等賞を取ったのはジャン・サイヤール、モーリス・シェヴリ、ジョルジュ・ゲヌーの3人ですが、残念ながら特に大きな足跡を残していません。ゲヌーがかつてグラーフと一緒にチマローザの2本のフルートのための協奏曲を録音しましたが、現在廃盤です。
(2018年10月記)(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

イギリスの作曲家

英国の作曲家といえば、エルガー、ブリテンが有名ですが、今回はエドウィン・ヨーク・ボーウェンの作品を紹介いたします。 彼はイギリスの王立アカデミーでピアノと作曲を学び、「イギリスのラフマニノフ」と呼ばれ近年再評価を受けています。ピアニストとして活躍しながら、作曲家としてピアノ曲を数多く作曲しています。その中でフルートの作品もいくつか作曲しており、このフルート・ソナタ 作品120は、1946年にフルーティストのガレス・モリス氏のために書かれました。3楽章構成。 華やかな派手さはありませんが、しっかりした1曲として新しいレパートリーの一つに加えてみてはいかがでしょうか。
Allegro, non troppo - Andante piacevole -Allegro con fuoco 
【中級者向け】 演奏時間:約18分 (B)

フランスから逆輸入

ボザは、フランスのニースに生まれ、幼少期からヴァイオリンを学び、その後パリ音楽院で作曲・指揮を学んだ、フランスを代表する作曲家の一人です。交響曲からオペラやバレエ、室内楽と多くのジャンルを手掛けた多作家として知られています。彼の管楽作品の多くはパリ音楽院の試験曲のため、高度な演奏技術を要する場合が多いのですが、晩年に作曲されたこの「日本民謡の主題による5つの歌」は技術的には比較的やさしい作品に仕上がっています。
5つの民謡は、今日まで代々謡い継がれているものばかりです。表紙及び曲の始めに引用された民謡が示されていますが、順番が入れ替わって表記されているようですので(※ボザが間違えて曲名を記憶してしまったのか、出版社が出版する時に曲順を入れ替えてしまったのかはわかりません。)お気を付けください。正しくは、1曲目・力強い相馬武士の馬追い「相馬流れ山」、2曲目・草津温泉の湯もみで歌われる「草津節」、3曲目・宮崎県高千穂に伝わる茅を刈り取る際の仕事歌「刈干切唄」、4曲目・盛岡のお祭りで有名な「さんさ踊り」、5曲目・悲恋に散った男女を謡った「江島節」の順です。
フランス作品らしい響きを大切にしつつフランス作曲家目線で日本的な「こぶし」や「溜め」を表現しており、両者が絶妙なバランスを保っているのもこの曲の大きな特徴です。短くシンプルな5曲なので、幅広い層の方にお楽しみいただけそうです。あまり知られていない作品ではありますが、フランスの「粋」を採り入れた日本民謡を楽しんでみてはいかがでしょうか。新たな発見があるかもしれません。
【中級者向け】 (AN)

ボザのアラビア風子守唄

技巧的な作品が多いボザには珍しく、短くゆったりとした美しい曲です。
子守唄というと優しく透明感溢れるイメージがありますが、予想をねっとり裏切り、穏やかに寄せては返す纏わりつくような旋律を、アラビアの民族音楽を思わせる独特な装飾音が彩ります。曲名へのイメージと実際の雰囲気とのギャップがたまりません。
全体的に音域は低めで、演奏時間は約4分。ボザ入門にもおすすめの一曲です。
【中級者向け】 (AN)

発表会やサロンコンサートにおすすめ♪

ボザ(1905-1991)はフランス人とイタリア人を両親に持つ、ニース生まれの作曲家です。パリ音楽院でヴァイオリン・指揮・作曲を学び、ローマ大賞を受賞。指揮者としても活躍しました。管楽器曲を数多く残しており、フルート・ソロのための「イマージュ」、4本フルートの「夏山の一夜」のほか、「アグレスティード」や「14のアラベスク練習曲」など、フルートのための重要なレパートリーも豊富です。
『イタリアン・ファンタジー』は5分半くらいの短い曲です。少し哀愁漂うカデンツァ風のパッセージに始まり、印象的なシチリアーノのメロディーを挟んで、スケルツォの軽やかなテンポに乗って様々な上行・下行音形を繰り返し、華やかにフィナーレを迎えます。
このシチリアーノのメロディーは、フルートとギターの編成の『子守歌』にも使われています。ボザのお気に入りの旋律だったのかもしれません。
演奏する人も聞く人も飽きさせない、変化に富んだ作品です。
ボザの隠れた名曲をレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか!
【中・上級者向け】 演奏時間:約5分半 (U)

クラリネットをフルートで

ブラームスは1894年に2曲の「クラリネット・ソナタ」(作品120の1と2)を作曲しました。クラリネットは特にブラームスが好んだ楽器のひとつで、これらの2曲以外にも「クラリネット五重奏曲 ロ短調」「クラリネット三重奏曲イ短調」などが残されています。これらの作品はモーツァルトにとってのシュタットラー兄弟のように、当時の名クラリネット奏者だったR.ミュールフェルトとの交友から作られた作品です。2曲の「クラリネット・ソナタ」はヴィオラでも演奏され、さらに第1番はピアノ部分を改訂したヴァイオリン版も存在します。4楽章からなり、全体で25分程かかる大曲ですが、ブラームス晩年の作らしく、内面的な情熱を感じさせ、簡潔な書法で書かれた洗練された名作です。 IMC社からフルート用に編曲・出版された新刊です。
(SR)

ヴァイオリンソナタに挑戦

19世紀ドイツロマン派を代表する作曲家ブラームスは、4曲の交響曲を始め、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲、室内楽に歌曲と多彩な作曲活動をしましたが、残念ながらフルートのためのオリジナル作品はありません。このため、クラリネットソナタやヴァイオリンソナタのフルートへの編曲版の出版がここ数年相次いでいます。このヴァイオリンソナタ第2番は初めてのフルート用の楽譜と思われます。この第2番は3曲あるブラームスのヴァイオリンソナタの中でも特に歌曲を思わせるメロディーの美しさが印象的です。
第1楽章 Allegro amabile (速く、愛らしく)、第2楽章 Andante Tranquillo (やや遅く、静かに)、第3楽章 Allegretto grazioso (quasi Andante) (やや速く、壮大に) からなり、ほかの2曲のソナタよりやや小粒な印象ですが、とかく渋いと言われがちなブラームスの室内楽の中で、叙情的で晴れ晴れとした美しさが心に残る名曲です。技巧的な難しさより、ピアノともども曲の内面の解釈が求められますが、ぜひフルーティストにも挑戦していただきたいと思います。
 【上級者向け】 (T)

上品な間奏曲です

原曲はピアノ独奏曲の「6つの小品 作品118」の第2曲目、原調はイ長調です。 1892年に作曲され、1894年にロンドンで初演されました。
この曲は、3拍子の3拍目が1拍目に聞こえたり、へミオラの取り入れ方などがさりげなかったりと、ブラームスらしく、静かながらもとても上品で美しい間奏曲です。
心洗われるような旋律をお楽しみください。

なお、ご紹介している第2曲目はこの楽譜では1曲目に入っており、同じ作品118の1曲目も収録されております。
(B)

名フルーティスト・ブリッチャルディ作曲

「アイーダ」による劇的幻想曲 OP.134/ 「椿姫」による自由な編曲/ 「トロヴァトーレ」による幻想曲/ 「ドン・カルロス」による幻想曲 OP.121/ 「マクベス」による幻想曲 OP.47
オペラのメロディーを主題にしたフルート曲は、19世紀には数多く作曲されました。 中でもヴェルディのオペラは人気が高く、ジュナン、ユグーなどの作品が現代でもよく演奏されています。 このブリッチャルディの作品もそういった一つで、名フルーティストであったブリッチャルディが自らの技巧を披露すべく作った華やかな名曲ぞろいです。 長らく絶版になっていたもので、新しく校訂された上、見やすい現代譜としてよみがえりました。テクニックと歌心の両方が要求されますが、リサイタルや上級者の発表会のレパートリーにいかがでしょうか。
【上級者向き】 (T)

“ワーグナー・イヤー”にぴったり♪

19世紀に活躍したフルートのヴィルトゥオーゾ、ブリッチャルディの作品で、ワーグナーの「ローエングリン」から有名な「婚礼の合唱」や「聖杯の動機」のテーマなどが抜粋して使用されています。技巧的で華やかなフレーズや美しい歌を奏でる一節など、フルートの魅力が充分に発揮される曲です。ブリッチャルディは他に「『ランメルモールのルチア』による終曲」や「マクベス・ファンタジー」など、この作品のように有名なオペラを題材とした曲を数多く残しました。
今年2013年に生誕200年を迎えるワーグナー。この「ローエングリン」はもとより、「トリスタンとイゾルデ」「タンホイザー」など多くの有名な作品を作曲し、自ら「楽劇」というジャンルを提唱しました。この「楽劇」という名称は、「トリスタンとイゾルデ」(1865年)以降の作品に対してつけられているようです。彼の熱狂的なファンも多く、影響力の強さがうかがえます。“ワーグナー・イヤー”の今年、演奏会や発表会などのステージにぴったりな1曲と言えそうです。
【上級者向け】 (YS)

忘れられたコンクール用小品5

フランソワ=ジュリアン・ブランは作曲家というより、フルート奏者、吹奏楽ファンの方ならばギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の楽長としての指揮姿でなじみがあるかもしれません。1961年には同楽団と来日しています。ブランはリヨンの南西、サン=テティエンヌにて1909年に生まれました。コンセルヴァトワール(パリ音楽院)においてゴーベールやモイーズに師事し、1928年に卒業コンクールで一等賞を取りました。その時のコンクール用小品はゴーベールの《バラード》でした。また、同時に一等賞を取った同期の一人が、後にスイス・ロマンド管弦楽団の首席奏者として活躍したアンドレ・ペパンでした。ブランはフルートだけでなく、和声や対位法などの作曲書法(エクリチュール)のクラスにも所属し、一等賞を得ました。そのことが今回の作曲につながっています。1937年頃には既にギャルドのフルート奏者として活躍していましたが、1945年から1969年まで楽長を務めました。その後も客演指揮者として様々なオーケストラで活躍しました。
 《アンダンテとスケルツォ》は1948年の卒業コンクールで取り上げられましたが、1945年の出版です。モイーズに献呈されています。1948年当時の教授はモイーズとクリュネルの二人体制でしたが、その後モイーズは辞職しましたので彼にとっては最後のコンクールとなりました。〈アンダンテ〉はメリスマ的な息の長い主題が特徴です。第一主題から少し変形された第二主題が展開され頂点を迎えた後、最初の主題に回帰して静かに終わります。〈スケルツォ〉は八分音符=180の中に三連符をスタッカートで入れていかなければならず、演奏者にとっては冒頭からトリプル・タンギングによるマラソンが始まります。少し変形された第二主題においても雰囲気は変わらず、53小節耐え忍んだ後に初めて伸びやかな旋律主題が現れ、光が見えます(ランナーズハイ?)。しばらく展開された後、第一主題に戻り、そのまま苦しい息の中マラソンを走りきるかのようにディミヌエンドで(力尽きて?)終わります。このコンクールで一等賞を取ったうちの一人がクリスティアン・ラルデで、二等賞の一人がペーター=ルーカス・グラーフでした。また、コンクールを受験した生徒にはイージー・リスニングの第一人者と知られるレイモン・ルフェーブルの名前が見えます。彼もモイーズの弟子でした。
ブランのフルーティスト、指揮者だけでなく、現在忘れられた作曲家という一面を再発見するきっかけになれば幸いです。
(2017年10月記)(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

新たに発見されたビュファルダンのフルート協奏曲!

ピエール・ガブリエル・ビュファルダンといえば、バロック時代のフランスのプロヴァンス出身の大フルーティストで、長年ドレスデンの宮廷で活躍し、かのJ.J.クヴァンツのフルートの先生であり、またバッハ家との関係から、J.S.バッハのフルート作品にも多大な影響を与えた人物といわれています。
これほどまでにフルート界に貢献し、大きな業績を残していながら他の作曲家に比べて演奏や録音の機会が少ないのは、残された作品がごくわずかであることが影響していると思われます。ビュファルダンの作品としては、「フランス・バロックのフルート協奏曲」としてよく取り上げられるホ短調のフルート協奏曲以外は、1曲のトリオ・ソナタが知られているのみでした。
今回ご紹介する「フルート協奏曲 ヘ短調」は、この楽譜の校訂者(Wim Brabants)がドレスデンのザクセン州立図書館で発見したもので、有名なホ短調の協奏曲に作風が大変良く似ていること、手書きの楽譜の第1ページ右上(作曲者を記す部分)に「B.G.」または「P.G.B.」と読めるモノグラムが記されていることから、ビュッファルダンの作品と同定したものです。
バロック時代の、またフランスのフルート協奏曲の新しいレパートリーとして注目すべき作品です。
(SR)

愛らしい組曲

ビュッセルは1872年フランス生まれ。この曲は温かい優しさが伝わってくるとても美しい4つの曲で構成されています。お洒落なサロン音楽風のサラサラとした心地よい流れの組曲です。
T.En Sourdine(声を弱めて) 穏やかな雰囲気でとても繊細な響きに魅了されます。ヴァイオリン演奏の場合は弱音器を付けて演奏します。
U.Valse Lento(ゆっくりなワルツ) 美しくしっとりとしたフレーズが転調したり、音域を変えながら繰り返し現れます。
V.Vieille Chanson(古めかしい歌) どこか素朴で懐かしい哀愁のあるメロディです。
W.Scherzetto(スケルツェット) 最終曲にふさわしい、軽やかで明るく可愛らしい曲です。
【中級者向け】 演奏時間:約9分 (E)

カゼッラ!!!

カゼッラ…と言うとシシリエンヌとブルレスクを思い浮かべる方が多いと思いますが、今回はカゼッラがフルートとピアノの為に書いたもう一曲“バルカローラとスケルツォ”を紹介したいと思います。カゼッラはイタリアの作曲家・ピアノ奏者・指揮者・評論家で1896年(13歳)パリ音楽院に入学し1900年フォーレに師事しました。バルカローラとスケルツォは1903年にカゼッラが20歳の時にフリップ・ゴーベールに捧げた曲です。曲調はバルカローラ=舟歌らしく流れるきれいなメロディーからスケルッツォ=快活でおどけた感じが特徴で、当時のフランス楽壇の空気を十分に伝える作品となっています。
【中・上級者向け】 演奏時間:約9分15分 (N)

偉大なフルートの父のお墨付き曲

アルフォンス・カトリン(1868-1927)は、ベルギー出身で、後にパリ・オペラ座のボーカルディレクター、オペラコミック座の指揮者を務めました。
今回ご紹介する「ノクチュルヌ」は、1900年に近代のフルートの父とも呼ばれるポール・タファネルへ捧げた曲です。20世紀の名曲揃いの中、作曲された当時はあまり広く知られてはいませんでしたが、タファネルはカトリンの音楽性に感銘を受けたといわれています。
ロ長調で曲はスタートし、ピアノの低音と小刻みに進むフレーズが穏やかな雰囲気を作ります。 アリアのように始まるフルートの冒頭部分は抒情的で美しく、中盤は次第にドラマチックな展開へと移り変わっていきます。フルートの良さを存分に発揮できる、あたたかく包み込むような旋律の音型に、聴衆も思わず聴き入ってしまうでしょう。知られざる名曲。演奏時間は4分程度ですので、アンコールピースとしてもおすすめです。
収録CDはこちらです。
(CD-ID:4077)峰岸壮一/50th ANNIVERSARY〜21世紀への贈り物〜
(CD-ID:6064)ケネス・スミス/「無言歌」:ポール・タファネルの遺産(3枚組)
【中級者向け】演奏時間:約4分 (A.K.)

フランスのサロンをイメージしてください!

華やかでおしゃれなワルツをご紹介します。
「コンチェルティーノ 作品107」で有名なフランスの女性作曲家、シャミナードの作品です。 5分くらいの短い曲ですが、メロディーの美しさ、華やかなパッセージ、そして躍るような軽やかなリズムに溢れた素敵な小品です。発表会やサロン・コンサートでさらりと吹くと、ファンが増えるのではないでしょうか!?
【中・上級者向け】 演奏時間:約5分 (U)

春夏秋冬、いつでもどうぞ。

「コンチェルティーノ作品107」でお馴染みのセシル・シャミナード。彼女は作曲家、ピアニストとしてフランスで活躍しました。フルートの作品も数曲残していますが、ピアノの作品が多数です。今回ご紹介する「秋」も、ピアノのために書かれた独奏曲「6つの演奏会用練習曲 作品35」の中の一曲で、シャミナードの作品の中で、人気のある曲として演奏されています。こちらを英国のフルーティストであるトレヴァー・ワイが、フルートとピアノの編成に編曲しました。
穏やかな秋の空気や匂いが感じられそうな美しいメロディで始まったと思いきや、何事かと突風が吹いてきたかのような荒々しい雰囲気になり、徐々に静まり、最後は穏やかさを取り戻します。原曲は変ニ長調ですが、変イ長調に移調されています。5分程度の小品ですので演奏会のプログラムに取り入れやすい一曲です。四季の作品をお探しの方、是非演奏してみてはいかがでしょうか。
【初・中級者向け】 (KM)

曲名に偽りなし!

タイトルにつられて、見たり、聴いたり、買ったりしたことは有りませんか?この曲は題名から想像されるように、ロマンティックで魅惑的な作品です。シャミナードと言えば「コンチェルティーノ」が有名ですが、是非、この曲もアンコール曲やサロンコンサートのプログラムに加えてください。「看板に偽りなし!」の代表曲を紹介いたしました。
シャミナード…パリ生まれ。女性ピアニスト・作曲家。彼女の作品には、甘く洗練されたメロディが多く使われ、当時のサロン・ミュージックとしても相当の人気を得ていました。この作品は当時パリ音楽院教授であったM.HENNEBAINSに捧げられました。
(Y)(K)

ロッシーニの主題による「変装」曲

ロッシーニ作曲の喜劇「チェネレントラ」は、世界的に有名な童話「シンデレラ」を題材にした作品です。シンデレラの物語には様々なバリエーションが存在し、最も古いものは紀元前1世紀に書かれたようです。ロッシーニ版の「シンデレラ」の内容は、一般的に知られているものとは異なり、魔法のおばあさんやガラスの靴は出てきません。しかし、物語は「シンデレラ」に似ています。それに加え「変装」が中心の題材になっています。王子は花嫁探しの為、彼自身や部下をあえて変装させ、主人公の家を度々偵察し、主人公や異母姉を見定める物語になっています。
今回の楽曲は、劇中のアリア「もう悲しくありません」を、ショパンが変奏曲にアレンジしたものです。主人公のチェネレントラが大喜びで、いじわるな父姉が住む家を出ていく場面で歌われるアリアです。
14歳の時に作曲されたと言われていますが、ピアノ伴奏が非常にシンプルなので、本当にショパンが作曲したかどうか疑われています。しかしフルートでの演奏にぴったりで、とても可愛らしくチャーミングな変奏曲です。
楽譜はショパンの父の友人の手元で保管されていた為、1953年まで発見されなかったという説もあります。主題と4つの変奏曲で構成され、第2変奏のみ短調です。この時代に作曲された多くの変奏曲が派手で長いのですが、この楽曲は比較的洗練されており、演奏時間もたったの3分半です。変奏曲に気軽に挑戦したい方におすすめの一曲です。
【中級者向け】演奏時間:約3分30秒(CK)

序奏と華麗なるポロネーズ

フレデリック・ショパンは、残した作品99パーセントはピアノ曲といってもいいほど、ピアノ以外の曲を書かなかった人です。それでも数曲の室内楽と歌曲を書いています。その中の1曲はフルートとピアノのための「ロッシーニの主題による変奏曲」ですが、チェロとピアノの作品は3曲残っています。これは、友人にチェロ奏者が2人いたためで、1人は1846年にチェロ・ソナタを献呈したA.フランショーム、もう1人はそれより前の1829年に今回ご紹介する「序奏と華麗なるポロネーズ」を献呈したJ.メルクです。
曲はポロネーズの部分が1829年に作曲され、序奏は1830年に追加されています。チェロの語法を上手く使いながら、作品は正に「ピアノの詩人」の面目躍如といった趣で、フルートへの編曲も上手く出来ています。ショパンの作品のフルートへの編曲のなかで、おそらく最も成功した例のひとつではないでしょうか。演奏会のプログラムとしても充分使える楽譜になっています。
(SR)

ピアノの詩人のチェロソナタ

ピアノの詩人、ショパンのピアノ以外の楽器の曲はあまり知られていませんが、フランショムというチェリストの親友のためにチェロとピアノのためのデュオを3曲書いており、このソナタはその中でも最も規模の大きいものです。ショパン36、7歳の頃作曲され、4楽章からなる、対位法を駆使したソナタ形式のスケールの大きな曲で、結果的に彼の最後の大作となりました。特に長大な第1楽章は、華麗なピアノの導入部に始まり、チェロが加わって両者が絡んでいく様子が印象的です。また第3楽章の夢見るようなメロディーの美しさはショパンの曲の中でも際立つものがあります。
ショパンの曲ですので当然ピアノパートの比重はとても高くなっており、ピアノの音も厚いので、フルートで演奏する場合はバランスに注意が必要でしょう。ぜひ腕の立つピアニストと共演なさってください。なお、フルート版へのアレンジは、フルーティストのトマス・ロバーテロです。
【上級者向け】 (T)

催眠

ヨーロッパを中心に活躍する現代作曲家、フルート奏者でもある、イアン・クラークをご紹介します。クラークは、フルートで演奏しながら途中で声やジェットホイッスルが入るなど、現代音楽の雰囲気をおもしろおかしく表現した作品を数多く作っています。
そんな中でも、今回ご紹介する作品は「Hypnosis / 催眠」です。この曲は、ピアノの叙情的なメロディーから始まる雰囲気に、自然と深い眠りに入ってしまうような不思議な感じを醸し出す作品です。
残念ながら、この曲の中では声やジェット・ホイッスルなどを取り入れた部分はありませんが、クラシックやポピュラー音楽とは違ったフルート音楽を楽しんでみてはいかがでしょうか。
演奏時間:約4分30秒 (O)

美しい現代曲はいかがですか?(Fl.Pf)

イギリスのフルート奏者兼作曲家のイアン・クラークはギルドホール音楽院でフルートを学びながら、並行してインペリアル・カレッジ・ロンドンで数学を学び、優秀な成績で卒業しました。
この「タッチング・ジ・イーサ」は2006年に作曲され、ウォルディンガムのサマー・スクールと、同年にマンチェスターで開催された英国フルート協会のコンヴェンションで初演されました。作曲者によるとこの作品は”人間と自然界の関連性”をモチーフとした作品がいくつかある中の一つだそうで、主に”時間”や”空間”に焦点を当てて作曲されたようです。
曲の始まりはピアノが単音で4分音符を刻み、フルートが特殊奏法を使用して浮遊感を表現しながらスタートします。フルートの音域がどんどん高くなっていき緊張感が高まると思いきや、たちまち緩んだり、ふわふわとした場面になったりと、曲全体を通して空中を漂っているかのような感覚に陥ります。曲の終盤に向かってエネルギーが高まり、一気にそのエネルギーが爆発しますが、その後は少しずつ落ち着いていき、この作品の冒頭と同じ雰囲気に戻ります。そしてディミヌエンドしながら徐々に空間に溶け込んで消えていくかのように幕を閉じます。
特殊奏法を使用する現代曲といえば難解で聴きづらいイメージを持たれることが多いと思いますが、この作品は全体を通して非常に美しく、また聴きやすい作品として仕上げられています。
使用する特殊奏法としては、指を滑らせてリングキイの穴を開け閉めするフィンガー・ヴィブラートや音程を変えるベンド、ハーモニクス等が使用されているのでリングキイの楽器が推奨です。ありがたいことに、使用するフィンガリングについては作曲者がすべて楽譜上に記してくれています。また特殊奏法以外にも非常に高い音域を使用するため難易度は高めですが、ぜひリサイタルなどのプログラムに取り入れていただきたいイチオシの作品です!
【上級者向け】 演奏時間:約8分30秒 (You.To.)

クラシックとジャズの融合!!

アーロン・コープランドは20世紀のアメリカを代表する作曲家です。
曲中に民族音楽や大衆音楽を取り入れ新しいアメリカのクラシック音楽を作り上げました。
今回ご紹介する曲の中にもジャズのリズムやアドリブ的な音形がところどころに散りばめられ、クラシックとジャズが融合された、親しみやすい作品となっています。
T.「Flowing」
フルート1本で奏でられる冒頭の牧歌的な美しい旋律が印象的です。次第に躍動感が生まれ後半の音階はジャズの即興を彷彿とさせます。
U.「Poetic somewhat mournful」
移り変わる変拍子の上でシンプルな旋律が奏でられます。静けさの中で徐々に熱を帯びてゆき、中間部には大きな盛り上がりを見せます。
V.「Lively, with bounce」
テンポの変化を繰り返しながら軽快に進んでゆきます。途中、混沌としたピアノとの掛け合いを見せたかと思えば、クライマックスに向け賑やかに駆け抜けます。
譜面に書かれた細かなアクセントや強弱の指示にはコープランドのこだわりが伺えます。
都会的で垢抜けた曲をお探しの方におすすめの一曲です。
【中級者向け】演奏時間:約15分(HS)

天使のフォリア

フルートの世界では「フォリア」と言えばマラン・マレの「スペインのフォリア」を思い出す方が多いでしょう。でも、クラシック音楽全体で見ると、何と言ってもよく知られているのは、コレッリが書いた「ラ・フォリア」です。これは、1700年に出版された「12のヴァイオリン・ソナタ 作品5」の第12番にあたり、当時大ヒットしました。ジェミニアーニがこの曲を合奏協奏曲に編曲したのは有名ですが、他にもリコーダー用、フルート用、ヴィオラ・ダ・ガンバ用など多くの編曲楽譜が出版され、楽しまれていました。
この楽譜は、そのコレッリの「フォリア」を原曲と同じニ短調(別の編曲でアルト・リコーダー用にト短調に編曲した楽譜も出ています)で、当時フルートと通奏低音用に編曲された楽譜をもとにしています。ゆったりしたテーマから、変奏へ進んでいくと迫力のある通奏低音との掛け合いもあり、最後の第21変奏へ向かって変化と緊張感溢れる名曲で、原曲の形がそのまま生かされています。
もともと“フォリア”は16世紀にイベリア半島で発祥した3拍子系の舞曲で、その当時は“騒々しい舞曲”とされていました。それが17世紀に入るとゆったりしたテンポに変化し、一定の低音の動きとハーモニーが出来あがって、その上に独奏楽器が変奏を繰り広げていくという形になったのです。このために、独奏の旋律も良く似た形になってマレやコレッリ他、多くの作曲家が同じテーマのフォリアを残しているのです。
「フォリア」のフルート用の編曲版が出ているマレとコレッリ、当時、マレは「(ヴィオールを)天使のように弾く」、コレッリは「ヴァイオリンの天使」と讃えられていたのはご存知でしょうか? 
(SR)

恋の季節にぴったりの曲です♪(Rec.Pf)

フランソワ・クープランは音楽一家に生まれました。一族が音楽家である為、“大クープラン”と呼ばれて区別されています。フランスバロック期の作曲家で教会のオルガニストとしても活躍しました。 クープランの重要な出版物として「クラヴサン奏法」や「クラヴサン曲集」があります。「クラヴサン曲集」は全4巻あり、27組曲から構成される曲数は200曲を超えます。その1曲ずつにとても興味深いタイトルがついています。
今回ご紹介します、「恋のうぐいす」はそのクラヴサン曲集の第3巻、第14組曲の第1曲目にあたります。この楽譜には第14組曲の第5曲「勝ち誇るうぐいす」も収められています。
リコーダーやフルート・トラヴェルソ、ピッコロで演奏される機会も多い曲です。多彩な装飾を用いてかわいい囀りを表現してみてはいかがですか?
【初・中級者向け】 演奏時間:約3分45秒 (OU)

春にぴったりな軽やかな小品はいかがですか?

セザール・キュイ(1835-1918)はフランス系ロシア人で19世紀後半、民族主義的な音楽の創造を目指した「ロシア5人組」の一人です。軍人で軍事教育家として教壇に立ち、余技で作曲家、音楽評論家として活動をしていました。
今回は唯一のフルートとピアノの作品、スケルツェットをご紹介します。この曲は晩年の作品でロシア革命直前の1916年に作曲されました。フランスのフィリップ・ゴーベールに捧げられた作品なのですが、実際にキュイとゴーベールの交流があったのかは定かではありません。三部形式でロシア的というよりは、近代フランス音楽を思い起こさせるような雰囲気です。3分弱の短い小品ではありますが、耳に残る軽やかで陽気なかわいらしい旋律が印象的。ぜひこの春の季節に演奏して頂きたい作品です。アンコール・ピースとしてもおすすめです。
(NS)

ピアノ練習曲ではありません。

ウィーンで生涯を過ごし、数多くのピアノ練習曲で有名なツェルニーは交響曲、室内楽曲等、膨大な数を作曲しました。 ベートーヴェンの弟子で、フンメル、リスト、ショパン等とも親交があったようです。 ウィーンの心地よい風を感じ、心豊かにしてくれる名曲です(私はウィーンに行ったことがありませんが)。
よくリサイタルのプログラムの一曲目として、HUMMEL/SONATE D-DUR、KUHLAU/INTRODUCTION ET RONDO、MOZART/6 SONATEN、DONIZETTI/SONATE等を選曲されますが、そのような感覚でこの曲を入れてもいいと思います。
【中級者向け】 演奏時間:約9分 (Y)

ピッコロ(Pic.Pf)

ダマレはフランスのバイヨンヌの生まれで、様々なバンドやオーケストラでピッコロ奏者を務め、数多くのピッコロの作品を残しました。ピッコロの曲で何かいい曲ないかな?とお探しのあなた。いい曲がありますよ。とっても可愛らしくって、楽しくって(^o^)小鳥たちが青く澄んだ大空を飛び回っているのが目に浮かんできます。演奏時間も4分と短めなので、お手ごろですね。
(G)

主役はどっち?(Pic.Pf)

ダマレといえばピッコロの作品がほとんどですが、この「森のこだま」は、どちらかというとピアノが旋律で、ピッコロはその上を軽やか、そしてリズミカルに飾っていきます。以前ご紹介致しました「白つぐみ」よりは多少難しくなりますが、こちらも是非レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか?演奏時間は6分30秒です。
(G)

ポルカで気分もうきうき!(Pic.Pf.)

とても小さな楽器で可愛らしい音を出すピッコロの作品をご紹介します。
ピッコロの作品と言えば・・、フルート、ピッコロ奏者として活躍したフランス出身のウジェーヌ・ダマレ。ダマレは、自ら奏者として活躍した他、ピッコロの作品を数多く残しました。
ピッコロという楽器のイメージから可愛らしい作品がとても多いですが、今回ご紹介する作品「ピッコロ・ポルカ」は、まるで踊りたくなってしまうような2/4拍子でできた、とても軽快な作品です。可愛らしいイメージの作品から、一風変わったダマレの作品は、もっとも流麗な音楽で楽しめる作品の一つです。この曲は、約3分程度の短い曲なので、アンコールなどで取り上げてみても良いでしょう。
(O)

冬のお話、奏でてみませんか?

フルート界におけるダマーズといえば、フルートとチェロ(任意)、ピアノのための作品「演奏会用ソナタ」や「フルートとハープのためのソナタ」を耳にする機会が多いことと思います。フランスの作曲家でありピアニストでもあるジャン=ミシェル・ダマーズ。彼は音楽教育の分野でも活躍し、パリ音楽院の副院長をも務めました。
今回ご紹介するこちらの作品は、1987年にフルート(またはオーボエ)とピアノのために作曲されました。音楽教育の目的で作曲されたようですが、ダマーズらしい華麗な調性と拍子の変化があり、情景の移り変わりが特徴で充分な聴きごたえがあります。曲の中に小さな物語が一話、組み込まれているかのような印象です。静かな冒頭と終止は、寒くてひんやりと冷たい空気を感じるような、まさに冬らしい情景が思い浮かびます。難易度が少々高く長めの曲が多いのでは…と感じるダマーズ。この作品は3分30秒ほどの小曲です。
寒い季節に暖かい部屋で、ゆったり演奏してみてはいかがでしょうか。
【初・中級者向け】 (CM)

エレガントな一曲

フランス楽派の流れを汲む最後の巨匠の一人、ダマーズの最新作で、フルーティストの工藤重典氏に捧げられ、彼のCDにダマーズ自身のピアノ伴奏で収録されて話題になりました。タイトル通り九つの独立した小品からなりますが、各々に副題はついていません。ダマーズらしいエレガントで美しい旋律に満ちた、魅力的な作品です。特殊奏法も必要とせず、技術的にそれほど難度の高い曲ではありませんが、頻繁に繰り返される転調と転拍子を瞬時に理解する読譜力が要求されます。
【上級者向け】 (T)

エッセイストでもあった作曲家

團 伊玖磨(1924-2001)は「花の街」や「ぞうさん」、オペラ「夕鶴」、またラジオ体操第2ほかの作曲者として知られています。また、エッセイストとしても数々の作品を残し、中でも1964年からアサヒグラフに連載された「パイプのけむり」は、後に読売文学賞を獲得する代表作となりました。ムラマツでも1983年か ら93年にかけて「もがりぶえ」を季刊ムラマツの巻頭言として執筆していただきました。(ホームページにて掲載中⇒こちら
このフルートとピアノのためのソナタは、1986年に作曲され、翌87年に大和田葉子さんによりワシントンD.C.で初演されました。
曲は2楽章構成。第1楽章 Allegro ma non troppo は、ソナタ形式で書かれています。特殊奏法としてはフラッターが出てきます。第2楽章は変奏曲です。穏やかなテーマをフルートが奏で、変奏では主題は形を変えながらピアノが受け持ちます。フルートはその上で軽やかに舞います。第5変奏とロンディーノを経て曲を閉じます。
【上級者向け】 演奏時間:約17分 (B)

若き日のドビュッシーの歌曲集

「シランクス」「牧神の午後への前奏曲」などの名曲を書いているドビュッシーですが、残念ながらフルートとピアノのための作品はありません。これまでもいくつかの編曲集が出ていますが、ほとんどがピアノ作品からのアレンジでした。今回ご紹介するのはドビュッシーが10〜20代の頃に書いた歌曲をフルート用にしたものです。ハイフェッツの編曲でヴァイオリンなどでもよく演奏される「美しい夕暮れ」や「マンドリン」などの美しく繊細な魅力に満ちたメロディーをお楽しみください。
【初・中級者向け】 (T)

忘れられたコンクール用小品6

ドゥメルスマン(1833-1866)の名はフルートを演奏される方には大変なじみがあるので、伝記的な説明は他に譲るとして、彼の作曲家としての面を見ていきましょう。
フルートのフレンチ・スクールに興味のある方には、1898年のフォーレの《ファンタジー》をもってコンセルヴァトワール(パリ音楽院)のフルート科の卒業試験(コンクール)における新作初演の伝統が始まることは有名ですが、コンセルヴァトワールはそれ以前より存在し、当然コンクールもありました。課題曲に関して、チュルー教授時代は自作の《ソロ》がほとんどで、アルテス教授時代は自作とチュルー作で半々程度、その間に挟まれたドリュス教授は……、どうやら彼は作曲が苦手だったようです。フルート・ソロのロマン派のレパートリーは少ないですが、演奏家と作曲家の垣根が低かった当時は、演奏家自らが作曲すれば解決ということで、コンセルヴァトワールの管楽器の教授の素養としては作曲能力が求められたのでしょう。挫折したものの作曲家の登竜門であるローマ賞にまで挑戦した若きドゥメルスマンが、コンセルヴァトワールの次の教授の座を見据えつつ良いポストに付くための実績作りとして作曲を行ったのは想像に難くありません。実際、今回取り上げる《演奏会用ソロ 第2番 変ホ長調》は1860年出版で、献呈先のドリュスの教授就任は同年ですから、アピールするつもりだったのではないでしょうか。残念ながらドリュス時代にはコンクールに取り上げられず、アルテスにより1891年の課題曲に採用されました。
曲はアンダンテ、アレグロ・ブリランテの二部からなります。前半アンダンテは劇的な和音の強奏に始まり叙情的な第一主題の対比、というオペラ全盛の時代を反映したスタイルです。短いカデンツァの後、第一主題が戻ってアタッカで第二部に入ります。後半アレグロ・ブリランテは6/8拍子のサルタレロです。冒頭の第二主題はそれほどテンポも速くなく、華やかなダンスですが、転調して中間部に入ると何やら雲行きが怪しくなり始め、旋回するような分散和音の旋律を繰り返してはどんどん早くなって一旦最高潮を迎えます。第二主題がエスプレッシーヴォで回帰し、ゲネラルパウゼの後第一主題も回帰して少し冷静になったかと思いきや、再び第二主題が始まり、コーダではプレストで踊り狂って劇的に締めくくられます。このコンクールで一等賞を取ったジュール・ヴェルスト(1866-1906、リール歌劇場)とルイ・バルロン(1869-1916、オペラ=コミック座)は共に早世してしまい、後世に大きな名を残すことはありませんでした。
(2018年1月記)(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

鳥のさえずりが聞こえてきます♪(Fl.Pf/Fl.4Hn)

フランツ・ドップラーは、19世紀に活躍したフルートの名手です。作曲家や指揮者、教育者としても成功を収めました。4歳年下でやはりフルートの名手だった弟カールとデュオを組み、ヨーロッパ各地でも演奏をして広く名声を博しています。
今回ご紹介する「森の小鳥」は、フルートと4本のホルン(またはピアノ、または足踏みオルガン)の伴奏による珍しい編成で、小鳥が歌っている様子をフルートが、穏やかな森の響きをホルンが奏でています。目を閉じて聴くとまるで森の中にいるような気分になりますが、演奏するとトリルや装飾音符、連符が多く、難易度は高めになっています。軽やかなメロディーが印象的で、フルートの良さが生かされたこの曲。のどかな森の風景を思い浮かべながら、小鳥のさえずりを表現しましょう!
【上級者向け】 演奏時間:約5分30秒 (OY)

魔法の笛

「魔法の笛の踊り」。モーツァルトの「魔笛」からインスピレーションを得て作られたフルート協奏曲です。
どこか遠くから聴こえてくるような旋律から始まり、夜の女王のアリア“復讐の炎は地獄のように我が心に燃え”のモチーフがところどころ現れます。1小節ごとに拍子がめまぐるしく変わり、少し短いカデンツのあと自由なゆったりしたメロディとなります。後半はテンポが上がり、フラッターも出てきますが、全体的に美しく、またテンポ感のある楽しい作品です。伴奏と合わせるのはなかなか大変な曲ですが、カッチリはまるととてもカッコイイと思います。
あなたの「魔法の笛」で「踊って」みてください。
【上級者向け】 演奏時間:約20分 (B)

フルートで吹くマズルカ

アレクサンドル・デュフォウ(1828-1889?)は、フランス・ボルドーの作曲家兼フルート奏者です。13歳でオーケストラと共演、15歳にはボルドーのオーケストラのソリストとなります。その後も地元のボルドーで活動していましたが、1853年にはパリで様々な演奏会に出演し、成功を収めました。また、この時代の他の著名なフルート奏者とは違い、デュフォウはパリの音楽院で学んでいないようです。
今回取り上げる「アンダンテとマズルカ」は、デュフォウの友人であり生徒でもあった、ジェームズ・マクスウェルという人物に捧げられています。
前半はゆったりとしたアンダンテ、後半は軽快なマズルカとなっており、全体的に聴きやすい曲調となっています。マズルカというのはポーランドの舞曲で、ショパンが50数曲を残したことで有名です。フランス、ロシアなどの作曲家たちもショパンの影響を受け、多くの作品を残しているジャンルです。
また、デュフォウの作品は、いくつか自身で演奏した記録が残っていますが、出版されたのはこの曲のみのようです。ほとんど忘れられた作曲家ですが、矢野正浩氏の「フルートアルバム2020」(CD-ID:8217)に収録されています。
フルートのオリジナル作品としては珍しいマズルカの一曲、是非レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
【中・上級者向け】演奏時間約7分30秒 (MR)

デュカスによるドビュッシーの追悼曲

『魔法使いの弟子』でお馴染みの作曲家、ポール・デュカスの作品をご紹介します。
この曲は、もともとデュカスと親交の深かったドビュッシーを追悼して作られたピアノ独奏曲です。ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」の旋律が引用され、その神秘的な雰囲気がフルートの音色によく合い、ランパルなどの著名なフルーティストも演奏しました。
所々現れる“牧神”の旋律は、まるで黄泉の国に迷い込んだドビュッシーの姿を表しているかのようで少々不気味さを伴います。3分半ほどの短い曲ですが、一度聴いたらその雰囲気に浸ってしまうような、印象の強い作品です。是非演奏してみてください。
収録CDはこちらです。
【CD-ID:5413】ジャン=ピエール・ランパル/現代最高のフルーティスト(3枚組)
【CD-ID:7743】クリスティアン・マティック/ドビュッシーと彼の友人たち
【CD-ID:8405】ランソン・ウィルソン/ドビュッシーの時代
【中級者向け】演奏時間:約3分30秒 (HS)

フルートで奏でるヴァイオリンの名曲

ヴァイオリンの名曲をフルート用に編曲したものがたくさんありますが、今回はその中からドヴォルザークのヴァイオリンの名曲、「ロマンス」をご紹介致します。
スメタナと並び、チェコ国民学派最大の作曲家と呼ばれるアントニン・ドヴォルザークは、ブラームスに才能を認められ世に知られるようになった作曲家です。交響曲9番「新世界」や弦楽四重奏曲「アメリカ」に見られるような哀愁漂うメロディがこの「ロマンス」でも見られます。全体的にゆったりとしたテンポで奏でられますが、途中少し自由に演奏するところ、やや情熱的に演奏するところもあります。
しっとりとした雰囲気の曲をお探しの方にオススメします。
この楽譜は、もともとヴァイオリンと弦楽合奏のための曲だったものをフルーティストであるドナルド・ペックがフルートとピアノ用に編曲したものです。編曲する際に間奏部分などをカットしています。
【中級者向け】 演奏時間:約9分 (B)

ロマンティックです Part2

後期ロマン派を代表する作曲家のひとり、アントニン・ドヴォルジャークの、その名のとおり「ロマンティック」な作品を紹介いたします。
この楽譜は、もともとヴァイオリンとピアノのための「4つのロマンティックな小品集 作品75」(弦楽三重奏のための「ミニアチュール」からの改作)をフルート用に編曲したもので、4曲のうちの第2曲を除く3曲が収録されています。穏やかで優美な第1曲、流れるような旋律が印象的な第3曲、哀愁漂う第4曲。どれかひとつをとってアンコールで演奏するのも良いでしょう。
第1曲は、色々な出版社の曲集にも収録されているので、ご存じの方も多いかもしれません(弦楽三重奏のための「ミニアチュール」での楽章の題名をとって「カヴァティーナ」と記載されていることもあります)。
第1曲:Allegro moderato
第2曲:Allegro maestoso(この楽譜には収録されていません)
第3曲:Allegro appasionato(この楽譜では3曲目に収録されています)
第4曲:Larghetto(この楽譜では2曲目に収録されています)
(※ちなみに、この第1曲は2015年2月まで村松楽器新宿店の電話応答保留音に使用されていました)
【中級者向け】  (B)

ジャジーで楽しいダンスはいかが?

作曲者のジェフ・イールズは1951年生まれのイギリス人で、作曲家・ジャズピアニストとして活躍しています。
この「エルフ・ダンス」は3つのパートからなっていて、美しいルバートでつながれた2つの速いパッセージの部分はジャズ色の濃い、跳ねるようなピアノに乗ってリズミカルなダンスが繰り広げられます。3つ目のパートは短いスローバラードで、牧歌的な踊り。最後に第一のメロディが再び現れて躍動的に終わります。それぞれのパートの対比が鮮明で、どの部分もピアノとの絡みが軽快で美しい、楽しいダンスです。
特殊奏法は出てきませんが、目まぐるしく変わるリズムにピアニストもフルーティストもジャズのセンスとノリが求められそうです。ジャズがお好きな方はぜひ挑戦してみてください。
なお、イールズの作品は、この曲も含めフルーティストのフィンドンと作曲者自身のピアノ伴奏のCDが出ています(ID:6728)。
【上級者向け】 演奏時間:約7分 (T)

ルーマニアの雰囲気に浸ってみませんか?

ファルカシュは、1905年ハンガリー南西部のナジカニジャ生まれの作曲家です。ブダペスト音楽アカデミーで作曲を学んだ後、ローマの聖チェチーリア音楽院でレスピーギに師事しました。1949年からはブダペストのリスト音楽院教授を務め、リゲティらが彼に師事しました。ウィーンとコペンハーゲンで映画音楽の作曲を行うなど様々なジャンルで活躍し、700曲以上の作品があります。
この「ルーマニア民族舞曲」は1950年に作曲され、元気よく踊る部分とゆったりと歌う部分がはっきり分かれている曲です。バルトークがビホル県(ルーマニア西部の県)で集めたメロディがもとになっています。楽譜の表紙に“ヴァイオリン、ヴィオラ、フルートまたはクラリネットとピアノ”と書かれおり、また同じタイトルで“リコーダーまたはヴァイオリンとツィンバロン”と書かれている楽譜もあるようです。(出版譜ではなく、アンドラシュ・ファルカシュによる手稿譜のようです。)フルート以外の楽器のパート譜を参考にして、オクターブ上げたり下げたり、また装飾をつけたりすることも出来るのではないでしょうか。ルーマニアの美しい自然の中で踊っている様子を想像しながら、演奏してみて下さい!!
【中級者向け】 演奏時間:約5分 (I)

「ドリー」をフルートで

「ドリー」は銀行家バルダック家の娘エレーヌの愛称です。エレーヌは1892年に生まれました。フォーレは彼女のために、その2、3、4回目の誕生日にピアノ連弾の小品を作曲し捧げています。それらの曲は最終的に「子守歌」ホ長調(1893/4)、「ミ・ア・ウ」ヘ長調(1894)、「ドリーの庭」ホ長調(1895)、「キティのワルツ」変ホ長調(1896)、「優しさ」変ニ長調(1896)、「スペインの踊り」ヘ長調(1897)の6曲にまとめられ、今ではフォーレの最も愛されるピアノ作品となっています。
こうしてまとめられた組曲「ドリー」は、1898年にE.リスレルとA.コルトーによって公開の場での初演が行なわれました。翌年にはA.コルトーの編曲によるピアノ独奏版が作られ、1913年にはH.ラボーによって管弦楽に編曲されてバレエが上演されていることから、この曲は作曲当時から人気があったようです。ちなみに、エレーヌの母親エンマ・バルダックは、1904年にドビュッシーとジャージー島に駆け落ちし、後にドビュッシーと結婚しますが、この2人の間に出来た娘エマ(愛称シュウシュウ)にはドビュッシーが「子供の領分」を作曲しているので、エンマの娘2人は夫々、フランス近代の大作曲家から、後々大変よく知られ愛されるようになった作品を捧げられていることになります。
なお、第2曲の「ミ・ア・ウ」、第4曲の「キティのワルツ」は、以前夫々が猫の名前とされてきましたが、現在では、「ミ・ア・ウ」はドリーの兄ラウルが呼んでいたドリーの愛称、「キティ」は「ケティ(Ketty)」のミスプリントで、そのラウルが飼っていた犬の名前とされています。ご紹介する楽譜は全曲で、各編曲とも全楽章、原曲の調性のままです。可愛らしく、美しいこの組曲が十分に楽しめると思います。
(SR)

アンコールにお悩みの方におすすめです

原曲は1906年に作曲、1907年に出版された、声楽とピアノのための作品です。ヴォカリーズ-エチュードと呼ばれており、歌詞はなく、母音でメロディを奏でます。
この楽譜ではフルート(またはオーボエ、ヴァイオリン)用に編曲されるにあたり、原調のホ短調からイ短調に移調されています。
同じフォーレの作品で、パリ音楽院のフルート初見試験のために作られた「コンクール用小品」と雰囲気が似ています。2分半ほどの短い作品ですが、心にしっとりと響き渡る美しい曲です。
アンコールにいかがでしょうか。
【中級者向け】 (B)

フォーレの曲集を紹介します

■ ファンタジー 作品79 ■ 初見用小品「サラバンド」 ■ 間奏曲(「ペレアスとメリザンド」より) ■ パヴァーヌ 作品50 ■ シシリエンヌ 作品78 ■ 舞曲(「カリギュラ」より) ■ 初見用小品「舟歌」 ■ 子守歌 作品16 ■ 子守歌(組曲「ドリー」より) ■ ヴォカリーズ・エチュード 
イギリスのPETERS社から出版されているフォーレ作品集です。フォーレは、音楽の世界全体から見れば「レクイエム」、「ペレアスとメリザンド」、数多く作られたピアノ曲や歌曲が圧倒的に有名ですが、フルートの小品にも美しい曲があり、またヴァイオリンなど、他の楽器からの編曲などでも楽しまれています。この曲集はフルートのオリジナル作品のほか、編曲作品も含めて、10曲のフルート作品が収められています。特に間奏曲、舞曲、初見用小品などのフルート版は珍しく、「舟歌」は、フルーティストのエミリー・バイノンがCDや演奏会で取り上げたことで、大変評判になりました。
(SR)

フランスの空気に触れて

フランスを代表する作曲家、フォーレの歌曲集です。
言葉の意味や語感を大切に演奏できるよう、伴奏譜にはすべての曲に歌詞が付随されています。フランス語に馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんが、この曲集がフランス語の辞書を引いてみるいい機会になるかもしれません。
流れるような旋律で、フォーレらしさをめいっぱい感じることのできる1冊です。3拍子系を苦手とされる方は、フォーレの美しいメロディーで克服してみませんか?
【初・中級者向け】 (H)

この響きがクセになるかも??

フェルト(1925-2007)はチェコ生まれの現代作曲家です。このフルート・ソナタは1957年に書かれ、親友のランパルに捧げられました。
ピアノの和音伴奏に乗って軽やかにフルートの旋律が始まる第1楽章。不安定な和音で独特の響きを効果的に発揮する第2楽章。そして、第3楽章はフルートとピアノの駆け引きが楽しい軽快な音楽です。
現代音楽によく見られる特殊奏法は出てきませんが、協和音のような不協和音のような、なんともいえない響きが全体にちりばめられている面白い作品です。
T.Allegro giocoso U.Grave V.Allegro vivace 全3楽章

【上級者向け】 演奏時間:約18分30秒(全3楽章) (B)

「魔笛」ファンタジー

『モーツァルトの魔笛』と言えば、フルート吹きにとって特別な存在です。
天才モーツァルトの生涯最後のオペラであり、笛が活躍する作品です。
オペラの内容を知らなくても「序曲」「私は鳥刺し」「夜の女王のアリア」など、聞いたことはあるのではないでしょうか。
ご紹介する楽譜は、「魔笛」に使われている音楽、8曲が次々に登場するスペシャル・メドレーです。モーツァルトの美しいメロディーの数々をお楽しみいただけます。それぞれのテーマが変奏されているものも多く、フルートならではの『歌』を表現することができるでしょう。なお、こちらの曲は、パユさんのCD「ファンタジー:オペラ座の夜」の中に収録されています。CDは伴奏がオーケストラの豪華版です。(CD ID:7379)こちらも是非お聞きください!
1「恋を知る者たちは」、2「恐れるな若者」の後半、3「生意気な小僧め、来い」、4「魔笛のソロ」、5「私は鳥刺し」、6「ザラストロ万歳」、7「イシス・オシリスの神よ」、8「聖者らの凱旋」
【中・上級者向け】演奏時間:約13分15秒(U)

爽やかな流れ

アメリカの作曲家のアーサー・フット。アメリカ音楽の発展に貢献し、ピアニスト、オルガニストでもありました。
今回ご紹介するこちらの曲は、聴いていると音楽がすっと体に入っきてとても心地よい小品です。一曲目は「村の朝の歌」、トリオの部分ではフルートパートの長い旋律と伴奏の響きがとても美しく、曲を盛り上げています。二曲目は「メロディ」、ピアノ伴奏が分散和音になっており爽やかに流れて行きます。三曲目は「パストラーレ」、最終曲らしく穏やかな中にも叙情的な部分があり包み込むような音楽で締めくくられています。幅広い層の方にお楽しみいただけます。(E)

フォスターの名曲をフルートで

フォスターの代表的な歌曲「CAMPTOWN RACES/草競馬」「JEANIE, WITH THE LIGHT BROWN HAIR/金髪のジェニー」「OH SUSANNA/おお スザンナ」「BEAUTIFUL DREAMER/夢みる人」「SWANEE RIVER/スワニー河・故郷の人々」をB.ホルコムがフルートの特性を生かしたアレンジに仕上げています。組曲になっておりますが、以前は一曲ずつ出版されていましたので、一曲だけ取り上げて演奏するのもいいと思います。ピアニスト(伴奏者)の表現力が大切です。
【中上級者向け】 (Y)

演奏家泣かせの名曲!

フランセは自由でユーモア溢れる中に、洗練された音楽センスをうかがわせる独特の世界観で、20世紀フランスを代表する作曲家の一人に数えられています。 作品はピアノ曲から室内楽、交響曲、オペラ、バレエ音楽など幅広く、200曲以上にのぼります。
ディヴェルティメントは1953年にJ.P.ランパルに捧げられた名曲です。 この曲を聴くと作曲家の洒落にとんだ性格がはっきりとわかります。 聴く方にとっては魅力的で楽しい曲ですが演奏者にとっては大変難しい曲で、フランセは其の辺りを十分に意識して書いたのではないでしょうか。
I Toccatina  II Notturno  III Perpetuum Mobile  IV Romanza  V Finale
【上級者向け】 演奏時間:約12分 (Y&U)

プッチーニ好きにおすすめです

オペラの中で歌われるアリアなどをフルートで歌い上げる作品は、今までもたくさん作曲されてきました。今回ご紹介するのは、プッチーニの四幕のオペラ「ラ・ボエーム」の中の美しいアリアを繋ぎ合わせた華麗なファンタジーです。
チャールズ・ゴッドフリーによるピアノ曲をもとに、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団のフルート&ピッコロ奏者、ユルゲン・フランツさんがフルート用にアレンジしました。
使用曲目は、第一幕:ロドルフォ「Che gelida manina(冷たき手を)」/ショナール「Legna! Sigari! Bordò!(薪だ!葉巻だ!ボルドー酒だ!)」/第四幕:ロドルフォとマルチェッロ「O Mimì, tu più non torni(ああミミ、君はもう戻ってこない)」/第四幕:ロドルフォとミミ「Sono andati?(みんな行ってしまったのね)」/第四幕:ロドルフォ、マルチェッロ、ショナール、コッリーネの4人が舞踏会だ、と踊って(ふざけて?)いる場面/第二幕:ムゼッタ「Quando me'n vo soletta per la via(私が街を歩けば)」(ムゼッタのワルツ)/第二幕:最後の軍楽隊の行進曲、です。(最後の行進曲はピッコロに持ち替えてもOK)
「ラ・ボエーム」はプッチーニのオペラの中でも人気の高い作品です。内容も分かりやすく、登場人物それぞれにモチーフがあり、どのアリアも美しく素敵です。是非オペラをご覧になって、それぞれの登場人物に思いを馳せながら演奏してください。
※フルートのレパートリーにオペラのファンタジーが多い背景については、以前のスタッフのおすすめ楽譜、楽譜ID:26347ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー の紹介文をご覧ください。
【中・上級者向け】 約12分30秒 (B)

コンサートにおすすめ

フリューリンク(1868-1937)は、ウクライナで生まれ、ウィーンで亡くなった作曲家です。
あまり知られていませんが、見つかっているリストによると、100点ほどの作品があるようです。残念ながらほとんど出版されておらず、多くが消えてしまっているようで、知る人ぞ知る作曲家となっています。
この『ファンタジーOP.55』の楽譜の校訂は、フルーティストのエミリー・バイノンさんです。バイノンさんは、世界中で活躍するイギリス人のチェリスト、スティーブン・イッサーリスさんより、ウィーンの音楽図書館で見つけたこの楽譜の存在を教えてもらったそうです。彼はフリューリンクの音楽の支援者でもあるそうです。元々はオーケストラとフルートの作品だったようですが(1929年初演)、このフルートとピアノヴァージョンだけが残ったとされています。
曲の始まりは≪Moderato≫変ホ長調、ピアノの繊細なアルペジオの上に、美しいメロディーが広がります。途中≪Andante espressivo e sostenuto≫から、少し憂いのある雰囲気に変わり、すぐに≪Poco piu mosso≫、細かい動きで場面が転換、移行し、≪Tempo I≫から大きなフレージングと華やかなパッセージの、ドラマチックなクライマックスへと突入します。そして最後は≪Moderato(come prima)≫で最初の主題に戻り、静かに幕を閉じます。柔らかさと重厚な響きのバランスの良い、ドイツ・ロマン派の雰囲気を感じられる『歌』に溢れた音楽です。コンサートのメインに置いても映える楽曲だと思います。新しいレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。なお、YouTubeでバイノンさん自身の演奏を聴くことができます。そちらも是非ご覧ください。
【上級者向け】演奏時間:約14分(U)

フランス近代の隠れた名曲!

ガロワ=モンブラン(1918-1994)は、作曲家としてはもちろんのことヴァイオリン奏者としても活躍しました。ヴァイオリニストとしては、フォーレのソナタやピアノ四重奏曲などの名盤を残していることで有名です。
「嬉遊曲/DIVERTISSEMENT」は、ガロワ=モンブランがパリ音楽院院長を務めていた頃にフルート科の卒業試験課題曲として書かれ、当時のフルート科教授G.クリュネルに献呈されました。課題曲の定番ともいえる『緩−急』の2部形式です。ミステリアスな色彩を放つ前半部分のアンダンテ、そして舞曲風のはじけた躍動感が楽しい後半部分ファイナル。半音階の複雑な和声とフランス近代の明快さを併せ持った面白い作品です。同じ『緩−急』形式のフルート作品はたくさんありますのでこの曲はあまり知られていませんが、もっと演奏されてもいい優れた作品だと思います。テクニック・表現力ともに必要とされるので、音大生の試験曲や演奏会のレパートリーとしてオススメです。なお、工藤重典氏・加藤元章氏によるCDもリリースされていますのでぜひ参考になさってみてください。
【上級者向け】 演奏時間:約7分30秒 (A)

発表会やサロンコンサートにおすすめ♪

タファネル&ゴーベール「17の日課大練習」でおなじみのゴーベールの作品を紹介します。 タファネルの弟子、フィリップ・ゴーベールはパリ音楽院をたった1年で15歳の時に卒業し、オーケストラ奏者として活躍しながら作曲を勉強。作曲の腕前も若手作曲家の登竜門だった「ローマ賞」の二等賞第一席を獲得するほどでした。のちにパリ音楽院のフルート科教授やオペラ座とパリ音楽院管弦楽団の指揮者、そしてオペラ座の芸術監督にまで上りつめ、マルチな才能を発揮しました。
フルートとピアノのための「バラード」は1927年に作曲。淡い色彩の中に溶け込むような和音で始まるゆったりとしたアンダンティーノの前半部分と、速いパッセージで動き回るヴィフの後半の部分からなります。「表情豊かに」や「魅力的に」といった指示も細かくあり、特に最後に出てくる「流れるように」という部分は大変美しいです。フルートは分散和音を奏でますが、この「流れるように」という指示が「流れて」しまわないように!
【中・上級者向け】 演奏時間:約6分30秒 (B)

愛に溢れた優しい子守歌はいかがですか?

子守歌といったら、誰の曲をイメージされますか?ケーラー、ドップラー、フォーレ、ゴダール・・・などいろいろな曲がございますが、今回ご紹介する曲はゴーベールの子守歌です。1907年に作曲されたこの曲はタファネルの友人でもあったベルナルド・ウォルフに献呈されています。同ゴーベール作曲の“組曲”の「東洋風の子守歌」とは異なり、複雑な転調などはなく3分半程のシンプルな小品ではありますが、穏やかで流れるようなメロディや垣間見える叙情的なフレーズに優しさや愛情を感じることができるゴーベールらしい作品です。繰り返される優しいメロディに思わずうっとり(まさに眠りを誘うような)してしまう魅力的なこの曲、小品のレパートリーの一曲にいかがでしょうか?美しい旋律をじっくり味わいながら演奏してみてください。
【初・中級者向け】 演奏時間:約3分30秒 (NS)

ロマンティックです

師のタファネルと連名で出版した『タファネル&ゴーベール/17のメカニズム日課大練習曲』で有名なゴーベールです。
ゴーベール(1879-1941)は作曲家としてだけでなく指揮者、フルーティスト、教育者としても活躍しました。この時代は音楽院の試験曲として技巧的な曲が多く作曲された中、 ‘ロマンス’のように洒落た美しいメロディーの小品もたくさん作曲されました。 ゴーベールは2曲の「ロマンス」を残しています。今回ご紹介しております‘ロマンス’は1905年に作曲され、ゴーベールの友人でありアメリカへ渡り活躍したフルーティストのジョルジュ・バレールに捧げられています。「ロマンス」にはこの1905年版とアドルフ・エネバンに捧げられた1908年版がありますが、1905年版の方が演奏される機会が多いように思われます。
【中級者向け】 演奏時間:約8分 (OU)

春の訪れとともにゴーベールの小品はいかがですか?

シシリエンヌと聞くとフォーレをまずイメージされる方も多いのではないのでしょうか?今回おすすめする曲はゴーベールのシシリエンヌです。タファネルとモイーズの間に位置するフルートのフランス楽派における重要な存在ゴーベールは、フルーティストの他に指揮者と作曲家としても活躍しました。特に1920年にオペラ座の指揮者となり、1931年には同監督に就任した後は、パリ音楽院フルート科教授を辞し最終的には指揮科教授を務めました。
「シシリエンヌ」とはシチリア舞曲またはシチリア風という意味で、8分の6拍子の舞曲になっています。フルートとオーケストラのために作曲されましたが、ゴーベール自身の編曲と思われるこのピアノ伴奏版が親しまれ、普及しています。いかにもフランス的な優雅な旋律が魅力的な小品で、フルートの魅力を純粋に伝えるメロディックな作品となっています。
【中級者向け】 演奏時間:約3分 (NS)

友人たちへ。。。

ゴーベールはパリ音楽院で教える傍ら、パリのオペラ座で指揮もするという、2つの職業を持っていたフルーティストです。この組曲は、同じタファネル門下の4人のフルーティストたちに捧げられたものです。同じ笛吹き仲間として、みなさんにも是非吹いていただきたい作品です。
I 祈り(巫女たちの踊り)ジョルジュ・バレールに捧ぐ ― 流麗かつ神秘的な響きが印象的な作品、  II.東洋風の子守唄 ルイ・フルーリに捧ぐ ― 東洋的な雰囲気を醸し出す、神秘的なメロディーの作品、 III.舟歌 マルセル・モイーズに捧ぐ ― まるで舟に揺られているようなテンポの、しっとりした作品、 IV.スケルツォ=ワルツ ジョルジュ・ローランに捧ぐ ― スケルツォの名の通り、軽妙なテンポの作品。
【中・上級者向け】 演奏時間:約14分 (O)

フルートで吹く「椿姫」

ジュナンは、アヴィニョン出身のフランスのフルート奏者でした。こちらは演奏会などで取り上げられる機会も多く、フルートのレパートリーとして定着していますので、お聴きになったことがある方も多いのではないでしょうか。この作品には「乾杯の歌」「ああ、私の短い命も終わる」「さようなら、過ぎ去った日よ」の3曲が使われています。ダブルタンギングやアルペッジョなどによる変奏、華麗にほどこされている装飾そしてカデンツァなど技巧的な部分が多く難度の高いこの作品は、フルートの魅力を存分に発揮出来るものとなっています。
【上級者向け】 (I)

新しいレパートリーにいかがですか?

ゲンツマー(1909-2007)はドイツのブルーメンタール出身でヒンデミットの作風を受け継いだ現代作曲家です。他にはドビュッシー、バルトーク、ストラヴィンスキーの影響を受けながらも独自のスタイルを確立させました。様々なジャンル、編成の作品を残しており、特にフルート、ピアノ、ハープ、チェロを含む作品を多く残しています。リハーサルピアニストとして活躍した時期もありますが、フライブルグやミュンヘンの音楽学校で作曲科の教授として活躍しました。
今回ご紹介しますフルートソナタ第3番は2003年に作曲されました。ゲンツマーが94歳の時の作品となりますが、晩年の作品とは思えないエネルギーを感じさせられる曲です。
第1楽章:3連符のリズムが終始使われています。生き生きとして楽しそうな雰囲気です。
第2楽章:ピアノパートとの対話が印象的です。
第3楽章:トリルを効果的に多用することでこの曲の持つ情熱と活気を表現しています。

演奏時間:1楽章:約6分 / 2楽章:5分45秒 / 3楽章:5分15秒
【中・上級者向け】 (OU)

忘れられたコンクール用小品4

アレクサンドル・ジョルジュは1850年、フランス北部のアラスで生まれ、同地で1938年に亡くなった作曲家です。フォーレも勉強したニデルメイエール宗教音楽学校で学び、フランクがオルガニストを務めたサント=クロチルド教会の楽長を務めた後、1899年より1928年までサン=ヴァンサン=ド=ポール教会のオルガニストを務めました。よってフランクの影響を受けています。教会に勤めた作曲家らしく、2巻からなるオルガン作品集《小教区の歌》や《受難曲》、《ルルドのノートル・ダム》といったオラトリオを残しますが、それだけでなく劇場にも興味を持ち、中国をテーマにした一幕の《春》、タロットカードのお告げにより女王になると運命付けられたロマの少女の物語《ミアルカ》などのオペラを残しました。そしてこれらのオペラの主題を見ても分かるように、地方色溢れるダンスや旋律を作品に取り入れました。
今回取り上げる《ア・ラ・カスバ!(カスバにて!)》は1911年のコンセルヴァトワール(パリ音楽院)のフルート科のコンクール(卒業試験)のために作曲され、当時の教授エヌバンに献呈されています。カスバとはアルジェのカスバで有名ですが、北アフリカ(マグレブ)の城塞を起源とする伝統的な街並みのことです。青い海と空を背景に、海岸線から山の手にかけて張り付くように広がるアラブの伝統的で異国情緒あふれる家々に、路地が迷路のように入り組んだ町、まるで映画に出てきそうな情景です。当時アルジェリアはフランスの植民地でしたので、フランス人にとっては訪れやすい場所で、その異国情緒が多くの人を引き付け、サン=サーンスも何度も旅行し《アルジェリア組曲》を作曲したほどです。フランスにおける東洋趣味は19世紀末に始まったわけではありませんが、交通の発達等によりフランス人が実際に東洋を訪れたり、現地の文物がフランス国内で流通したりするようになったこの時代に再び大きな波となります。
第一主題は叙情的で旋法的なアラブの主題が朗々と歌われます。低い音域ですので、カスバの迷路のように入り組んだ街路のミステリアスな雰囲気が醸し出されます。主題が二度繰り返され、カデンツァの後第二主題が始まります。こちらは旋回するような情熱的なダンスです。第三主題は第二主題の変形で旋回のダンスがゆっくりとなり、スーフィズムのダンスでスカートのすそがひらひらと舞っているような円弧を描きます。第二主題が回帰し、展開された後、第一主題が一オクターブ上で決然と再現されます。転調し、短いカデンツァの後、第二主題、しかし今度はフルートがピアノに代わってリズムを刻み、そのエネルギーで駆け上がって長めのコーダに入ります。さらにダンスは激しさを増し、途中一陣の風が吹き抜けたような涼しげな旋律で火照りが冷まされますが、またすぐに元のテンポに戻って熱狂のうちに締めくくられます。
コンクール用小品では緩急の二部形式になり、「序奏とアレグロ」といった味気の無いタイトルになることが多いですが、《ア・ラ・カスバ!》では叙情的な部分とテクニカルな部分がバランスよく有機的に配置され、またその視覚的にイマジネーションをかきたてるタイトルのおかげで、コンサート・ピースとしても遜色ない作品となっています。
(2017年6月記)(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

フランス音楽とジャズの融合

今回のおすすめ楽譜は、イタリア生まれフランス育ちの作曲家ギドーニの作品です。 現在も作曲活動中のギドーニは、ジャズのリズムと印象派のフランス音楽のメロディを併せ持ち、サクソフォンのアンサンブル作品をはじめ、管楽器の作品など色々な楽曲を作曲しています。
2013年に出版されたこの作品は、全体を通して疾走感があり、ジャズのリズムを感じるアクセントやスタッカートが至る所に出てきます。
また、低音から高音まで自由自在に使われる音は、躍動感があり演奏者の気持ちも高まってきます。 中間部では徐々にテンポが緩み、メジャーセブンスで始まる≪Adagio≫ではブルースを思わせる雰囲気でとても魅力的です。後半はピアノの音をきっかけに再度速いテンポに戻り、「ジャズロックの精神で!」と表記があるように、速いテンポの中にシンコペーションのリズムやアクセント、スタッカートと様々な表現が詰め込まれ一気に駆け抜けます。難易度の高い作品ではありますが、チャレンジ!してみませんか。
【上級者向け】演奏時間:約10分(TO)

名曲は名ピアニストから

ヴァルター・ギーゼキングの両親はドイツ人ですが、フランスのリヨンで生まれました。 今日でも名ピアニストとして評価されている事は皆さんご存知と思います。 この曲でもギーゼキングの性格、演奏スタイルを感じる事ができます。 ギーゼキングのピアノ演奏のように、この曲からも表現に富んだ繊細さと多彩な表情を知ることができます。 ギーゼキングのピアノのレコード(CD)を聴いてから、この曲をフルートで演奏するのも面白いし、彼をより良く理解できると思います。
【中・上級者向け】 演奏時間:約12〜13分 (Y)

グラズノフをフルートで!

アレクサンドル・グラズノフ(1865-1936)は、ロシアの作曲家でリムスキー=コルサコフやショスタコーヴィチと関係が深かった人物です。ペトログラード音楽院(現サンクトペテルブルク音楽院)の院長を務めましたが、晩年は亡命しパリに没しています。
9つの交響曲(第9番は未完)や器楽曲などを残していますが、フルートのための作品は作曲されていません。
今回ご紹介する「TRIO MINIATURES Op.42」は1893年にピアノ用として作曲され、ピアニスト兼作曲家のマーク・タナー氏によりフルート用にアレンジされました。
この作品は、「Pastorale」「Polka」「Valse」の3つで構成されており、 「Pastorale」はゆったりとした美しい旋律で、原曲との違いを感じながら吹いてみると面白いかも知れません。また、「Polka」は元々チェコの民族舞曲で、R.シュトラウスの「トリッチ・トラッチ・ポルカ」などが有名です。テンポは速めで跳躍や高音域のパッセージがあり、他の2曲より難易度は高めです。ですが、ポルカを扱ったフルートとピアノの楽譜は稀なのでよりプログラムの幅が広がるでしょう。3曲目の「Valse」ワルツは、言わずと知れた3拍子の1拍目にアクセントが来る舞曲で、社交ダンスとしても親しまれています。そのためあまり音楽に馴染みのない方でも聴きやすいのではないでしょうか。
ピアノが原曲のため、全曲を通して少し音域が高いのが難点ですが、「Pastorale」「Valse」は発表会等にも丁度良いと思います。是非、曲選びの候補に挙げてみてはいかがでしょうか。
【初・中級者向け】演奏時間:約7分40秒 (M.R)

どこでも使える「精霊の踊り」(Fl.Pf/Fl.Storch)

グルックの「精霊の踊り」といえば、ビゼーの「メヌエット」などとともに、誰でも知っているフルートの名曲です。でもこの曲の作曲事情までは知らない方も多いのではないでしょうか。この曲は、オペラの題材として昔からよく使われてきたギリシア神話の「オルフェオとエウリディーチェ」の話を元に、1762年にウィーンで初演されたグルックのオペラの中の1曲でした。第2幕第2場の、天国の野で精霊たちが踊る場面で演奏されたのがシンプルなメヌエットです。
グルックは1773年にオペラの改革を唱え、当時オペラ上演の中心地の一つだったパリに進出しました。彼はいくつかの旧作に改訂を加えて上演しています。その中で1774年にオペラ座で「オルフェオとエウリディーチェ」を上演したときに、このメヌエットにフルート独奏による中間部を書き加えたのです。パリではお歴々がバレリーナの美しい脚を見るのを楽しみにオペラに通ったと言われるくらい、オペラと踊りは切り離せないものでした。パリでオペラを上演するために踊りを書き加えた作曲家は大勢います。ついでながら、お歴々はオペラの途中からやってくるというので、冒頭に踊りの音楽を置く例はあまり無いようです。
このようにして第2幕第2場に置かれたメヌエット(2本のフルート、弦楽合奏と通奏低音)にフルート・ソロ、弦楽合奏と通奏低音による中間部が加えられました。フルート・ソロがあまりに美しいことから、この曲はいくつもの編曲を生み、「メロディー」と題したクライスラーのヴァイオリン用の編曲などは特に有名です。
今回ご紹介する楽譜は、このパリ版の楽譜を使ったもので、弦楽合奏の伴奏でも、鍵盤楽器の伴奏でも使えるようにしたスコアと、第2フルートのパートも含む全パート譜をまとめ、原典に則した校訂で、しかも便利でお求めやすくなっています。音楽仲間の集まり、発表会から演奏会、アンコールまで幅広く使っていただける楽譜です。
【初・中級者向け】 演奏時間:約6分 (SR)

「組曲」

ゴダールは「ジョスランの子守唄」で有名なフランスの作曲家です。第一曲「アレグレット」は絶妙なレガート、軽快なスタッカートで生き生きとした表現が要求されます。第二曲「イディル」は牧歌と言う意味で、小川の流れのように静かで美しい曲です。第三曲「ワルツ」は単独にアンコールでよく演奏されます。リズムにのって、楽しく、面白く、演奏してください。
(Y)

忘れられた19世紀フランス・オペラ7

「ロミオとジュリエット」はシェイクスピアの作品の中でもあまりにも有名な作品ですし、それを基にしたシャルル・グノー(1818-1893)のオペラ(1867年初演)も比較的よく知られていますが、日本で全曲上演される機会は少ないのではないでしょうか。
今回取り上げる楽譜は、ポール=アグリコル・ジュナン(1832-1903)の編曲作品シリーズ、「現代オペラによる新ファンタジー・コレクション」の一つとして出版された楽譜です。このシリーズの中でジュナンは22曲中10曲でグノーの作品を取り上げており、グノーの音楽はジュナンが活躍した時代によく演奏され、当時の人々に耳馴染みのあるメロディーであったことがわかります。ジュナン自身もグノーの音楽を気に入っていたのでしょう。こちらは「ロメオとジュリエット」の第2番となりますので、作中で最も有名なジュリエットのカヴァティーナ『私は夢に生きたい』は入っていません。しかし、ロメオのアリア『恋よ、恋よ』やロメオの従者ステファノによるシャンソン『白いきじ鳩よ』といった有名な部分が演奏されますので、フランス・オペラのファンの方には十分に楽しんでいただけると思います。
曲中に登場する旋律は、順に
第2幕:ロメオ:ああ、太陽(=ジュリエット)よ昇っておくれ、星々をかすませておくれ!
第1幕:ジュリエット:魅力的な世界が私の眼前に湧き上がってくるようだわ!
第1幕:キャプレット卿(ジュリエットの父):さあ、若者よ!さあ、お嬢さん!
第3幕:ステファノ:白いきじ鳩よ、このハゲワシの巣の中で何をやっているんだい?
第4幕:ジュリエット:愛、それは私の勇気を奮い立たせる!
となっています。
19世紀に流行した華麗に装飾的な楽句がちりばめられる超絶技巧の小品というよりは、録音再生装置のない当時、気軽にオペラのフレーズを演奏会やサロン、家庭で楽しめるように編曲された楽譜となっています。演奏会の途中に挟む聴きやすい一曲やアンコール・ピースとして、また発表会向けの曲として活用していただけると思います。
(2021年12月記) (M.N.)

忘れられた19世紀フランス・オペラ1→楽譜ID:26347(ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー )
忘れられた19世紀フランス・オペラ2→楽譜ID:30704(ドップラー/オペラ・フェイヴァリッツ 第2巻 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ3→楽譜ID:26588(タファネル/「ニヴェルのジャン」によるファンタジー)
忘れられた19世紀フランス・オペラ4→楽譜ID:24355(サン=サーンス/パヴァーヌ&夕べの夢 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ5→楽譜ID:25608(タファネル/「フランチェスカ・ダ・リミニ」によるファンタジー(ベルノルド編))
忘れられた19世紀フランス・オペラ6→楽譜ID:24046(マスネ/バレエ組曲「ル・シッドより」)
忘れられた19世紀フランス・オペラ7→楽譜ID:20970(グノー/「ロメオとジュリエット」(グノー)によるファンタジー 第2番)
忘れられた19世紀フランス・オペラ8→楽譜ID:30070(ビゼー/耳に残るは君の歌声(歌劇「真珠採り」より))
忘れられた19世紀フランス・オペラ9→楽譜ID:27579(ボワエルデュー/曲集「バグダットの回教国の王」より )
忘れられた19世紀フランス・オペラ10→楽譜ID:23103(アレヴィ/サロン風四重奏曲 (アレヴィ) )

女性作曲家による作品です

1828〜1907年、フランスで活躍した女性作曲家Glandvalは、6歳の時にショパンのもとでピアノを習い、その後サン・サーンスやタファネルなど偉大な音楽家たちから作曲を学びました。Grandvalは、主にオペラやバレエ音楽、オーケストラなど多くの作品を残し、その中でも「組曲」は、指揮者、作曲者、そして演奏家でもあるタファネルに捧げられた作品の一つです。
この作品は、5つの曲からなる、演奏時間約20分の長い作品です。どの曲も素敵な曲ばかりで、5つの作品から1曲だけ取り上げて演奏しても十分楽しめる作品です。1872年、タファネルがフルートで、サン・サーンスがピアニストという素晴らしい演奏家たちで初演されました。
(M)

AMERICAN COMPOSER

1918年にフルートと小管弦楽のために書かれた作品です。アメリカの広漠たる大平原の中の、静寂、小動物たち、群を成して移動する動物、牧童たちの踊り、狩等をフルートの表現力と音色の美しさで描いています。去る、2003年8月に亡くなられたジュリアス・ベーカーさんがもっとも得意としていたレパートリーの一曲でした。上級者向けです。
(G)

きらめく小品です

ガブリエル・グロヴレーズは長年パリ オペラ座の音楽監督を務め、最後にパリ音楽院の室内楽教授となりました。この曲は1927年パリ音楽院の卒業試験用に作曲され、当時のフルート科教授ゴーベールに捧げられました。。前半は愛情に満ちた暖かな心をゆったりとしたメロディで表現しています。後半は快活技巧的に書かれており、多分試験曲を意識して前半と後半との対比を考えて書かれたのではないでしょうか?皆さんご存知の通り、当時試験用に書かれた曲は現在でも数多く、世界中の演奏家のレパートリーになっております。この曲もその中の名曲中の名曲と言えるでしょう。
【上級者向け】 演奏時間:約9分 (Y)

かわいらしい小品です

レイナルド・アーンは、1874年にベネズエラの首都カラカスで生まれました。1885年にパリ音楽院へ入学して、マスネやサン=サーンスに師事。1912年にフランスへ帰化し、1945年にパリのオペラ座の監督に就任するなど、フランスで活躍しました。彼の作品の中では歌曲が約125曲と最も多いですが、ピアノ協奏曲やピアノ曲、弦楽四重奏曲、ピアノ五重奏曲、バレエ音楽なども書いています。
この「2つの小品」は、「女神の踊り」「魔法使い」の2曲からなっており、それぞれルイ・フルーリーとガストン・ブランカールに捧げられています。どちらも演奏時間3分未満で、とてもかわいらしい曲です。どちらか1曲だけ選んでアンコール曲としてお使い頂くことも可能です。
【上級者向け】 演奏時間 女神の踊り:約2分40秒、魔法使い:約2分45秒 (I)

代表作に続け…

アーン…1874年ヴェネズエラのカラカスに生まれ、フランスで活躍した作曲家です。その作品のほとんどは歌曲ですが、協奏曲や室内楽、器楽、劇音楽も残しています。
この曲はヴァイオリンとピアノの為に書かれた曲でM.ラリューによる編曲です。 歌曲を多く残しているということもあり、流れるような旋律を持った美しい曲で、ロマンスという曲名にピッタリです。 ロマンスというと…サン=サーンス、シューマンと代表作品がありますが、もう演奏されてしまったり、ちょっと違うロマンスを探されている方にオススメ致します。
一度聴いたら耳に残るこの1曲、演奏してみて下さい。
【中級者向け】 演奏時間:約5分 (N)

シンプルで美しいモーツァルトのヴァリエーション

モーツァルトが残したフルートのための作品といえば、協奏曲や四重奏曲がまず浮かびますが、今回は他の作曲家が書いたモーツァルトにまつわる作品をご紹介します。
アーンはラヴェルやコルトーと共に学び、当時の教授マスネに作曲を師事しました。協奏曲や室内楽曲、多くの劇場作品を書きましたが、特に繊細で美しい旋律の“歌曲”を多く書いたことで有名です。そんな“歌曲王”アーンが書いたこの『モーツァルトの主題による変奏曲』は、モーツァルトの劇音楽『劇場支配人』の中で歌われる、ロンド『若いあなた!』をテーマにしたものです。まずAndanteで朗々とテーマが歌われ、その後7つの変奏曲が続きます。モーツァルトらしさを生かしたままの、シンプルで美しいヴァリエーションが繰り広げられていきます。難しすぎず易しすぎず、ちょうど中級者の発表会などにも使えるかと思います。
演奏時間:約7分 (A)

美しい愛の歌です

レイナルド・アーン(1875-1947)はベネズエラ・カラカス生まれのフランスで活躍した作曲家です。パリ音楽院で、マスネに作曲を師事しました。またサン=サーンスにも個人的に師事していました。最も有名な歌曲「私の詩に翼があったなら」は、『20の歌曲 第一集』の中の1曲です。今回ご紹介する「クロリスに」もよく知られた歌曲で、こちらは『20の歌曲 第二集』に収められています。詩は17世紀のフランスの詩人テオフィル・ド・ヴィオー(1590-1626)の作。美しいピアノの伴奏と心洗われるような優しい旋律が魅力です。3分ほどの短い曲ですのでアンコールにもおすすめです。もともとは歌詞があることを意識して演奏してみてください。
楽譜ID:15736は、フルート(またはオーボエ、ヴァイオリン)とピアノへの編曲。
楽譜ID:36603は木管五重奏(オーボエはイングリッシュ・ホルン、クラリネットはA管)への編曲で、モラゲス五重奏団のオーボエ奏者、ダヴィッド・ワルターによるものです。
【初・中級者向け】 演奏時間:約3分10秒 (B)

アルフテルの伯父さんはアルフテル(Fl.Cemb./Fl.Pf.)

フルートの世界でアルフテルといえば、コンクールの課題曲にも取り上げられる、あの超難しい現代無伴奏作品「デブラ」を書いたクリストバル(1930- )を思い浮かべる人がほとんどでしょう。しかし、音楽の世界全体で見ると、さらに有名なのはクリストバルの伯父にあたるエルネスト・アルフテル(1905-1989)ではないでしょうか。父の代にドイツからスペインに移住してきたアルフテル一族は音楽一家でもあり、エルネストの兄ロドルフォ(1900-1987)もやはり作曲家でした。
エルネストは兄に作曲の手ほどきを受けた後、兄と同じマニュエル・デ・ファリャに作曲を学びました。指揮者としても名をなし、その指揮ぶりは、ファリャの「恋は魔術師」や「ペドロ親方の人形芝居」のCDなどで聴くことができます。
今回ご紹介するエルネスト・アルフテルの「パストラル」はフルートとチェンバロ(またはピアノ)のための作品で、1973年に作曲されています。19世紀の末に、現代のピアノの構造を取り入れたモダン・チェンバロともいうべき楽器が作られて、師匠のファリャは1926年にチェンバロ、フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、チェロの室内楽編成の協奏曲を作曲しました。その後、イベールやプーランクらもこの“新しい”チェンバロの響きに触発された作品を残しています。この「パストラル」はその流れの上に作られたようで、作曲年代からすれば少々懐古的ではあるかも知れませんが、美しい佳曲に仕上がっています。曲は20世紀前半の作風を持った3つのパストラルからなり、第2曲には前半に無伴奏によるフルートの長大なカデンツァがあります。フラッターなどのごく基本的な特殊奏法が出てきますが、技術的にさほど難しいものではありません。知られざる名曲としてレパートリーに加えてみては如何でしょうか。
 (SR)

ヘンデル、12番目のソナタ<ニ長調 HWV378>

「ヘンデルはベーレンライターの“11のソナタ”だよ!」ということをよく聞きます。これはヘンデルの作品1の旋律楽器と通奏低音のためのソナタから、フルート用とリコーダー用のソナタを取り出して8曲、あとは3曲の「ハレ・ソナタ」を合わせて、11曲としたベーレンライター社の楽譜がよく使われているからです。それなら12番目のソナタって何? ということになるのですが、実は12番目のフルート・ソナタがあるのです。この曲も、ニ長調でHWV 378というヘンデルの作品番号が付けられた、れっきとしたヘンデルのフルート・ソナタなのです。「11のソナタ」が出版された後の1980年に発表されて話題を呼んだ作品です。
緩—急—緩—急の4楽章構成、第1楽章はヘンデルらしい大変のびやかな曲で、ヴァイオリン・ソナタ ニ長調の第1楽章や、フルート・ソナタ ホ短調の第3楽章と同じテーマが使われています。さらに第2楽章や第4楽章もヘンデルの別の曲と同じテーマが使われている、いかにもヘンデルらしい美しい作品です。このソナタは、今回ご紹介し楽譜の他に、ヘンレ社から出版されている「ヘンデル:フルート・ソナタ 第1巻」にも入っているので、お好きな方を選ぶことができます。ただし、2冊ともそれ以外の曲はベーレンライターの「11のソナタ」とダブるので気をつけて下さい。
(SR)

民族色豊かな一曲です

ハーティは、ヘンデルの「水上の音楽」のオーケストラ編曲で知られる、アイルランド出身の作曲家・指揮者です。 この「アイルランドにて」は、1918年にフルートとピアノの為のファンタジー として作曲され、1935年にフルート、ハープ、オーケストラのために編曲されています。 楽譜冒頭には“夕暮れのダブリンの街並み、二人のストリートミュージシャンが演奏している”と書かれており、叙情的な旋律とアイルランド風の音楽を用いたリズミックな部分が交互に現れながら、民族色豊かな音楽に乗って奏でられていく一曲です。
【中・上級者向け】 演奏時間:約7分 (NI)

日本の作曲家、林光

林光(1931〜2012)東京生まれ。10代の頃に作曲されたものがこの曲集に集められています。
「セレナーデ」「ノクチュルヌ」「ファンタジア」「牧歌」「3つの小品」の全5曲。「セレナーデ」4分の3拍子、ト長調、ソナタ形式で短いカデンツァが有り、爽やかで軽快な雰囲気。「ノクチュルヌ」8分の6拍子、ト長調、なめらかなフレーズで、とても美しい旋律の小品。「ファンタジア」は少し手の込んだ構成や曲調になっており、華やかで多彩な印象。「牧歌」は「ノクチュルヌ」を題材に作られており、柔らかで優しさに満ちた美しい曲。「3つの小品」Tメヌエット、Uパストラール、Vロンディーノ、それぞれフルートの良さが存分に引き出されていて、魅力的な作品となっています。
【中・上級者向け】 (E)

イギリスの人気作曲家 ヒースの1曲!

デイヴィッド・ヒース(1956-)はイギリス、マンチェスター生まれの作曲家、フルーティストです。ロンドンのギルドホール音楽演劇学校でフルートをウィリアム・ベネットとエドワード・ベケットに師事し、ジャズ・フルーティストとして活動しました。その後、仲間の勧めで作曲を始め、フルート作品、器楽作品、コンチェルトなどを作曲するようになり、ジェームズ・ゴールウェイのためにも作品を残しています。ヒースの音楽は、クラッシック音楽にジャズやロック、民族音楽の要素をプラスした独自のスタイルで、世界中で愛されています。
『Home from the Storm(嵐からの帰還)』は冒険家のポール・ヴァンダー・モレンに捧げられています。全体的にどこか懐かしく雄大な自然を感じさせます。途中からタイトルにもある「嵐」のような上行・下行の音形も見られます。師であるベネットのためにオーケストラ編成でもつくられており、そちらはヒースのYouTubeチャンネルで聴くことができます。
自然の雰囲気を感じながら伸び伸びと演奏してください。
【中・上級者向け】演奏時間:約5分 (U)

お洒落なヴェニスの謝肉祭です

ヴェニスの謝肉祭といえばジュナンやブリチャルディの作品を想い浮かべる方が多いかと思います。他にもクラカンプやドゥメルスマンが作曲したものがあります。
今回はエリシェのヴェニスの謝肉祭をご紹介させていただきます。 R.エリシェ(1907〜1991)は1921年にわずか13歳でパリ音楽院のゴーベールのクラスを卒業した天才フルーティストでした。 この曲はエリシェの友人でパリ・オペラ座のフルーティストだったギヨー氏に捧げられており、6つの変奏からなります。なかでも“ボサノヴァ”と指定されている第5変奏がとてもユニークです。ギヨー氏はジャズも得意でしたので、ボサノヴァ風の変奏を取り入れたのでしょう。 この部分の演奏にはセンスが必要かもしれません。ぜひお洒落な演奏にチャレンジしてみてください!!
【上級者向け】 演奏時間:10分 (OU)

典雅なソナチネ

平尾貴四男(1907-1953)は東京日本橋で生まれた作曲家です。裕福な家に育ち、幼いころから音楽の教育を受けていました。慶應義塾大学の医学生でしたが、文学部(独文学)を卒業しています。大学卒業後にフランスに留学して作曲、指揮、フルートを学び、帰国後は数々の作曲のコンクールで入賞するなど成功を収めました。戦後は国立音楽大学の教授に就任、作曲家グループ「地人会」の結成と、日本の音楽界に大きな影響を与えましたが、わずか46歳の若さで亡くなっています。
フルートとピアノのためのソナチネ(1941)は、ホテルオークラの創業者、大倉喜七郎が考案した『オークラウロ』という尺八の歌口にフルートのキー・システムを取り付けた楽器を想定して作曲されました。第1楽章のLentは5音音階が印象的な典雅な響きのする曲です。第2楽章のAllegretto moderatoは流れるようなピアノの動きとリズムに乗ってフルートが躍動、曲のフィナーレまで一気に駆け抜けていきます。
なんとなく『笛と琴』を連想させる曲調は、現代の日本では実はあまり聞くことのない響きで、とても新鮮に感じるのではないでしょうか。外国の方に紹介しても喜ばれると思います。作曲家が笛吹であったためか、とても吹きやすい音域です。多くの方に演奏していただきたい一曲です!
【中級者向け】 演奏時間:約7分30秒 (U)

フランクやサン=サーンスに愛された女性作曲家のフルート作品

オーギュスタ・オルメス(1847-1903)は、19世紀後半に活躍したフランスの女性作曲家です。裕福な家に生まれて音楽や文芸の才能を表し、セザール・フランクに作曲を学び、1889年にはパリ万博のためカンタータ「勝利の頌歌」を書き成功を収めました。その才覚と美貌で同時代の芸術家に称賛され、師フランクや、サン=サーンスから恋心を寄せられていたという逸話も残されています。近年録音等で取り上げられることも増え、再評価の機運が高まっているようです。
「3つの小品」は、舞台音楽や声楽曲を中心に作曲した彼女が残した唯一のフルートとピアノのための作品です。作曲家として成功を収めた後の1896年に書かれ、各2分程度の短い3曲で構成されています。フルートの流麗さや軽やかさといった魅力が引き出された、美しい作品です。
第1曲「Chanson 歌」ゆったりと流れるような旋律が歌われ、度々現れる臨時記号の音程感に独特の異国情緒を感じます。
第2曲「Clair de Lune 月の光」半音階で下行するピアノの伴奏に、シンプルながら神秘的なフルートの旋律が流れていきます。音を並べるのは簡単ですが、曲として完成させるには表現力が求められそうです。
第3曲「Gigue ジーグ」は付点音符のリズムの軽快な舞曲で、ピアノとの掛け合いを経て、勢いよく曲が閉じられます。
フランス近代の新しいレパートリーをお探しの方や、女性作曲家の感性に触れてみたい方、是非演奏されてみてはいかがでしょうか。全曲演奏しても7分程度ですので、発表会用等で難しすぎず綺麗な作品をお探しの方にもおすすめできます。
【中級者向け】演奏時間:約7分 (M)

セレナード(?)

ユーといって真っ先に思い浮かぶのは『ファンタジー』。。。ですが 今回ご紹介するのは『セレナーデ』です。
『セレナーデ』(小夜曲)とありますが、静かな夜のイメージの作品ではありません。 ここは注意が必要です。 ピアノが常動的にリズムを刻み、その上にフルートの旋律が心地良く流れます。 切迫感を感じるピアノの刻みとは対照的にフルートの旋律は美しく軽やかで。。でもどこかもの悲しいのは、彼の作品の特徴でしょうか。
ユーはパリ音楽院で作曲法を学び、カンカータの作曲でローマ大賞を授与しています。 その他にもオペラ・コミックでクレセント賞を受け、交響詩によってパリ市賞を受けるなど、数々の音楽賞を授けられている作曲家です。  『ファンタジー』だけでなく、ぜひこちらの隠れた名曲も!!  演奏時間は2分ちょっとと短めですが、コンサートピースにもお勧めできます。
(O)

アヴェ・マリア? ―そうではありません

「バッハ=グノー」で知られるアヴェ・マリア。メロディをご存知の方も多いと思います。 今回ご紹介するこの「アンダンテ」は最初の伴奏を聞くと、一瞬「アヴェ・マリアかな?」と思ってしまうかもしれません。バッハの「平均律クラヴィア曲集」のプレリュード第1番を基に、ユーゴンがフルートのメロディをつけました。3分ほどの短い曲ですが、ホーム・パーティーやアンコールなどにいかがでしょうか。
【初・中級者向け】 演奏時間:約3分 (B)

クセになる響きです

独奏ピアノのために書かれた10曲からなる小曲集「物語」から、M.モイーズが6曲を抜粋・編曲した、ファンタジーな世界観の小曲集です(残り4曲は2011年に「Vol.2」としてK.W.クラークが編曲しています。詳しくはコチラ)。
イベールはこれらの曲を作曲した頃、中近東や西欧の国々を旅行しました。全体的に異国情緒を感じる曲調のものが多く、旅で得たインスピレーションや聞き知った昔話が作曲に少なからず影響を与えたのであろうと考えられます。
主役はメランコリックな雰囲気の女性だったり、もつれ足で走る可愛いロバだったり、キラキラ光るガラスの鳥籠を持つ東洋人だったり。街をぴょこぴょこと駆け回る水売りの女性も、色彩豊かな群衆もいます。そして地を這うような哀しみを透明感溢れる美しさで表現した第3曲目が、全体のアクセントになっています。
全曲通しても、1曲だけ取り上げてアンコールなどで使用しても。技巧的な曲ではないので多くの方にお楽しみいただけるかと思います。聴き終わってからもしばらく余韻の残る、不思議な物語集。おすすめです。
【中・上級者向け】 (AN)

イベールの「物語」完結編

「物語」は、1917年、イベールが20代の後半に作曲したピアノ独奏曲集です。10曲の小品からなるこの曲集は、全体が一連の流れをもったすじのある物語ではなく、それぞれの曲が独立した一つの世界を描いています。1932年に「金の亀を引く女」「小さい白いロバ」「悲しみの家で」「ガラスの鳥篭」「水売り女」「バルキの行列」の6曲がマルセル・モイーズによってフルート用に編曲され、演奏されてきました。しかし、全曲をフルートで演奏したいとの希望が多かったのか、2011年に、続編として、残る「年老いた乞食」「おてんば娘」「廃墟の宮殿」「机の下で」の4曲がキンバリー・ワルター=クラークの手で編曲され、出版されました。すでに6曲を演奏された方、また全曲演奏をしてみようと思っておられた方には朗報です。難易度は曲によってまちまちですが、技術的内はかなり易しい曲もありますので、多くの方に楽しんでいただけると思います。
(SR)

寒い季節に心に優しく染みわたる曲はいかがですか?(Pic.Pf/Fl.Pf )

マイケル・アイザックソン(1946〜)はアメリカで映像音楽などを手掛ける作曲家です。これまでに出版された曲は500曲以上、アメリカ人なら一度は耳にした事があるのではないでしょうか。指揮者としても活躍しており、多数の映像作品のCD録音に携わっています。ポピュラー音楽を中心に活躍しているアイザックソンですが、今回ご紹介するのはピッコロの作品です。
「11月の歌」というタイトルのこの曲は、愛息であるアリ・ジョエル・アイザックソンのために作られた曲で、まるで息子に優しく語りかけるようにDolceで始まり、次第に流れるような旋律へと展開していきます。3分程度の短い曲ではありますが、ホッと一息つけるような親しみやすい旋律が心に優しく染みわたる1曲です。
フルートでも演奏していただけます。これからの季節に演奏してみてはいかがでしょうか。
【初級者向け】演奏時間:約3分30秒(NS)

日本人作曲家の名曲を紹介します

作曲者の石川榮作は、伊豆・下田に生まれ教員として勤めていた人物です。
故郷への感謝の気持ちを表現しこの曲を作曲したそうで、日本的でどこか懐かしい雰囲気を持ちます。「海」「祭」「峠」の3部構成で、演奏時間18分強の大作です。
第1楽章「海」“荒々と“の演奏指示から始まり、海の美しさと荒々しさの両面が表れた曲です。後半の長いカデンツァが印象的です。
第2楽章「祭」フルートの旋律はお囃子の笛、ピアノの音型は太鼓を表しているかのように終始賑やかで勇ましい曲です。後半にフラッターが度々登場します。
第3楽章「峠」ピアノの粛々とした長い前奏から始まります。哀愁のあるフルートのメロディーが徐々に情熱的な盛り上がりを見せて感動的に幕を閉じます。
テクニックとメロディーの両方を魅せることが出来る曲なので、コンサートのメインとしても使用できそうです。
是非、日本人の美しい感性に触れてみてください。
【中・上級者向け】 演奏時間:約18分 (HS)

ロマンティックで情熱的です!!

カーク=エラートは1877年ドイツで生まれ、ライプツィヒ音楽院で作曲をライネッケに師事しました。後期ロマン派のスタイルで室内楽作品や交響曲、歌曲、オルガン作品を数多く残し、中でもオルガン作品で作曲家として広く知られるようになりました。フルート作品は20曲になります。ソナタ・アパッショナータや30の奇想練習曲はご存知の方も多いと思います。
今回ご紹介します「シンフォニッシェ・カンツォーネ」は1917年に作曲され、エラートにとって初めてのフルートの室内楽作品となりました。ハーモニーや進行は後期ロマン派のスタイルを用いつつも、カンツォーネのスタイルはイタリアの文学者ペトラーチ(1304〜1374)に影響を受けているようで、カンタービレなメロディーかつリリカルさが特徴的です。曲の最後は技巧的なカデンツァで終わりを迎えます。終始切れ目のないフルートのメロディーラインがロマンティックで情熱的な空間を創りだしています。
【上級者向け】 演奏時間:8分30秒 (OU)

AMERICAN COMPOSER 2

なんともミステリアスな気分で曲がはじまります。アメリカの作曲家、教育者であるケナン。この曲は彼が25歳の時の作品です。4分程の曲なので、小曲をお捜しの方は一見の価値ありです。神秘的な世界へのトビラを開いてみませんか?こちらも上級者向けです。
(G)

民族色あふれる難曲

ハチャトゥリアンのフルート協奏曲は、ヴァイオリン協奏曲をランパルの依頼により作曲者自身がフルート用に改作したもので、難曲ながら、民族色あふれる美しいメロディーを持ち、フルートのレパートリーとしても定着しています。今回ご紹介するフランスの出版社の版は、従来からあるインターナショナル社版(現在は日本での入手不可能)と同じくランパルの校訂で音型などの変更はないようですが、印刷が新しくきれいで、音符も大きく見やすくなっています。ただ、ページ数が増えているので譜めくりに多少の難があります。
(T)

色々な顔を持つ作曲者

ケックランは天文学者、数学者、画家、音楽家といった顔を持つ作曲家です。科学者としては自然の驚異の研究に身を捧げました。音楽家としては理工学校を勉強後、パリ音楽院で、マスネ、ジェダルジュ、そしてフォーレに学びました。ケクランの音楽は自身の性格の純粋さ誠実さが反映しており、音楽面での創造性は穏やかさが現われています。
この曲はケックランが60歳になろうとする1936年に書き下ろしました。14個の小品は短く小説でいえばショートショートを思わせる作品です。透明で軽快に書かれており、鳴り響く音楽は不思議と立体感にあふれています。
【中級者向け】演奏時間:約13分30秒 (N)

イタリア・ロマン派の小品

クラカンプはイタリア生まれのフルートの名手です。ヨーロッパや北アメリカで活躍し、ナポリ音楽院では木管楽器の教授として指導も行っていました。また、作曲活動においては数多くの作品を残しています。今回はその中の一曲である「6つの花のロマンス」をご紹介いたします。
皆さんはこの題名を聞いてどんなお花を思い浮かべますか?色や香り、形など思い思いに想像をふくらませてみてください。この曲は「バラ」「チューリップ」「ジャスミン」「スミレ」「マーガレット」「リラ」の6つの花が描かれている小品集になります。曲の長さはそれぞれ2〜3分前後ですので、数曲組み合わせて発表会で演奏される事もおすすめいたします。自分の好きな花を選んでステージに素敵な花を咲かせてみてはいかがでしょう。
【中級者向け】 演奏時間:約16分 (E)

クライスラー、人気の2曲のセットです

ヴァイオリンの名手だったクライスラーは、たくさんのヴァイオリンのための小品を作曲し、その多くは今も人々に愛されて演奏されています。中でもこの「愛の喜び」と「愛の悲しみ」の2曲は特に人気があり、ヴァイオリン以外の楽器でもしばしば取り上げられています。フルート用の編曲版は長く絶版で手に入らなくなっていましたが、このたび新しく2曲まとめた形で出版されました。アンコール用に、サロンコンサート用に、また結婚式などにも使えます。古いウィーン舞曲風の愛らしく魅力的なメロディーをお楽しみください。
【中級者向け】 (T) 

表情豊かな変奏曲

ピアノの重厚な前奏から始まるイントロダクションは、華やかで、それでいて悲愴感があり、情熱的な印象を与えることができます。次からはがらりと雰囲気が変わり、美しくかわいらしいテーマがはじまります。変奏が進むに連れて激しさが増していき、曲の変化も楽しめる1曲です。クーラウらしい、フルートの魅せる技巧が楽譜いっぱいに散りばめられています。レパートリーの中の1曲にしてみてはいかがでしょうか。
【中上級者向け】 演奏時間:約15分 (H)

組曲形式の可愛い小品集

作曲者のラウル・ラパラの名前はあまり知られていないかもしれません。1876年にボルドーで生まれパリ音楽院でフォーレやマスネに師事し、1903年にはローマ大賞を受賞しています。スペイン系の家系でスペイン音楽の研究にも取り組み、スペイン民謡を取り入れた作品やスペインを題材にしたオペラ・コミックなどを作曲しました。
この組曲「あけぼのの書」は、シューマンの「子供のアルバム」やドビュッシーの「子供の領分」などの形式に似た、12の小さな個性的な曲集です。「雪の踊り」「煙突の下の物語」「猫の友だち」といったユニークなタイトルがそれぞれについていて、曲はどれも快活で愛らしい、親しみやすくロマンチックな小品です。それぞれ1〜3分程度の短い曲で、抜粋しても、曲順を変えても演奏可能です。サロンコンサートやアンコールにぴったりです。
レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
なお、ラパラは同じ「あけぼのの書」というタイトルでピアノ独奏と、ヴァイオリンとピアノのためにも曲を書いています。よほどこのタイトルが気に入っていたのかもしれません。
【中級者向け】(T)

名曲発見!?

ラウバー (1864-1952) はラインベルガーやマスネに学んだスイスの作曲家。指揮者、指導者としても活躍し、フルート作品では「バラード」が有名なフランク・マルタンの師にあたります。
この「グランド・ソナタ 作品53」は、彼が72歳頃、1936-37年に書かれた作品。長い間注目されることがなかったのですが、ウィーン交響楽団のフルート、ピッコロ奏者をつとめるスイスのフルーティスト、ラファエル・レオーネ (ウィーン国立音楽大学教授) の尽力によって“復活”を遂げました。最近では、K-H.シュッツのCD (ID:6734)に収録されています。メロディーやハーモニーの色彩感、小気味よいリズムなど、後期ロマン派から近・現代の時代にかけて活躍したラウバーの背景が感じられる素敵な作品です。
第1楽章:Patetico(Allegro moderato)[8分40秒]
第2楽章:Pastorale(Andante con moto)[4分40秒]
第3楽章:Burlesco(Prest)[6分]
(YS)

元・ダンサー

ジャン=マリー・ルクレールは1697年にフランスのリヨンに生まれました。 はじめは舞踊家としてイタリアのトリノで活躍しましたが、ヴァイオリン奏者に転向し、パリで成功を収めました。その頃から作曲も学び、多くのヴァイオリン曲を残しています。作曲はヴィヴァルディやコレッリなどイタリアの作曲家の影響を受けています。そして、そこにフランス風の優雅で華やかな雰囲気を取り入れ、当時フランスであまり知られていなかったイタリアの協奏曲などの形式をフランスに持ち込んだとされています。 この曲はフルート、またはオーボエ、ヴァイオリンのために書かれています。 同じ時代のバッハやテレマンとはまた少し違った優雅さと明るさがあります。 是非、踊るように軽やかに演奏して下さい!

第一楽章Allegroハ長調 曲全体に華麗な装飾がちりばめられていますが、技巧的な印象はなく、明るく爽やかです。
第二楽章Adagioイ短調 荘厳な雰囲気の前奏にはじまり、しっとりと憂いのあるメロディーが続いていきます。
第三楽章Allegro assaiハ長調 駆け抜けるような勢いのある楽章です。
【中・上級者向け】(U)

緩急の差が魅力の2楽章ソナタ

♩=40、という速さ(遅さ?)で始まる第1楽章は、不安を感じるような響きをピアノが奏でます。その上でフルートがppでとても長いフレーズを演奏します。息の使い方をしっかりイメージし、コントロールできるようになるといいと思います。第2楽章は打って変わってPresto energicoで、ピアノの16分音符刻みのリズムの上で、フルートも高音域で疾走します。ピアノとの掛け合いが難しいですが、合わせられるととても楽しく感じられます。両楽章ともに技巧的ですが、緩急・強弱のメリハリをつけて演奏できるといいですね。
ローウェル・リーバーマンはニューヨーク生まれの作曲家、ピアニスト。この曲は、1987年に書かれ、88年にポーラ・ロビソンにより初演されました。
【上級者向け】 演奏時間:約14分(B)

ソプラノの難役「ノルマ」をフルートで

イタリアのバーリに生まれナポリで亡くなったドナート・ロヴレーリョ(1841-1907)は、名フルーティストとして名を馳せ、作曲家としても活躍しました。イタリアでベーム式のフルートの導入に貢献し、コンサート用のファンタジーや、「リゴレット」「仮面舞踏会」「椿姫」「アイーダ」など、オペラの主題の編曲を多く手がけました。
今回ご紹介するこの曲は、19世紀前半のイタリア・オペラを代表する作曲家のひとり、ヴィンチェンツォ・ベッリーニの傑作オペラ「ノルマ」(1831)によるものです。紀元前50年頃のガリア地方で、ドルイド教の高僧オロヴェーゾの娘である巫女の長ノルマは、敵であるローマの総督ポリオーネとの間に密かに2人の子供をもうけていますが、ポリオーネの心が自分にはもうないことに悲しみと怒りをおぼえ復讐する…、といった話です。ソプラノ歌手にとっては超絶技巧を伴うアリアの数々で、難しい役のひとつとされています。
その中から、第1幕の厳かな「序奏」、有名なノルマのアリア「清らかな女神よ」、第1幕合唱「予言の御力で」、第2幕フィナーレ「犠牲にしてくれるな」を使った旋律的変奏曲で、「序奏」は原曲ト長調をニ長調に、「清らかな女神よ」はヘ長調をニ長調に、「犠牲にしてくれるな」はホ短調をニ短調に、それぞれ移調しています。(「予言の御力で」は原曲と同じト長調です。)
巫女のノルマを取り巻く三角関係、国を巻き込んでの復讐劇、最後にノルマが取った行動…、ひとつひとつの場面が目に浮かぶようなベッリーニの美しい旋律を、ぜひフルートの演奏で再現してみてください。
【上級者向け】 演奏時間:約12分 (B)

マーラーを笛で吹いてみようなんて考えるのはどんな人?

ふつうマーラーと言えば、あの長くて重い交響曲や管弦楽伴奏の歌曲などを思い浮かべて、フルートで吹いてみようなどと思うのはオケマンぐらいしかいないよ・・・と思っているアナタ! ところがいたのです。しかも、あのエマヌエル・パユさん!(・・・そういえば彼もオケマンだった!)です。
マーラーの歌曲の中には管楽器で吹いても良い効果が出せる曲があります。そんな中から特にフルートに向いた曲を選んだのがこの曲集。歌はどれも2〜3分の短いもので、交響曲や管弦楽またはピアノ伴奏の歌曲集から選ばれています。
まず「子供の魔法の角笛」から「この歌を作ったのは誰?」。“あの山の上の高い家から、かわいい女の子が外を覗いている・・・”と、この娘に恋した若者が歌います。
2曲目は「大地の歌」の第3楽章「青春に」。李白の詩によせて、中国風5音階が登場し、美しい春と青春そして、酒を言祝ぎます。
次は「子供の魔法の角笛」から「ラインの伝説」。ライン川に指輪を流すとなぜ恋人が見つかるのかが分かります。
4曲目も「子供の魔法の角笛」から「不幸なときの慰め」です。“馬に鞍をつけておさらばだ!”という軽騎兵、甘い時を思い出しながらも“もう沢山、とっとと出て行け!”と娘さん。愛想を尽かした二人の別れの歌が、勇ましい行進曲に乗って歌われます。
そして最後は「亡き子をしのぶ歌」から「私はふと考える、あの子達はちょっと出かけただけなのだと」。“こんなきれいな晴れた日に、子供たちはちょっと遠出しているだけだ・・・”と、子供をなくした親の悲しみが歌われます。
こうしてみるとこの曲集、様々な愛の形を歌った曲を集めていると思いませんか? さあ後はフルートを手に取って吹いてみるだけ・・・その前に、詩を読むこともお忘れなく。
(SR)

マレ/スペインのフォリア

「フォリア」はイベリア半島起源の古い3拍子系の舞曲で、8小節または16小節単位の決まった低音主題の上に変奏が繰り広げられる変奏曲の形を取っています。バロック時代にはスペインを始めイタリアやフランスでもこの舞曲が流行し、低音をもとにした上声の旋律も決まった形のものが出てきて、コレルリ、ヴィヴァルディ、クープランなど多くの作曲家が「フォリア」を作曲しました。 マラン・マレはバロック時代にフランスのヴェルサイユ宮殿で活躍したヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者でした。数年前にフランスで大ヒットし、日本でも公開されて話題となった映画「めぐり逢う朝」は、このマレと師匠のサント=コロンブを扱ったもので、ご覧になった方もおられると思います。フランスにはマレと同時代に活躍したヴィオール奏者でアントワーヌ・フォルクレがいて、「マレは天使のように、フォルクレは悪魔のように弾く」と謳われていました。このマレは、多くのヴィオール曲を残しており、マレの生前に「ヴィオール曲集」が5冊出版されました。 「スペインのフォリア」はその中の第2巻に収められ、彼の作品の中で最も有名な曲で、ニ短調、主題と31の変奏で構成されています。この第2巻は序文にマレ自身によって「その他の楽器で演奏してもよい」と書かれ、その楽器の例の中にフルートも入っていることから、フルート用の楽譜も数種類出版されています。

■こちらはフルートと通奏低音用の楽譜で、ト短調に移調され、主題と31の変奏による全曲版です。
(SR)

「フォリア」はイベリア半島起源の古い3拍子系の舞曲で、8小節または16小節単位の決まった低音主題の上に変奏が繰り広げられる変奏曲の形を取っています。バロック時代にはスペインを始めイタリアやフランスでもこの舞曲が流行し、低音をもとにした上声の旋律も決まった形のものが出てきて、コレルリ、ヴィヴァルディ、クープランなど多くの作曲家が「フォリア」を作曲しました。 マラン・マレはバロック時代にフランスのヴェルサイユ宮殿で活躍したヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者でした。数年前にフランスで大ヒットし、日本でも公開されて話題となった映画「めぐり逢う朝」は、このマレと師匠のサント=コロンブを扱ったもので、ご覧になった方もおられると思います。フランスにはマレと同時代に活躍したヴィオール奏者でアントワーヌ・フォルクレがいて、「マレは天使のように、フォルクレは悪魔のように弾く」と謳われていました。このマレは、多くのヴィオール曲を残しており、マレの生前に「ヴィオール曲集」が5冊出版されました。 「スペインのフォリア」はその中の第2巻に収められ、彼の作品の中で最も有名な曲で、ニ短調、主題と31の変奏で構成されています。この第2巻は序文にマレ自身によって「その他の楽器で演奏してもよい」と書かれ、その楽器の例の中にフルートも入っていることから、フルート用の楽譜も数種類出版されています。

■こちらはフルートと通奏低音用で、主題と31の変奏を全て含む全曲版ですが、原調の二短調での編曲で、ヴィオールの重音奏法なども楽譜を見てわかるように楽譜に反映されていて原曲を知るには良い楽譜です。 
(SR)

木管アンサンブルの中の1楽章です

チェコの作曲家マルティヌーは、1929年に「フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット2本にピアノ」という少し珍しい編成の六重奏曲を書きました。全体的にジャズっぽい雰囲気をまとった、お洒落な響きで、個人的にはなんとなく大人っぽいと感じる作品です。
第3楽章にあたるこのスケルツォは、フルートとピアノのみで演奏されます。躍動感のある楽章で、おどけた感じでピアノとの掛け合いを楽しんで最後まで一気に疾走してください。(ただし、ピアノとの練習は綿密に!)3分にも満たない短い作品ですので、アンコールなどにも取り上げやすいです。
メンバーがいれば、是非原曲の六重奏も演奏してみてください。
【ピアノと木管楽器のための六重奏曲 H.174】
I. Preludium : Poco andante
II. Adagio
III. Scherzo : Allegro vivo (Divertimento I)
IV. Blues (Divertimento II)
V. Finale
【上級者向け】 演奏時間:3分弱 (B)

本日の「サプリメント」

ボフスラフ・マルティヌーは、チェコを代表する作曲家です。彼の作品は、オペラやバレエ音楽から交響曲、合唱曲、室内楽と多岐にわたります。幼少のころからヴァイオリンを学び、オーケストラでも演奏していました。10歳ころから作曲を始め、プラハとパリで学びました。チェコ独特の民族性に加え、ジャズ的要素も盛り込んだ作風は彼の多くの作品に共通して見られます。1941年にアメリカに渡り、このフルートとピアノのためのソナタは1945年に作曲されました。急・緩・急の3楽章からなります。躍動感あふれるマルティヌー独自のリズミックなメロディは、一度聞くと忘れられないかもしれません。なお、この出版譜はファースト・ソナタと題されていますが、実際にはこの一曲しか書いていません。
【上級者向け】 演奏時間:約17分 (B)

忘れられたコンクール用小品2

ジュール・マゼリエは1879年に生まれ、1959年に没したフランスの作曲家です。パリ音楽院(コンセルヴァトワール)にて作曲をルネヴーとフォーレに師事。1879年と言えばゴーベールと生まれた年が同じで、ゴーベールが1905年にローマ大賞一等賞の次席を取ったのに続いて、1909年にローマ大賞一等賞をカンタータ《ルサルカ》にて受賞しました。この時二等賞を取ったのはハーピストとしても有名なマルセル・トゥルニエでした。前年度1908年には教育者ナディア・ブーランジェ、翌年1910年には理論の大家、ノエル・ギャロン、指揮者として活躍したポール・パレ―の名が見え、錚々たる顔ぶれが並んでいますが、その間に挟まれてしまった不運とでも言いましょうか、マゼリエの名前はぱっとしません。1918年から1922年まではオペラ=コミックの指揮者を務め、1928年より1952年まで母校で教鞭を取りましたが、1930年のコンセルヴァトワールのクラス写真にて、声楽科のソルフェージュ・クラスの教授として写っています。
1930年代に彼はコンクール用小品をいくつか作曲しています。今回のディヴェルティスマンと同年(1931年)にはバソン(フランス式ファゴット)のために《プレリュードとダンス》を、1936年にはクラリネットのために《ファンタジー=バレエ》といった具合です。残念ながら彼の作曲スタイルには目新しいところはなく、彼が時代に埋もれてしまった原因の一つとなりましたが、逆に言うと穏健な作風であり、ヴァイオリン等に比べると古典派、ロマン派のレパートリーの積み重ねが少ないフルートにとっては貴重なクラシカルなレパートリーとなることでしょう。
《ディヴェルティスマン・パストラル(田園喜遊曲)》は当時のフルート科教授、ゴーベールに献呈され、他のコンクール用小品にもれず、緩急の二部構成となっています。前半がアンダンテ、主題は流れるような分散和音に乗った息の長いタイトル通り田園風の旋律が特徴です。後半はアレグレット・モデラートで、伝統的なリズムにはのっとっていませんが、半音階や分散和音で目まぐるしく旋回する様は、雰囲気としてはタランテラに近いものがあります。サイレンのようなピアノのユニゾンによるトリル持続音が契機となり、七度の落下エネルギーをもとに旋回が始まり、こちらが後半の主題となっています。一度旋律が登りきったところでジェットコースターの落下運動のような動きをして小さなカデンツァを終えると、嬰ヘ長調に転調し再び主題が始まります。その後さらにタランテラの旋回は展開され、大きなカデンツァ、主題の再提示、すこし遅くなって(ジェットコースターの急降下直前の緊張感)、最後四分音符138のスピードで駆け上がって終焉を迎えます。1931年のコンクールで一等賞(プルミエ・プリ)を受賞した4人のうち、3人は大きな業績を残しませんでしたが、残る一人がアンドレ・ジョネでした。彼は後にスイスで活躍し、オーレル・ニコレやペーター=ルーカス・グラーフをはじめ日本人を含む多くの奏者を育て、フレンチ・スクールを国際的に広めたことはご存知の通りです。(2016年10月記)(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

早熟の天才メンデルスゾーン

メンデルスゾーンのヴァイオリン・ソナタは3曲あり、そのうち2曲がヘ長調で書かれています。1820年、11歳の時に作曲されたこのソナタは、その前年の1819年から本格的な作曲の勉強を始めたメンデルスゾーンが瞬く間に作曲の基礎を修得し、完成させた最初の本格的な作品です。子供の時の作品であるこということでは、モーツァルトが9歳のころに作曲し、フルートでもよく演奏されるKV10からKV15の初期ソナタと状況が似ています。彼は後に音楽の上で様々な改革を行いましたが、この時期の作品としてオーソドックスでシンプルな作りながら、生き生きとした佳曲となっています。この楽譜は実力派フルーティスト、フェリックス・レングリの編曲によるものです。
(SR)

モーツァルトの陰に隠れて、ビゼーやメンデルスゾーンが早熟の天才だったことは忘れられがちです。彼は代表作のひとつ、「真夏の夜の夢」序曲を17歳で作曲しています。今回ご紹介する1曲目はそんなメンデルスゾーンが14歳で作曲したヴァイオリン・ソナタです。シューベルトが「しぼめる花による変奏曲」や「アルペジョーネ・ソナタ」を作曲する1年前の1823年に作曲され、メンデルスゾーンはその前年に、最初のヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲なども作曲しています。14歳の少年が作曲した曲とは思えないほどの深みを持ちながら、若々しい勢いと豊かな叙情性を持った作品です。この曲は当時チェロ用やフルート用に編曲され出版されていますが、この楽譜はフルートの教則本で有名なアンリ・アルテスによる編曲です。
(SR)

メンデルスゾーン唯一のフルート曲(Fl.Pf/Fl solo)

いいですよね、メンデルスゾーン。
今日ではメンデルスゾーンといえば作曲家ですが、当時は指揮者・教育者としても有名でした。死後約80年間一部の音楽家・知識人などにしか知られていなかったJ.S.バッハを、「マタイ受難曲」再演で広く世に伝えたのは、彼の大きな業績のひとつです。後世の作曲家の多くはバッハの作品に影響を受けていますので、彼の残したものの大きさは計り知れません。
さて、作曲家としては「結婚行進曲(あの有名なパパパパーンです)」「フィンガルの洞窟(表題音楽の先駆け)」「ヴァイオリン協奏曲(3大ヴァイオリン協奏曲に数えられています)」「歌の翼(後にシュテックメストが幻想曲を作曲しました)」などで有名な彼ですが、残念ながらフルートのオリジナル・ソロ曲はこの「羊飼いの歌」しか残されていません。
たった30小節の素朴な旋律に寂しさと温かさが同居しており、メロディーが耳に残る味わい深いおすすめ曲です。個人的には風の冷たい秋冬に吹いていただくと気分も盛り上がるのではないかと思います。
3分ほどの曲なのでアンコールにいかがでしょうか。残りますよ。余韻。
【初・中級者向け】 (AN)

「言葉のない歌」をフルートで!

「無言歌集」(Lieder ohne Worte)は、ドイツ・ロマン派の大作曲家メンデルスゾーンによって1829年から1845年にかけて作曲され、各6曲ずつ、全8巻で出版されたピアノ独奏のための曲集です。これまでにもUniversal社やその他様々な出版社から、フルートのために編曲され単品や曲集で出版されていますが、このVigor社から新しく出版された曲集がおそらくこれまでで最も曲数が多く、全22曲がまとめられた充実の1冊になっています。
編曲者はイタリアのフルーティスト、作曲家、指揮者のルカ・ルッソ。各巻から3〜4曲ずつ、フルートで「歌う」のに向いたゆったりめのテンポの曲やより旋律的な曲が抜粋され、フルートとピアノ伴奏のためにアレンジされています。調性は大部分の曲が原曲から移調されていますが、うっとりするような美しいメロディはそのまま、フルートで演奏して楽しむことができます。
メンデルスゾーンは残念ながらフルートのためのオリジナル作品はほとんど残していませんが、ぜひこの傑作「無言歌集」で、彼の抒情的な美しい音楽に酔いしれてみてください。音楽的に「歌う」ことを学ぶためのエチュードとして利用されても面白いかもしれません。技巧的には易しいので初〜中級者の方からお楽しみいただけます。
この楽譜に基づいて全曲録音したCDも発売されましたので、合わせてチェックされてみてはいかがでしょうか。(CD-ID:8645)
【初・中級者向け】 (M)

ディズニー映画「ポカホンタス」より

ディズニー映画「ポカホンタス」のテーマ、挿入曲の曲集です。
メロディーは民族的なイメージを彷彿とさせるもので、ディズニー映画ならではの聴きやすさがあります。♭の多い調性や、転調がある曲が含まれていますので、初級者の方でレベルアップを目指している方にもおすすめ出来る一冊です。
アラン・メンケンは、この他にも「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」「ノートルダムの鐘」など、多数のディズニー映画の音楽を手掛けているアメリカの作曲家です。
※パート譜と伴奏譜とのセット販売となりますので、お買い求めの際はパート譜・ピアノ譜ともにご購入ください。
(H)

フルートで 『鳥』

メシアンは20世紀を代表する作曲家のひとりで、生涯をフランスで過ごしました。 作曲家としてだけではなく、ピアニストやオルガニストとしても活躍し、パリのサン・トリニテ教会のオルガン奏者を60年以上も勤めました。 カトリック信仰を題材にした曲や、鳥の歌声を取り入れた曲などを作りました。
この曲は1951年にパリ音楽院卒業試験の課題曲として作曲されました。随所に鳥の鳴き声の模倣がみられます。 ピアノ伴奏の上で繰り広げられるさえずりが次第に盛り上がり、最高潮を迎えて終結します。
【上級者向け】 演奏時間:約6分 (I)

ファンタジー・ソナタ

マックス・マイヤー=オルバースレーベンは、1850年4月5日にワイマール近郊のオルバースレーベンで生まれました。ワイマールで学んだ後ミュンヘンへ移り、そこでヨーゼフ・ラインベルガーらと共に学びました。1876年にヴュルツブルクの王立音楽学校の教授になり、その後、校長に就任しました。合唱団体「リーダーターフェル」の指揮者として活躍し、1927年12月31日にヴュルツブルクで亡くなりました。このファンタジー・ソナタは、古典的形式でありながら第2・3楽章には暗示的なタイトルがつけられています。
第1楽章:Lebhaft(活発な)は、対照的な主題を持ち合わせたソナタ形式。
第2楽章:Standchen(セレナーデ)は、夢見るような旋律で始まり、途中起伏があり、再び静けさに戻ります。
第3楽章:Baccanale(バッカナーレ:酒神バッカスの祭り)は、大変にぎやかな楽章で、ロンド形式です。全体的にかなりエネルギッシュな曲です。演奏時間は約19分30秒で、各楽章とも6〜7分です。
【中・上級者向け】

イタリアフルート奏者のオペラ・ファンタジー

ヴィンセンツォ・デ・ミケリス(1825-1891)はイタリア・ローマ生まれのフルート奏者です。アポロ劇場の首席奏者で、ローマのサンタセシリア国立アカデミアの教授を務めました。ミケリスについては現在も研究がすすめられていますが、フルートの改良に努め、ピッコロやフルートのための作品をいくつか残しています。フルートの腕前は作品を見ると分かるように、超絶技巧を披露できるぐらいのテクニックがあったようです。
今回ご紹介するのは、ウェーバーの歌劇『魔弾の射手』を題材に、フルートの魅力が詰まったオペラ・ファンタジーです。序曲の第1主題が所々に使われ、フルートパートには第2幕のアガーテのアリアや、第3幕の「たとえ雲が覆い隠しても」の美しい旋律が作品に盛り込まれています。また、その旋律の後には超絶技巧の変奏曲やカデンツが組み込まれ、最後まで飽きさせない構成となっています。ミケリスが作曲したこの作品は、現代譜で初めての出版です。ぜひフルートで美しいアリアと、聴衆を驚かせる技巧を演奏してみてください。
【上級者向け】 演奏時間:約10分 (TO)

演奏会にピッタリのファンタジーです!

モルラッキは「スイスの羊飼い」で知られたイタリアの作曲家ですが、その生涯についてはよくわかっていません。
この曲はイタリア人フルーティスト、グリミネッリなどが最近演奏会で取り上げ、楽譜のお問い合わせも多かったのですが、やっと発売となりましたのでご紹介します。 タファネルやジュナンなどの19世紀に書かれたオペラ・ファンタジーの様式にのっとった技巧的で華麗な曲です。ロッシーニの軽快なメロディを生かして楽しく聞き映えのするアレンジになっていますので、リサイタルにもぴったりです。ぜひ演奏会のプログラムに加えてみてください。
【上級向き】 (T)

もうひとつの勘違い

 前回、「愛の喜び」の作曲者とされたマルティーニについての間違いをご紹介しましたが、もう一曲、作曲家を間違ったまま知られてきた曲があるのです。それがジェームズ・ゴールウェイも愛奏する、このモルラッキの「スイスの羊飼い」です。印象的なピアノの旋律に乗って奏されるフルートのパッセージと泣かせるアンダンティーノからなる序奏、主題の「スイスの歌」から華やかで技巧的な2つの変奏へと続き、最後は“超絶技巧”のスケルツォで締めくくられます。いかにもロマン派の多くの演奏家たちが、よく歌うメロディーと華やかな変奏で自分の音楽と技術を聴かせた時代の作品で、“スイスの”というよりは、全編“イタリア”色に充ち満ちた歌心を持った曲です。
 ちょっと変なのは、その作曲家がフランチェスコ・モルラッキ(1784 – 1841)とされていたことで、そうだとするとベートーヴェンと同じ時代の作品???古典派の時代にドレスデンのイタリア歌劇場総監督を務めた、マジメを絵に描いたような人の曲とは思えない!!!
 そうです。実は違っていたのです。ずっと疑いもされずにフランチェスコ・モルラッキ作曲と思われてきたこの曲、楽譜の表紙をよく見てみると、何と“P.(!=昔出ていた楽譜にはこのP.が無かったのです)MORLACCHI”と印刷されているではありませんか。よくよく調べてみたら、この人、全くの別人。ピエトロ・モルラッキという19世紀後半の人で、ミラノ・スカラ座でフルートを吹いていた人物でした。同僚のファゴット奏者と共作した「ヴェルディの主題による協奏的二重奏」(Fl.Fg.Pfの曲で楽譜も出ています)という曲も残っています。
 まあ作曲したのが誰かはともかく、なかなか派手できれいな曲なので、我こそはと思うアナタ、是非試してみて下さい。
(SR)

ブラームスはハンガリー、ドヴォルジャークはスラヴ、そして…

19世紀から20世紀初めにかけてのフランス音楽界のスペイン趣味はよく知られています。ラロの「スペイン交響曲」やビゼーの「カルメン」などから、20世紀に入るとラヴェルの「スペイン狂詩曲」、ドビュッシー「イベリア」など挙げればいくらでも出てきそうです。しかし、実際にはこのスペイン趣味は他の国にもあったようで、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」などはその代表例、1887年にペテルブルクで初演されています。
ここでご紹介する作品もフランスで書かれたものではありません。ポーランドで生まれたピアニストで作曲家、モシュコフスキーが作った「5つのスペイン舞曲 作品12」です。彼はドイツで活躍した後、パリに移住しますが、この曲はパリに移る前の1876年にピアノ連弾用として作曲、出版されています。ブラームスやドヴォルジャークにも見られるように、ピアノ連弾の楽譜は、当時よく売れたのです。「スペイン舞曲 作品12」も人気があったらしく、1883年にはペータース社から複製出版され、旋律楽器(ヴァイオリン、コルネット、フルートまたはクラリネット)とピアノのための編曲版も同社から出版されました。この楽譜はそのペータース版を復刻出版したもので、フルート用のためパート譜はフルートしか付いていませんが、ピアノ・スコアはヴァイオリン用になっています。調性はピアノ連弾用の原調、ハ長調、ト短調、イ長調、変ロ長調、ニ長調のままにしてあります。今ではオーケストラへの編曲で聴く機会が多い曲ですが、当時のサロンや家庭内の雰囲気で楽しむのも悪くありません。
(SR)

5つの小品

フランス・パリで生まれたジュール・ムーケ(1867-1946)はドビュッシーと同時代に活躍した作曲家で、1896年にカンタータ「メリュージーヌ」でローマ賞を受賞します。残された作品はフルート以外に木管楽器のためにも作曲されているようですが、1904年に作曲された「パンの笛 op.15」が今ではよく演奏される作品となっています。
「5つの小品」は1925年、ムーケが58歳の時に作曲されました。各曲が2分ぐらい、全曲演奏しても約6分と気軽に取り組める作品です。
第1曲:Andantino 16分音符で奏でるピアノから始まり、ノスタルジックな雰囲気がフルートへと受け継がれます。短調の心地よいメロディーが耳に残ります。
第2曲:Allegretto 異国を訪れて故郷を想うような、哀愁を漂わせる響きが印象的です。
第3曲:Adagio これまでとは違って半音階で表現されており、不安定で悲しげですが最後は長調のハーモニーで終わりホッとします。
第4曲:Andante フルート(12/8拍子)が低音域でゆったりと吹くメロディーとピアノ(4/4拍子)の奏でるリズムの掛け合いが面白く表現されており、聴衆を惑わせる1曲です。
第5曲:Allegro 雰囲気がガラッと変わり、高音域ではつらつとしたメロディーでフィナーレを迎えます。
【中級者向け】 演奏時間:約6分 (TO)

忘れられたコンクール用小品

ジュール・ムーケ(1867-1946)は《パンの笛(フルート・ソナタ)》 Op.15 (1906年)が有名で、フルーティストには名が通った作曲家ですが、残念ながらその他の曲は現在耳にする機会が多くありません。彼は商人の息子としてレ・アール(中央市場)に近いパリ1区で生まれましたが、早くから音楽に興味を示し、パリ音楽院(コンセルヴァトワール)の和声のクラスにおいてはグザヴィエ・ルルー(1863-1919)に、作曲のクラスにおいてはテオドール・デュボワ(1837-1924)に師事しました。1896年にカンタータ《メリュジーヌ》にてローマ大賞を受賞。1913年より1927年まで母校の和声の教授を務めました。
《エグローグ》は1909年にコンセルヴァトワールのフルート科のコンクール用小品(卒業試験課題曲)として作曲され、いわば《パンの笛》の「続編」となっています。献呈先は当時のフルート科教授、エヌバン(1862-1914)で、彼が教授に就任して最初のコンクールでした。
「エグローグ」という言葉は訳すと牧歌、田園詩となりますが、語源は古代ギリシャ語で初出はラテン詩人のウェルギリウスになり、古典古代に思いを馳せる点で《パンの笛》と共通しています。冒頭には《パンの笛》の時と同じく詩の引用が掲げられています。やはり田園詩で有名な古代ギリシャの詩人テオクリトスのエピグラムの引用です:「ねえ君、ミューズの名において、君のアウロス(二本笛)で我々に甘美な調べを演奏してくれないかい?」
この曲は3つの主題からなり、第一主題は3連符によって田園を駆け抜ける一陣の風を模倣したパストラール主題です。第二主題は《パンの笛》の第二楽章にも見いだされる「マリンコーニコ」の表情指定のついた、東洋風の響きを持つ抒情主題。第三主題はオクターブの跳躍を契機とした軽快で動的な主題、これらの組み合わせと転調により一つのタペストリーの如く織り上げられ、最後は第一主題がつむじ風のようになり熱狂の内に幕を閉じます。(2016年6月記)
(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

最近ジャズにハマっている方へ!

作曲者のM.マウワー(1958〜)は、ロンドンのロイヤル・アカデミーでフルートを学んだそうですが、現在は作編曲家、ジャズ・サックス奏者として特に名が知られています。坂本龍一やティナ・ターナ、ビョーク、そしてジェームズ・ゴールウェイといった人気ミュージシャンの録音に参加したり、BBCビッグバンド、ストックホルムジャズ管弦楽団など多数のビッグバンドのために作品を書いたりと、様々なジャンルで目覚しい活躍をしています。この「オパス・ディ・ジャズ」は、1.Shuffle 2.Ballad 3.Bluebop の【急(?)−緩−急】三楽章から成るソナタ形式で書かれています。全体を通し、和音やリズムすべてにおいてとにかくジャズの要素が満載のノリノリの作品です。すべて音符で書かれていますので、即興演奏やアレンジの心配もありません。現代奏法もほとんどありません。リズムに乗ってスイングし、早いテンポでもピアノとピタリ合わせられれば超カッコいい!!一曲です。ただフルートもピアノも難易度が非常に高いので、腕に自信の有る上級者向きかと思われます。最近ちょっとジャズっぽい作品にハマっているかた、ぜひチャレンジしてみてください。
演奏時間:約17分 (A)

あのモーツァルト?いいえ、息子さんの作品です

F.X.モーツァルト(1791-1844)はW.A.モーツァルトの末子(四男)で唯一作曲家、ピアニストとして活躍しました。生後4ヶ月程で、父モーツァルトが他界したため、直接音楽の手ほどきを受ける機会は残念ながらなかったのですが、幼少期より音楽の才能を発揮、ピアノを弾く姿は父モーツァルトの幼い頃のようだ、神童だと評され、やがてヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト2世と名乗りました。ピアニストとして活躍していたためかピアノ作品を多く残しました。
今回ご紹介するフルートとピアノのために書かれたロンド ホ短調は、当初、フルート・ソナタの第一楽章として作られたそうで、「素晴らしいフルート・ソナタが出来るだろう」と周囲に話していたようなのですが、その他の楽章は見つかっておりません。ソナタ形式で、ウィーン古典派のクラシックな趣と19世紀初頭のロマン的な叙情を併せ持ち、繊細で情熱的なメロディが印象的な作品です。比較的取り組みやすい曲ですので発表会などにいかがでしょうか?
【中級者向け】 演奏時間:約8分 (NS)

きらきら星

W.A,モーツァルトはピアノのための変奏曲をいくつか作曲しました。1778年のパリ滞在中には4曲書かれており、その中で最も知られた名曲が「『キラキラ星』による12の変奏曲 ハ長調(キラキラ星変奏曲)」です。原題はフランスで当時流行したシャンソン「ああ、お母さん、あなたに申し上げましょう」で、若いお嬢さんがお母さんに恋人への想いを打ち明けようとする「恋歌」です。フルート用に様々な編成で楽譜が出版されていますのでご紹介いたします。主題はとてもやさしいメロディですが、変奏部分は技巧的になっていますので、全て中・上級者向けです。 原曲に忠実にフルートとピアノ用に編曲されています。
(I)

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ

このモーツァルトの6つのソナタは,原題が「ヴァイオリンまたはフルートを伴うチェンバロ・ソナタ」ですが、従来広く使われてきたBopp編曲のReinhardt社の版ではピアノパートをかなりフルートに移すなど大幅なアレンジが行われていました。 今回ご紹介する版では、今一度原典版を詳細に研究し、間違いなども直した上で、Boppとは違うアプローチで手を入れてあります。オリジナルそのままでもありませんが、モーツァルトの貴重なフルートのための作品であるこの曲に新しい光を当てる楽譜といえるでしょう。
すでに校訂者のSCHMEISER氏による演奏のCD(ID:5085)が発売されており、お問い合わせも多かった楽譜です。Reinhardt版をお持ちの方にも比較のためにご覧になっていただきたいと思います。
【中級者向け】 (T)

「マンハイム・ソナタ」

モーツァルトの中期のヴァイオリン・ソナタ6曲のセットで、1778年にパリのシベールから「作品1」としてまとめて出版されたもので、「マンハイム・ソナタ」と呼ばれる曲です。第1巻に入っている3曲はいずれもマンハイムで作曲されたもので、2楽章からなり、演奏時間も10分から12分ぐらいの比較的短い曲ばかりです。明るく若々しい力の溢れるKV 301、華麗なKV 302、大胆な構成を持つKV 303と夫々個性的な作品ですが、どの曲もフルートで演奏しても十分に楽しめる名曲ばかりです。3曲ともオリジナルのヴァイオリンの調性(ト長調/変ホ長調/ハ長調)をそのままに編曲してあります。
(SR)

「マンハイム・ソナタ」の第2巻です。KV 305はマンハイムで作曲され、アレグロと変奏曲という珍しい楽章構成の2楽章からなっています。KV 304はパリで作曲され、ヴァイオリン・ソナタとしては唯一の短調で書かれた作品で、二つの楽器の親密な対話、確固とした構成など完成度の高い作品になっています。KV 306もパリで作曲されており、KV 304とは対照的に、二つの楽器が協奏的に華々しく活躍する雄大な曲で、この曲のみ3楽章からなっています。この第2巻もオリジナルと同じ調性(ホ短調/イ長調/ニ長調)での編曲です。6曲それぞれが独特の個性をもったこれらのソナタを、是非フルートのレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
(SR)

選び抜かれたモーツァルトのソナタ集を

モーツァルトにはフルート・ソナタがありません。よく演奏されるKV10からKV15までの6つのソナタは、モーツァルトが8歳のとき、父レオポルトと滞在したロンドンで作曲した“ヴァイオリンまたはフルート伴奏付のクラヴィーア・ソナタ”でした。フルートでは「ピアノの右手」と「フルート・パート」を入れ替えて、フルートを目立たせて演奏するように編曲した楽譜がよく使われています。
こうした初期のソナタから中期になると、旋律楽器の役割りは大きくはなってきますが、まだピアノの役割りの方が大きいソナタで、しかもこの時期以降フルートは使われず、ヴァイオリンだけになってしまいます。その後、ヴァイオリン・ソナタは後期の作品に向かいピアノよりもさらにヴァイオリンの役割が大きくなっていきます。ベートーヴェンやシューベルトなどにも通じる充実したソナタになっていくのに、フルート・ソナタが無いのはいかにも残念です。
フルート用に編曲された作品では、1992年に音楽之友社から工藤重典氏編曲による「モーツァルト/フルート・ソナタ集」@(KV301/KV302/KV378/KV360)とA(KV376/KV403/KV454/KV570)の楽譜が出版されました。この2冊は、このヴァイオリン・ソナタを取り上げて、原曲のヴァイオリンとクラヴィーアの組み合わせを考慮し、オリジナルを大事に生かしながらフルート用に移し替えた編曲と、中期から後期にかかる代表的なソナタを集めた選曲の良さから評判を呼びましたが、長らく版元切れで入手できず、問い合わせの多い楽譜でした。
今回ご紹介する「[新版]モーツァルト/フルートとクラヴィーアのためのソナタ集」は、この2冊の中から、特に人気がありフルート向きと考えられる4曲の中期のソナタ(KV301/KV305/KV376/KV378)と、後期の先駆けとなったソナタ1曲(KV454)というさらに厳選した曲目になりました。編曲も旧版の方向を踏襲しながら、KV454はさらに進化した編曲になっています。
プロ・アマ問わず、モーツァルトの充実したソナタを吹きたい方にお勧めしたい楽譜です。
【中・上級者向け】 (SR)

THE MAGIC FLUTE

W.A,モーツァルトの歌劇の中で最も有名な歌劇「魔笛」をフルート用に編曲した楽譜をご紹介いたします。
ム、ム、ム・・・ああ、なんと強力な魔法の音が 〜 私は鳥刺し 〜 ああ、愛の喜びは露と消え 〜 僧侶の行進 〜 何と素敵な鈴の音  によるメドレーになっています。変奏部分はあまりありません。
【中級者向け】

クラリネットをフルートで 2

モーツァルトがその死の年、1791年に友人のクラリネット奏者アントン・シュタットラーのために作曲した「クラリネット協奏曲 イ長調」は、同じ年に作曲された「ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調」と並んで、彼の協奏曲の最高傑作です。フルート奏者に限らず、現代の演奏家・愛好家はどうしても作曲された楽器で演奏しないといけないと考えがちですが、モーツァルトの時代は音楽はもっとずっと自由な感覚で演奏されており、この曲も1801年にはフルート用に編曲されて演奏されていたようです。ちなみに彼の「クラリネット五重奏曲」も当時からフルート用に編曲され、演奏されていました。この楽譜はA.E.ミュラーが1801年にト長調に編曲した楽譜を元にピアノ伴奏用にしてあります。当時のバセット・クラリネットという、現代のクラリネットより低音域に向かって音域が拡張された楽器のために作曲されているため、オクターブの入替えなどもかなり多いのですが、大いに楽しめる楽譜です。
(SR)

べーレンライター版/フルート協奏曲 ト長調

ベーレンライター社の「フルート協奏曲 ト長調」の楽譜が改訂されました。今までのものは「新モーツァルト全集」の原典版に、フルート奏者のグンター・ポールが演奏上の注意を加えたもので、完全な原典版とは言えないものでしたが、今回の楽譜はそれを「新全集」の原典版に戻してあります。さらにこの楽譜にはそれ以外の大きな変更点が3つあります。「アンダンテ ハ長調」が省かれたこと。伴奏をシンプルにして弾き易くしたこと。これまでフルート・パート譜に直接印刷されていたカデンツァやアインガングを別冊にして、新しく人選された3人の演奏家の最新の研究による様々な可能性のあるカデンツァやアインガングが付き、丁寧な解説が付けられたことです。これから、モーツァルトのフルート協奏曲を演奏するときのスタンダードとなることでしょう。
(SR)

あなたも知っている、モーツァルトの名旋律。

以前出版されたチャイコフスキーに続き、ゴールウェイ編集によるモーツァルトの名曲集が発売になりました。 チャイコフスキー同様、今回もフルートのオリジナル曲だけでなく、オペラ、室内楽、ピアノやヴァイオリンの曲など幅広い作品からモーツァルトの珠玉のメロディーを選んであります。きっと、一度は吹いてみたかったあの曲この曲が見つかるに違いありません。
【初・中級者向け】 (T)

ピアノ伴奏で四重奏を。

フルートと弦楽器で演奏される室内楽といえば、フルートとヴァイオリンの二重奏、フルート、ヴァイオリンとチェロの三重奏、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロの四重奏・・・と様々な形があります。その中で最も数多く作曲されているのが「フルート四重奏」でしょう。この形は“通奏低音”が無くなった古典派の時代に作られ、現代でも作られていますが、その中で最も有名な作品が、W.A.モーツァルトが作曲した4曲の四重奏曲です。この4曲は、モーツァルトの他のフルート作品(協奏曲)より技術的には易しく、アマチュアの方々にももっと楽しんで吹いていただきたい曲です。
室内楽を演奏する時に困るのは、メンバーを集めなければならないことです。3人も弦楽器の知り合いが居ないという方に朗報です。今回ご紹介する楽譜はこの4曲をピアノで伴奏できるようにした楽譜で、フルート・パートは原曲と同じなのです。ピアノ伴奏譜は出ているけれど、協奏曲は難しくて吹けない・・・でもモーツァルトは吹きたいと思っていたアナタ。是非この楽譜でオリジナルのモーツァルトをお楽しみください。
(SR)

ソナタに続け!

ムチンスキというと一番にソナタが思い浮かびますよね。ですが、今回ご紹介しますのはモーメンツという曲です。ソナタに負けない華やかさ、陽気な主題そしてちょっとミステリアスなメロディーも出てきます。
それでは、解説です。ムチンスキは現代のアメリカを代表する作曲家の一人でポーランド系のアメリカ人です。元々ピアノを専門で学んでいた為、自作自演の曲を数多くこなしています。作曲家としてもとても実力があり、数々のコンクールで賞を獲得しています。  この曲は1992年に作曲家である母アレクサンドラ・ハーレイの為にかかれ1993年に初演されています。 新たな曲を探されている方にはもってこいの曲です。試験曲、演奏会などにいかがでしょうか。
【上級者向け】 演奏時間:約13分 (N)

バッハ最後の弟子のフルート・ソナタ(Fl.Bc.)

1728年1月17日にドイツのメルンで生まれたヨハン・ゴットフリート・ミューテルはオルガニストだった父からピアノ、オルガン、フルート、ヴァイオリンの手ほどきを受け、さらにリューベックで聖マリア教会のオルガニスト、パウル・クンツェンに音楽を学びました。1747年、19歳でメクレンブルク・シュヴェーリンの宮廷に奉職した彼は、3年後の1750年に1年間の休暇をもらい、5月4日にライプツィヒのJ.S.バッハの家を訪ね、バッハ家に住み込みで教えを受けています。バッハは直前の3月と4月に目の手術をうけ、失明状態に近かったので、ほとんど教えを受けていないとも言われていますが、いわば内弟子の形で過ごした期間はミューテルにとってとても重要な時間だったに違いありません。バッハは7月末に亡くなりましたが、彼はその臨終の場にも居たとされています。ミューテルはさらにテレマンやC.P.E.バッハ他からも教えを受けました。その後、彼はリガに移り1755年には同地の中央教会のオルガニストになって1788年7月14日に同地で亡くなるまでその職を務めました。
ミューテルの作品は鍵盤音楽を中心にごく僅か残されています。その中にたった1曲あるフルート作品がこのソナタです。師匠筋のJ.S.バッハやC.P.E.バッハのフルート作品の多さに比べてたったの1曲。書き残した手紙などから想像するとミューテルの性格は内向的で多少不安定なところもあったかも知れません。そんな性格がこの作品数の少なさの原因だったのでしょうか。しかし、この1曲が抜きんでて素晴らしい名曲なのです。様々に転調を繰り返し、特徴的なリズムと間(休符)をもった音楽で、その旋律的な美しさと繊細な表情は、同じ傾向を持ったC.P.E.バッハやクヴァンツ、キルンベルガーらを凌ぐほどです。何で1曲だけ?と考える前に是非吹いてみてください。この時代の音楽を知ることがさらに深い理解につながると思います。
演奏時間:約13分 (SR)

日本の秋を奏でましょう♪

「だれかさんが だれかさんが だれかさんが 見つけた・・・」日本の童謡、「ちいさい秋みつけた」を歌ったり、聴いたことのある方は多くいらっしゃると思います。作曲者である中田喜直氏は、「夏の思い出」や「めだかの学校」など教科書にも載っている歌曲をはじめ、校歌や合唱曲など、数多く有名な作品を残した作曲家として知られています。
この作品はフルートのオリジナル曲で、「ちいさい秋みつけた」の変奏曲です。冒頭はフルートの独奏、その後ピアノが主題を演奏し、6つの変奏が登場します。原曲はホ短調で、全体的に暗めの印象ですが、この作品では第四変奏がホ長調、また第五変奏がハ長調に転調し、曲中は明るく生き生きとした雰囲気もあります。
夏が終わりに近づき、紅葉が色づき始めたころに演奏してみてはいかがでしょうか。
(KM)

20世紀フルート協奏曲の傑作

作曲者晩年の1926年に作られたこの曲は2楽章からなり、調性が次々に展開する中、ソロフルートがオーケストラの中のいろいろな楽器と対話を繰り返すユニークな作品で、イベールやジョリヴェの協奏曲と並んで20世紀のフルート協奏曲を代表する傑作の一つです。ニールセンはデンマークを代表する作曲家で、この新しい版は同国の出版社W.Hansenが最新の研究に基づいて刊行中の「ニールセン全集」に拠るものです.従来使われていた1953年版の出版後発見された作曲者自筆の鉛筆書きのスコアも参照され、アーティキュレーション、ダイナミクスなど随所に改訂が行われています。これからこの曲を演奏される方にはスタンダードとして、旧版をお持ちの方にもぜひ参照していただきたい版です。
【上級者向け】 (T)

対照的な2曲の小品でニールセンの世界観を味わってみませんか?

ニールセンといえばフルート協奏曲が有名ですが、今回は「2つの幻想的小品」をご紹介いたします。
原曲はオーボエとピアノのために書かれた作品で、このW.Hansen版はゴールウェイとクリスチャンセンによってフルート用に短3度上に移調して出版されています。「ロマンス」と「ユーモレスク」の2曲からなり、第1曲「ロマンス」は、冒頭から哀愁漂う叙情的なメロディが非常に印象的です。何度も繰り返される美しく繊細なメロディは3分足らずの短い曲でありながらも、切なく静かに余韻が残る作品となっています。第2曲「ユーモレスク」は、1曲目の雰囲気には想像がつかないほど非常にリズミカルで踊りだしたくなるようなユーモア溢れる曲です。晩年のフルート協奏曲の冒頭とそっくりな衝撃的なピアノのパッセージから始まり、初期の作品でありながらもニールセンの独特の感性、作曲技法が際立つ作品となっています。対照的な2つの小品をぜひレパートリーに取り入れてみてはいかがでしょうか?
【中級者向け】演奏時間:約7分 (NS)

アンコールピースにおススメ!

ウィーンに生まれたパラディスは、幼い頃に視力を失いますが、サリエリらに音楽を学び、ピアニスト・オルガニストとしての才能を認められ、モーツァルトも彼女のためにピアノ協奏曲(K.456)を贈ったといわれています。 作曲も多かったものの、ほとんど現存せず、最も有名な曲とされているのがこのシシリエンヌです。 もとはピアノの為に書かれた曲ですが、フルートで奏でるのにもよく合う、優美なメロディーの小品です。 短い曲なので、アンコールピースとしてもお薦めです。
【中級者向け】演奏時間:約3分(NI)

こんなバラードご存知ですか?

フルート&ピアノの「バラード」といえば、マルタンやゴーベール、ライネッケ作曲のものなどが有名ですが、その他にもたくさんの作曲家によってバラードが作曲されています。その中から1曲ご紹介したいと思います。ペリルーはフランスの作曲家で、このバラードは、1910年のパリ・コンセルヴァトワールの卒業試験のために作曲されました。力強いピアノの前奏から始まり、それを受けるようにフルートも力強いメロディで入ります。そして、その後は流れるような美しいメロディが続きます。きっと一度吹いたら忘れられなくなることでしょう!ダブルタンギングで演奏する部分が少ないので、タンギングがあまり得意でない方には特にオススメします。
演奏時間:約6分半 (I)

花の季節にこんな曲はいかがでしょうか?

スウェーデンの作曲家ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(1867-1942)の作品をご紹介したいと思います。彼は、音楽評論家や王立オペラのプロデューサとしても活躍し、スウェーデン音楽界ではよく知られる存在だったといいます。『フレースエーの花々』は、原曲は21曲からなるピアノ小曲集ですが、その美しいメロディーゆえに管弦楽や他楽器への編曲も数多く行われています。その中から最初の6曲を、スウェーデン出身のフルーティスト、イエラン・マーカソンがフルートとピアノ用に編曲したのがこの楽譜。それぞれ数分程度の短い小曲ですが、思わず口ずさみたくなる明快なメロディが印象に残ります。初級〜中級程度の方でも技巧的には問題無く演奏できるでしょう。ちなみに『フレースエー』というのはスウェーデン北部の湖に浮かぶ島の名前で、作曲家はこの美しい島をこよなく愛し、ついには別荘を建てて移り住んだそうです。そんな作曲者の日常の情景を綴った絵日記のような作品です。さらりとエレガントに演奏してみるといいかもしれません。
(A)

タンゴ界の革命児、ピアソラ

この楽譜は、ピアソラが遺した数々の名曲から数曲をピックアップし、フルートとピアノ用にアレンジしたものです。
第1巻には代表作の「リベルタンゴ」をはじめ、「ジャンヌとポール」などのピアソラの世界観がたっぷり詰まったタンゴ、かなりクラシック寄りの美しい「アヴェ・マリア」などが収録されています。
第2巻には、様々な編成でよく演奏される「鮫」「忘却」の他、あまり聴く機会のないものも多く収録されています。
アルゼンチンとNYで育った背景を生かし、タンゴにジャズやクラシックの要素をふんだんに採り入れた彼の作品は、どれも艶のある遠い異国の響きがします。熱く甘く切ないタンゴは、コンサートのプログラムのアクセントや、アンコールにもおすすめです。
【初・中級者向け】 (AN)

さらにピアソラを極めたい方のために

いまだにピアソラ人気は衰えません。これまでに何冊のピアソラ曲集が出たことでしょうか。
この楽譜は「アディオス・ノニーノ」や「リベルタンゴ」は当たり前、もう「オブリヴィオン(忘却)」や「エスクアロ(鮫)」も吹いちゃったよ! というアナタのための曲集です。といっても、全25曲中2曲は「リベルタンゴ」「オブリヴィオン(忘却)」と有名どころも入っていますが、後は「ムムキ」が知られている程度でしょうか。ほとんどの曲は劇音楽や映画音楽として作曲されたものです。ちなみに「オブリヴィオン」も映画「エンリコ4世」(1984年、マルチェロ・マストロヤンニ主演)の音楽です。コメディー・フランセーズのシェークスピア劇「夏の夜の夢」(1986)のための音楽からは「序曲」「職人 I」「踊られた」「デュオ I」「ミロンゴ」「官能的」の6曲。同じくリシャール・ガリアーノが音楽監督を務めた舞台作品「芸術家一家」(1989)から「誕生の歌」「ポポの歌」「センティメンタル」「タンゴ・終曲」の4曲。映画「タンゴ−−ガルデルの亡命」(1985)からの「不在」。映画「スール その先は・・・愛」(1988)から「夢」「南へ帰ろう」の2曲。さらに音楽を担当するはずだったピアソラが病に倒れたため、バンドネオン奏者のネストル・マルコーニが「夏の夜の夢」から編曲・演奏した「ラテンアメリカ 光と影の詩」(1992)から「エル・ビアヘ(旅)」が取り上げられています。また、1988年にリリースされ、収録曲が1997年の香港映画「ブエノスアイレス」で使われて有名になったLP「ラフ・ダンサー・アンド・ザ・シクリカル・ナイト」から、「3人のためのミロンガ」「ミロンガ・ピカレスク」「ストリート・タンゴ」の3曲も。あとは「フラカナパ」「新世界」「精神病」「シン・ルンボ」「すべては過去」の5曲で、全体としてはピアソラ自身が録音を残していない曲もかなり含まれています。25曲をこうして眺めてみると、この楽譜が他のピアソラ曲集とひと味違ったものであることが分かってきます。フルートの新しいレパートリーを広げるのにはなかなか良さそうな楽譜です。
(SR)

ピアソラとフルート

アストル・ピアソラはフルートのオリジナル曲を2曲残しました。無伴奏フルートのための「タンゴ・エチュード」と、フルートとギターのための「タンゴの歴史」です。特に1986年にリエージュのギター・コンクールのために作曲された「タンゴの歴史」は発表後大変な人気を博し、楽譜が出版されてからはムラマツでも「フルートとギターのための楽譜」のベスト・セラーとなりました。プロ、アマチュアを問わず、フルーティストたちの間で高く評価されるこの曲の演奏上の大きな問題の一つは、フルートも易しくはありませんが、ギターが大変難しく、この曲を弾きこなせるギタリストが中々いないということです。 この楽譜は、ギター・パートを忠実にピアノに置き換えた編集版ですので、これまでギタリストがいないためにこの曲を演奏できなかった方々も、この楽譜があれば問題なく演奏することができます。これを機会に、ギター伴奏ということで今まで「タンゴの歴史」を敬遠して来られた方々も是非挑戦してみてください。なお、この楽譜はフルート用以外にヴァイオリン用のパート譜も付いているので、ヴァイオリンの演奏にも使えます。また、別売りで、ハープ伴奏用の楽譜も出版されています。
(SR)

フランス近代作品

この作品は、教会オルガニストの職を辞め作曲に専念しはじめた1900年に、「ヴァイオリン・ソナタ」として書かれた作品を、ピエルネ自身がフルート用に編曲したものです。フランスの作曲家ピエルネは同じパリ音楽院で勉強をしていたドビュッシーとかなり仲が良かったようで、ドビュッシーの作品の指揮者としても有名でした。フルートの曲としては、独自の技巧が格別に展開されるわけではないですが、素直で、とても楽しめる曲です。
【上級者向け】 演奏時間:約22分 (N)

クラリネットの超定番曲

たまにはクラリネットの名曲もいかがでしょうか。フランスの作曲家ガブリエル・ピエルネが手掛けた「カンツォネッタ」は初心者の皆様にもおすすめの小品です。
ピエルネはパリ音楽院にて作曲をマスネに、オルガンをフランクに学びました。指揮者としても非常に有名だった彼は、ストラヴィンスキー作曲「火の鳥」の初演なども務めました。印象主義とロマン派の両方を兼ね備えた作風を持ち味としたピエルネは、確かな作曲力で19世紀後半から20世紀初頭にかけて多くの素敵な作品を残しています。
曲の冒頭に現れる旋律は、イタリアのシチリアーナを思い起こすような符点のリズムが印象的です。題名にイタリア語が使われていることを考えると、もしかするとピエルネはシチリアーナや舟歌等に近いものをイメージしながら作曲したのかもしれません。何度も登場するその付点リズムは全体を通して表情がコロコロと変わり続け、まるで日差しが波に当たった時のように、明るさと暗さが和声の中に見え隠れします。
わずか4分ほどの短い楽曲ですが、エスプリ(フランスの精神)を十分に感じとれる作品です。所々に現れる16符音符、装飾音、半音階の動きがおしゃれさを一層引き立てています。
【初・中級者向け】演奏時間:約4分(C.K.)

忘れられたコンクール用小品7

マルセル・ポートは1901年にベルギーのブリュッセル近郊で生まれ、ブリュッセル音楽院に学び、パリに出てエコール・ノルマル音楽院でデュカスにも学んだ作曲家です。1988年にブリュッセルで亡くなりました。1925年から5年間ほどフランス6人組のベルギー版のような作曲家グループ「レ・サンテティスト」の一員として活動しました。後に母校ブリュッセル音楽院の教授として和声や対位法を教え、1949年から1966年まで院長を務めました。作風はフランス6人組を受け継ぐ新古典的なスタイルと近代的、機械的なリズムの妙が特徴で、7曲の交響曲を残したシンフォニストであり、ベルギーの地理的な影響によりフランス風の叙情性とドイツ的な重厚さをあわせ持つという点からもオネゲルに近いものがあります。
《伝説》は1959年の卒業コンクール用に作曲されましたが、献呈先は当時のブリュッセル音楽院のフルート科教授、フランシス・ストーフとなっています。冒頭、ピアノの荘重な和音の連打の後、フルートが神秘的な第1主題を奏で、カデンツァに入ります。第2主題は打って変わって4分の3拍子と8分の3拍子の混合拍子による機械的なリズムの行進が始まり、20世紀後半の時代を感じさせる作風です。フルート・パートの方も半音階的でメカニカルな動きが続き、当時の典型的なコンクール用小品のスタイルです。リステッソ・テンポで第1主題に似たカンタービレ主題が登場しますが、所々伴奏では第2主題の混合拍子が顔を見せます。徐々にテンポを落とした後ヴィヴァーチェとなり、輝かしくも少しおどけた旋律でラストスパートをかけたかと思いきや、第1主題に回帰します。トリルでエネルギーをためた後、コーダはヴィヴァーチェで駆け抜けて終わります。3連符や8分音符3拍による上行音型が随所に現れ、性格の異なる主題を有機的に結びつけると同時に、音楽の推進力となっています。
1959年6月6日に行われたコンクールの一等賞をとった4人のうち、スイス出身のブリギッテ・ブクストルフはアンセルメ時代のスイス・ロマンド管弦楽団で首席奏者を務め、ベルンやローザンヌの音楽院で教鞭をとりました。フィリップ・ベンデルは後年指揮者として活躍し、カンヌ管弦楽団の芸術監督等を務めました。また加藤恕彦氏が1958年に渡仏、日本人フルーティストとして最初にパリ音楽院に入学し、1年間の勉学の後はじめて受けたコンクールでもありました。『加藤恕彦留学日記』(商品ID:21670)で1年の軌跡を追った後、ポートの《伝説》を聴く、あるいは演奏してみると、彼が「放電」と書き残した意味がよく分かるのではないでしょうか。加藤氏はこの年は惜しくも逃しましたが、翌年見事一等賞を取りました。
(2018年6月記)(M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

フルートで吹く「椿姫」 2

ドイツの作曲家ポップは、コブルクに生まれ、クンマーやドゥローエにフルートを師事しました。2003年は没後100年にあたり、数多くの作品が出版されています。この作品には「ああ、そはかの人か」「花より花へ」「乾杯の歌」の3曲が使われており、短いカデンツァ部分や変奏部分があります。上述のジュナンのものに比べると難易度は下がりますので、「椿姫」をフルートで吹いてみたいけどジュナンのは難しいから…とお考えの方におすすめします。
【中・上級者向け】 (I)

演奏会におすすめです♪

W.ポップはドイツのロマン派の宮廷音楽家、フルーティストとして活躍していました。多作家であった彼の作品は小品やソナタ、協奏曲等があり、その数はなんと500曲を超えるといわれています。
今回ご紹介するのは「2つのサロン用小品」です。
1曲目の「愛の歌 作品204の3」は、表情豊かに歌い上げる導入部のメロディとそれに続く3連符の動きのあるリズムが印象的です。
2曲目の「ハンガリーへの挨拶 作品407」は哀愁漂うチャールダーシュで、吹きごたえがありピアノとの華麗なアンサンブルが楽しめます。
どちらも10分以内の小品ですので、演奏会のプログラムに取り入れてみてはいかがでしょうか。
【中級者向け】 (OY)

プッチーニ・オペラのアリア名曲集

イタリアのオペラ作曲家プッチーニの作品から、有名なアリアを集めてフルート用に編曲したアルバムが出ました.。オペラファンならずとも、一度は耳にしたことのある美しい旋律の曲ばかりです。ピアノ伴奏譜とカラオケCDの両方がついていますので、サロンコンサートのアンコールに、また旋律を歌う練習に、用途の広い曲集です。
【初・中級者向け】 (T)

スロヴェニア民族色のある美しいソナタ

作曲者のプチハールはスロヴェニア出身のピアニスト・作曲家で、夫人のアナがフルーティストのため、フルートの曲もいくつか作曲しています。この「プリマ・ソナタ」は2003年の作で、軽快なメロディーの“Allegro ritmico”、民謡風な響きを持つ“Scherzo”、穏やかで美しい“Cantabile”,速いパッセージが華麗な“Finale”の4楽章からなり、イベールやボザなどのフランス近現代曲を思わせる、明るい響きの美しいソナタです。現代奏法は出てきませんので、新しいレパートリーとしてリサイタルなどに取り組んでみてはいかがでしょうか。
【上級者向け】 (T)

雄大な自然と美しい街並みのスロベニアからお届け

フルーティストの妻と共に、フルートの作品を作曲しているスロベニア出身の作曲家、ブラシュ・プチハール。彼の作品はすでに数曲、こちらのコーナーで取り上げていますが、この作品も是非ご紹介したい一曲です。
ソナチネ 作品5は彼の友人に捧げるために、2004年に作曲された作品です。第一楽章 Vivo、第二楽章 Aria、第三楽章 Vivace で構成されています。
軽やかで明るい第一楽章。中間でゆったりとした曲調に変化しますが、終始飛び跳ねたくなってしまうような軽快な印象です。第二楽章は第一楽章の雰囲気とはガラッと変わり、強弱記号の変化が多いことが特徴ですが、落ち着いた曲調です。表記されているスラーやスタッカートをフルに用いて、表情豊かに奏でたい楽章です。大変華やかでフィナーレを感じさせる終楽章。(個人的な印象ですが、)どこかゲームのエンディング・テーマのような雰囲気があり、ピアノとの掛け合いが美しいです。
一曲の中に様々な表情が感じられる作品で、終始とても華やかな作風となっています。 現在、演奏会ではあまりレパートリーとして馴染みがないですが、きっと奏者も聴衆も楽しめる一曲だと思います。ぜひ演奏会のレパートリーとして、演奏してみてはいかがでしょうか。
(KM)

ラフマニノフの代表曲をフルート&ピアノで

原曲はピアノと管弦楽のための協奏曲で、ラフマニノフらしい技巧を凝らした華やかな名曲です。特にこの第18変奏曲はメロディーがとても美しく、単独でもしばしば取り上げられるラフマニノフの代表曲の一つです。「ヴォカリーズ」同様に、指のテクニックの難しい曲ではありませんので、ラフマニノフのメランコリックなメロディーを歌っていただきたいと思います。
(T)

チェロの名曲をフルートで

フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」やJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」など、他楽器の作品をフルート用に編曲して演奏することが普通に行われています。全てとはいいませんが、フルーティストは編曲ものがお好きな方が多いようです。『あの名曲が好きでどうしても演奏したいけれど、たまたま自分の楽器がフルートだった』『フルートの名曲が少ないので、傑作といわれるような他の楽器の名曲をレパートリーに取り入れたい』『音楽的な練習として使いたい』『他の楽器の曲を演奏してみることで、フルートがどんな楽器かをもっとよく知りたい』等々、理由は様々です。
今回ご紹介する楽譜は、レパートリーを増やすといった目的にかなった楽譜ではないでしょうか。ラフマニノフの「チェロ・ソナタ OP.19」は4楽章からなる大掛かりなソナタで、1901年、有名な「ピアノ協奏曲 第2番」の作曲直後に着手され、その年の12月初めに初演された作品です。ロシア、東欧の作品の中で、ドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」やチャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」など、管弦楽伴奏のチェロ作品はあるのに、ピアノ伴奏の室内楽があまり見当たらない中で、チャイコフスキー直系ともいえるラフマニノフの「チェロ・ソナタ OP.19」は、ピアノの傑作が多いラフマニノフの作品の中にあって、チェロがよく歌う名曲として知られています。低音が強く重音が弾けるチェロと、むしろ高音が強く単音のフルートの楽器としての相違をどう解決するかという問題はありますが、名曲のフルート版として挑戦してみてはいかがでしょうか。
【上級者向け】(SR)

吹奏楽の第一人者による華麗なソナタ

作曲者のジェームズ・レイはイギリス人のサックス・クラリネット奏者で、フルート用にはジャズテイストの曲集や教育用のアンサンブルの楽譜を多く書いていてご存じの方も多いでしょう。
しかし、今回ご紹介する曲はそういったものとは趣が異なり、同じイギリス人のフルーティスト、イアン・クラークに献呈、初演されたオーソドックスな3楽章形式のソナチネです。
I:Aquarelle - Allegro moderato 軽やかな動きのピアノに乗って上昇下降を繰り返し跳ね回るような軽快な曲。
II:Nocturne - Lento 抒情的で流れるようなメロディが美しいノクターン。
III:Fire Dance - Presto con fuoco  タイトル通りピアノとフルートともに激しい動きの情熱的なダンス。
特殊奏法は出てきませんが、ピアノもフルートも技術的な難易度は高そうです。
軽やかで美しいメロディが印象的な、華やかで聞き映えのする曲なので、演奏会などに新しいレパートリーとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
【上級者向け】演奏時間:約10分 (T)

発表会やサロンコンサートにおすすめ♪

ドイツの作曲者マックス・レーガー(1873-1916)はオルガン、ピアノ作品をはじめ、室内楽、管弦楽など多くの作品を残しています。彼はピアニスト・オルガニストとしても演奏活動しながら作曲活動もしていました。今回ご紹介する作品は、音楽様式がロマン派から新しい音楽の試みへと変化していくなか、1902年にヴァイオリンとピアノのために作曲された小品です。 こちらはフルートで演奏できるように校訂されています。
6/8拍子でロマンティックなメロディですが、短い曲の中でも調性が揺らぎ、後期ロマン派を感じることができる作品です。 演奏時間約2分弱と短いのでアンコールにもおすすめの1曲です。
【中級者向け】 (TO)

ライネッケ、もう一つの名曲

カール・ライネッケはドイツ・ロマン派を代表する作曲家・ピアニストでした。1860年にはライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者としても活躍しました。フルートのための作品としては、ソナタや協奏曲も作曲しており、今でもよく演奏されているので、耳にされた方も多いのではないでしょうか。しかし、今回はライネッケのもう一つの名曲ともいえる『バラード』をご紹介したいと思います。
バラードとは、14世紀にとくに親しまれた音楽形式のひとつであり、暗く、抒情的な作風が特徴ともいえます。このバラードは作品番号から、最晩年の作品と思われます。もともとはフルートとオーケストラによるもので、楽譜のピアノ譜には原曲の楽器が記されていますので、イメージをふくらませる参考になるでしょう。ゆっくりとした悲愴感漂う中にもときおり見せる明るい響きがライネッケらしい、ステキな作品です。
【中・上級者向け】 演奏時間:9分20秒 (B)

爽やかロマンティック!(B-fl.Pf)

ヴィオラの原曲を原調のままバス・フルート用に編曲した、掘り出し物の楽譜のご紹介です。バス・フルート用と表記されていますが、ト音記号で記譜されており音域にも無理はないので、コンサート・フルートでも問題なくお吹きいただけます。
作曲家のカール・ライネッケは情緒豊かな作品を多く残しているドイツの作曲家で、フルートの作品では「協奏曲」が有名です。宮廷ピアニストや指揮者、音楽院の教授としても活躍し、グリーグやヤナーチェクなど歴史に名を残す作曲家を育てました。
3楽章からなるこの曲は彼の若い頃に作曲されたもので、全て通して15分ほどの驚くほど耳馴染みの良い作品です。 流れるようなピアノ伴奏に夢見るような旋律が乗る第1楽章は、最初の1フレーズでライネッケワールドに引き込まれてしまう、ゆったりと温かな幸福感に溢れた楽章です。 続く第2楽章は、軽やかでリラックスした雰囲気と、中盤に顔を出す感傷的な旋律との対比が印象的です。繰り返しの多い楽章ですが、肩の力の抜ける抜群の雰囲気で、聴いていて飽きることがありません。 可愛らしく、軽快なリズムがヨーロッパの農民のダンスを思わせる第3楽章。フルートで演奏するのが難しそうな箇所は、オリジナルとフルート版の二段譜になっています。素朴さと華やかさ、相反する要素が同居する賑やかさがあり、さらっとアンコール・ピースとして演奏するのも素敵です。
全楽章通して、この曲は基本的にハッピーです(笑)。透明感のある、耳に残るメロディーが心地良く、頑張りすぎず楽しく演奏していただくと良さが引き立つ作品です。発表会や、演奏会のメイン曲に華を添えるのに、きっと一役買ってくれるでしょう。
【中級者向け】 演奏時間:約15分 (AN)

ライネッケの隠れた小品はいかがでしょうか?

ライネッケの隠れた作品をご紹介いたします。
ドイツロマン派の作曲家、カール・ライネッケ。作曲家でありながら、ピアニストとしても活躍しました。ピアノ独奏曲を数多く残している中でフルート作品は数少なく、ソナタ「ウンディーネ」やフルート協奏曲は演奏する機会や聴く機会も多いことと思います。
今回ご紹介する作品は、「易しい小品」と題し、1〜2分程度の短い曲が6つ収録されたヴァイオリンまたはフルートのための小曲集です。一曲ずつテーマがあり、短い曲の中にも転調が組み込まれていて、曲によって雰囲気も異なります。軽快に流れるようなピアノ伴奏と共に、情緒豊かなライネッケの音楽を手軽にお楽しみいただける一冊です。ソナタや協奏曲を演奏会には取り上げるには少々長い・・・、もう少し易しいライネッケの作品を演奏したい、という方におすすめです。そんな時、この小品はいかがでしょうか?ライネッケの新たな魅力が発見できるかもしれません。
Primula veris プリムラ・ヴェリス/Serenata セレナーテ/Bitte お願い/Unbekummert sans souci 憂いなし/Air エア/Farandole ファランドール
(KM)

こんなロッシーニの主題もあります!!

ルミューザとルデュックのコラボ作品をご紹介します。
ルミューザはガリボルディやクラカンプ、ヴェルディと同時期に活躍した作曲家です。あまり知られていないかもしれません。フルートとピアノの為の「椿姫カプリース」という作品も残しています。ルデュックはM.モイーズの「ソノリテについて」の出版社で有名なルデュックです。ルデュックは出版社として、先生として、またギター奏者、ファゴット奏者として多方面で活躍していました。 この時代はオペラの有名な主題を使った変奏曲が多く作曲されました。しかし、どういう経緯でこの2人が一緒に作曲するに至ったかは不明です。
今回ご紹介する曲はロッシーニのオペラ、「チェレネントラ」の主題を使った変奏曲です。‘シンデレラの主題’と呼ばれることもありますが、童話の‘‘シンデレラ’’を元にした物語というだけで実際には内容は異なるようです。ショパンが変奏曲にしている作品もあります。ショパンの作品の方はご存知の方も多いかと思います。 ルミューザ&ルデュックもショパンと同じ主題を使っており、この主題は主人公のチェネレントラがオペラのフィナーレで歌う超絶技巧的な華麗なアリア「悲しみと涙のうちに生まれ」によるものです。 華やかで聴き栄えのする作品です。ショパンとはひと味違った‘ロッシーニの主題’是非演奏してみてください!
【中級者向け】 演奏時間:約5分30秒 (OU)

フルートで吹く「椿姫」 3

ルミューザはボルドーに生まれ、パリでトゥルーにフルートを師事しました。この作品は2003年に出版されたもので、「いつか人知れず」「乾杯の歌」「ああ、そはかの人か」「花から花へ」の4曲が使われています。使われている曲数は他の2作品と比べて多いのですが、変奏部分が短いため演奏時間はあまり長くありません。(パート譜が見開き2ページで終わっています。)ほとんどが中・高音域ですので、変奏部分が短くても地味にならず、フルートらしく輝かしい作品になっています。
【中級者向け】 (I)

イギリスの知られざるコンサートピース

ローランド・レヴェル (1867-1937)は、当時イギリスで活躍していた女流フルーティストの エディス・ペンヴィルの伴奏をしていたピアニストです。 ペンヴィルは1925年頃〜1939年までイギリスBBCのラジオに出演しており、レヴェルは彼女の作曲、編曲と伴奏をしていました。
フルートのオリジナル作品は、「CAPRICE AND ENFIN OP.12」と「TROIS PENSEES(三つの想い)OP.23」の2曲ですが、現在楽譜が手に入るのはこの作品のみです。初版は1923年でRudall,Carte&Co.より出版されました。前述のエディス・ペンヴィルに捧げられ、初演の詳細は不明ですが、レヴェルとペンヴィルによって初演が行われました。
日本では伊藤公一氏によって2003年に京都で演奏され、発売されたCD「フルーティスト伊藤公一氏のデビュー40周年を祝うコンサート」(※現在は廃盤)に収録されています。
この「TROIS PENSEES(三つの想い)」では三曲全てにフランス語の題名がつけられており、T「Je me demande」、U「Je crois-j’en doute!」 、V「Enfin!」をそれぞれ訳すと 「どうして?」「だと思う- いや、ちがう!」「やっぱり!」となります。
T「Je me demande」Con moto は疑問を投げかける美しい旋律を中心に構成されています。
U「Je crois-j’en doute!」はAllegro capricciosoとL’istesso tempoで構成されています。細やかな動きを見せたと思いきや、はたまたゆったりとしたメロディーをのぞかせる、題名の通り悩んでいる様子が伺える一曲です。
V「Enfin!」Allegro vivaceは最初から最後まで技巧的な連符が続き、何らかの結論が出たと感じさせます。
一度聴いたら忘れられない美しい旋律を持つこの作品。レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
【中・上級者向け】演奏時間:約8分50秒 (M.R.)

ベートーヴェンの弟子による2つのオペラ・ファンタジー

フェルディナント・リースは1784年のボンに生を受けました。
1801年から4年間、ウィーンにてベートーヴェンに師事し、この時の体験をもとに「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンに関する覚書」を執筆しています。リースはウィーン、パリ、ストックホルム、ロシア、ロンドンで作曲はもちろん、ピアニスト、指揮者として活躍しました。死後、作品の多くは忘れ去られていましたが、近年になり録音、研究が進んでいます。
今回ご紹介する2曲は、ロッシーニのオペラ「アルミーダ」と「エジプトのモーゼ」を基にしたオペラ・ファンタジーです。ロッシーニがロンドン滞在中の1823〜24年に作曲されました。出版はリースが活躍していたロンドンから故郷ボンに戻った後に、ジムロック社より出版されています。
「幻想曲 第10番 OP.133/1 “アルミーダの主題よる” 」は、これより他に作曲された9曲の幻想曲がピアノの作品になっており、この10番でもピアノはフルートの伴奏ではなく、ピアノ作品の要素が強くなっています。フルートとピアノのアンサンブルとして演奏してみてはいかがでしょうか。
「幻想曲 第11番 OP.133/2 “エジプトのモーゼの主題による” 」(商品ID:35174)は10番よりフルートが際立った作品となっています。グラーフによる録音も残っていますが、現在は廃盤です。
技巧的、音楽的にみても華やかでプログラムに加えても面白そうです。
【中級者向け】(MR)

ロマン派のレパートリーを増やしませんか?

リーツは1812年にベルリンで生まれ、チェリストや指揮者、作曲家として活躍しました。4曲のオペラや3曲の交響曲、様々な楽器のための協奏曲のほか管弦楽曲や室内楽曲などの作品があります。このソナタは1871年頃に作曲され、4楽章からなっています。第1楽章はシンコペーションが印象的な楽章です。第2楽章は、ピアノが旋律を受け持ちフルートがオブリガート的な役割となっている部分が多く、美しい旋律が心に響きます。第3楽章は切なくなるような旋律で始まり、躍動的になる部分をはさみ、再び冒頭の旋律が現われ静かに終わります。第4楽章はうってかわってエネルギッシュな旋律が多い快活な楽章です。ウェーバーやシューベルト、メンデルスゾーン、シューマンなどのロマン派のレパートリーに是非このソナタも加えてみませんか?
【中級者向け】 演奏時間:約23分 (I)

知る人ぞ知る、名曲!

リヒャルト・レスラーは1880年ラトヴィア生まれの作曲家です。 ベルリン王位音楽院でピアノをバルトとエルンスト・ルドルフに、作曲法をブルッフに学びました。その後、母校でピアノと音楽理論の教授として働きながら創作活動を続け、1962年ベルリンで亡くなりました。
近現代の作曲家ではありますが、ブルッフやブラームスなどの影響を強く受けています。この曲も20世紀初頭の音楽というよりはロマン派の音楽のような印象を受けます。美しい和声とメロディー、ピアノとの多彩な掛け合い、まとまりのある楽曲構成でフルートの魅力を引き出しています。この曲を発掘したのはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴォルフガンク・ブラインシュミットで、孫のアレクサンダー・レスラーのピアノでCDも出ております。(ID:6550)まだあまり演奏会などでも取り上げられていない隠れた名曲です。新しいレパートリーに加えてみて下さい!
【中上級者向け】 (U)

堅苦しくない可愛い小品

ニーノ・ロータは『ロミオとジュリエット』『ゴッド・ファーザー』『太陽がいっぱい』等の映画音楽で有名なイタリアの作曲家ですが、フルートの入るクラッシックのレパートリーもいくつか作曲しています。
5曲からなるこの曲は、「親指の散歩」「セレナータ」「パヴァーナ」「ひなを抱えためんどり」「おもちゃの兵隊」とそれぞれ楽章に題名が付けられており、題名通りの可愛らしさと、ニーノ・ロータの映画音楽の雰囲気に通ずる曲想が楽しめます。
楽章によって、初心者の方でも演奏出来る難易度のものもあり、発表会の一曲、コンサートのアンコールなどにもお勧めの曲です。 
【中級者向け】 演奏時間:約9分 (SH)

合唱界の有名人

ラターは現在も活躍しているイギリスの作曲家です。おもに合唱の分野で活躍し、指揮者でもあります。作品は器楽曲もありますが、ほとんどが宗教音楽や合唱の曲です。 自ら『ケンブリッジ・シンガーズ』という合唱団を結成し、さらに専用レーベルも設立するなど、大変意欲的です。日本でも多くの合唱団がラターの曲を取り上げているそうです。
この曲はもとはフルートとハープシコード、弦楽合奏の編成で作られたものです。 6つの楽章からなり、楽章ごとにさまざまな雰囲気が楽しめます。 全体的にポピュラー音楽のような親しみやすく美しい旋律が印象的です。 他の人とは一味違った曲をお探しの方におすすめします!
T.Prelude  U.Ostinato V.Aria W.Waltz X.Chanson Y.Rondeau 
【中級者向け】 演奏時間:16分 (U)

抒情小詩

サン=サーンスはフランスの作曲家、86歳でその生涯を終えるまで長い間作曲活動を続けられた人でした。その作品は多岐にわたり現代でも親しまれています。この曲は晩年にフルートと管弦楽のために書かれた作品です。
「オデレット」とは、叙情小詩という意味。ニ長調の小品で、付点のリズムを生かした流れるような美しいメロディーラインが特徴的。「ふと空を見上げると青空に白い雲」そんな瞬間を切り取った印象です。奏者のセンスが光る一曲です。
【中級者向け】 演奏時間:約7分30秒 (E)

忘れられた19世紀フランス・オペラ4

《歌劇「プロゼルピーヌ」よりパヴァーヌ》
タファネルはカミーユ・サン=サーンス(1835-1921)と公私にわたり交流し、タファネルの演奏を想定して書かれた作品や曲中のパッセージがいくつもあります。タファネルはそれらの中からアンコール・ピースとして使える美しいものや、技巧をアピールできる華やかなものをピアノ伴奏版のピースとして出版しました。カップリングの〈夕べの夢〉は《アルジェリア組曲 op.60》の中の一曲です。
サン=サーンスは《動物の謝肉祭》、《交響曲第3番 op.78》(オルガン付き)や各種の協奏的作品により器楽作曲家として知られていますが、オペラ作曲家のイメージはほとんどありません。実は彼は10曲以上のオペラ作品を残しており、劇場での成功を夢見て作曲を続けていたのです。残念ながら、今日までレパートリーとして残ったのが唯一《サムソンとダリラ op.47》でした。とはいえ、来年2021年はサン=サーンス没後100周年ですので、すでにヨーロッパではリヴァイヴァルに向けて準備が進められています。2014年に《野蛮人》の全曲録音のCD化。2017年には《銀のベル》がオペラ=コミック座で再演、《アスカニオ》はスイスで演奏会形式により再演され、どちらもCD化されています。《プロゼルピーヌ》は舞台にはかけられていませんが、同年に全曲録音CDが発売されました。いずれも世界初録音です。
プロゼルピーヌはギリシア神話ではペルセポネー、ローマ神話ではプロセルピナという女神で登場しますが、それとは直接関係なく、オペラ 《プロゼルピーヌ》(1887年初演)では主人公の高級娼婦の名前です。サバティノに好意を寄せていますが、彼は友人のロレンツォの妹のアンジョラと婚約していました。恋の駆け引きがあり、プロゼルピーヌは手下のスクアロッカにサバティノを偵察までさせます。結局サバティノとアンジョラは結婚式を挙げることになり、式の直前にプロゼルピーヌはサバティノに愛を告白しますが、やはり拒否されてしまいます。それでも嫉妬に燃えるプロゼルピーヌはアンジョラに切りかかろうとし、サバティノに押しとどめられ、観念したプロゼルピーヌは二人を祝福して刃を自らに向け果てるのでした。
《プロゼルピーヌ》のパヴァーヌは第一幕第四場と第五場の間に演奏されます。プロゼルピーヌの館にサバティノがロレンツォと連れ立って現れますが、素直になれないプロゼルピーヌはサバティノにつれないそぶりを見せるのが第四場。サバティノがロレンツォと別れて一人プロゼルピーヌのもとへ行き、恋の駆け引きをするのが第五場。このパヴァーヌはロレンツォが気を利かせてサバティノを一人にし、プロゼルピーヌのもとへ向かうサバティノの物憂げな恋の気分を表しています。
(2020年11月記) (M.N.)

忘れられた19世紀フランス・オペラ1→楽譜ID:26347(ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー )
忘れられた19世紀フランス・オペラ2→楽譜ID:30704(ドップラー/オペラ・フェイヴァリッツ 第2巻 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ3→楽譜ID:26588(タファネル/「ニヴェルのジャン」によるファンタジー)
忘れられた19世紀フランス・オペラ4→楽譜ID:24355(サン=サーンス/パヴァーヌ&夕べの夢 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ5→楽譜ID:25608(タファネル/「フランチェスカ・ダ・リミニ」によるファンタジー(ベルノルド編))
忘れられた19世紀フランス・オペラ6→楽譜ID:24046(マスネ/バレエ組曲「ル・シッドより」)
忘れられた19世紀フランス・オペラ7→楽譜ID:20970(グノー/「ロメオとジュリエット」(グノー)によるファンタジー 第2番)
忘れられた19世紀フランス・オペラ8→楽譜ID:30070(ビゼー/耳に残るは君の歌声(歌劇「真珠採り」より))
忘れられた19世紀フランス・オペラ9→楽譜ID:27579(ボワエルデュー/曲集「バグダットの回教国の王」より )
忘れられた19世紀フランス・オペラ10→楽譜ID:23103(アレヴィ/サロン風四重奏曲 (アレヴィ) )

サラサーテ:カルメン・ファンタジー

ボルヌの「カルメン」を吹いてしまったアナタ、それで満足してしまってはイケマセン。フルートの世界ではボルヌの「カルメン・ファンタジー」が有名ですが、クラシック音楽全体でみるとサラサーテの「カルメン・ファンタジー」の方がずっとよく知られているのです。ボルヌに飽き足りなくなったフルーティストは、フルート用に編曲してサラサーテの「カルメン・ファンタジー」を演奏会で取り上げたり、録音もしていますが、その楽譜は出版されていませんでした。そのため、演奏したい人はオリジナルのヴァイオリン版をもとにフルートでは演奏できない重音や幅広い音域、弦楽器独特の奏法を自ら修正して演奏する必要がありました。
これはそのような大変さを一気に解消してくれる、出版を待たれていた楽譜なのです。お馴染みのフルートの名手、ダヴィデ・フォルミザーノが編曲をしたもので、重音、音域の手直し以外は、調性、長さなど原曲と全く変わらない編曲になっています。そのためかなり高い難易度ですが、挑戦してみたいと思う方は、是非、名ヴァイオリニストになったつもりで演奏してみてください。フォルミザーノが録音したCD(CD-ID:7155)も出ています。
【中・上級者向け】 演奏時間:約12分10秒 (SR)

ジャズとクラシックの融合

1961年、チューリッヒに生まれ、現在ニューヨークに住む作曲家でサックスとフルート奏者、ダニエル・シュナイダーの曲をご紹介します。シュナイダーは日本のクラシック界ではまだほとんど名前が知られていませんが、ジャズの世界では、ピアノのケニー・ドリュー・ジュニアやサックスのリー・コニッツとのコラボレーションなどで知られ、CDも14枚がリリースされています。クラシック系の作品も多く「交響曲 第4番」はデヴィッド・ジンマン指揮のチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の委嘱で作曲・演奏され、ベルン歌劇場のためにシェークスピアの「テンペスト」の音楽を作曲をするなど目覚しい活躍をしています。また、フルートに関する作品も多く、ジャズのイディオムとクラシックを融合させた水準の高い作品を発表しています。これらの曲は、小品を除けばいずれも、ハーモニックス、グリッサンド、四半音などの特殊奏法が出てきますが、楽譜自体は読みにくいものではなく、特殊な記譜や表記はありません。ゲイリー・ショッカーやマイク・マウワーだけでなくダニエル・シュナイダーももっと演奏されて良いのではないか…と思っていたら、2004年10月のエマニュエル・パユの来日公演のプログラムに「ソナタ」が入っていました。
「ソナタ」は、現代都市の複合文化の感覚を表現した第1楽章「マンハッタナイト」、四半音、グリッサンドなどを使って印象派の絵画風に仕上た第2楽章「大気のしなやかな波を通って」、ラテンのダンスにクラシックのロンドの形をつけた「ブラジレラ」の3楽章からなっています。
演奏時間:約20分 (SR)

「フー・ノーズ(WHO NOSE)」は1979年に亡くなったジャズの名ベーシスト、チャールズ・ミンガスを描き、ピアニスティックなベースで知られた彼のベースを意識してか、ほとんどピアノの右手とのユニゾンで終止します。曲の終わりには「ヒー・ノウズ(HE KNOWS)」というタイトルとの掛詞が記されています。
演奏時間:約3分

「チャーリー・パーカーの肖像」は、もちろん不世出のアルト・サックス奏者チャーリー・パーカーの演奏を曲にしたもので、こちらは鍵盤楽器とは全く独立したフルート・パートになっています。四半音、グリッサンドなどの奏法を使った難易度の高い曲です。
演奏時間:約3分

「バロックロッホネス」は名前の通り、ロッホ・ネス湖の怪獣「ネッシー」を描きながらも、曲の構造はバロックのトリオ(ソナタ)の形で、対位法、通奏低音の書法を使い、いかにもネッシーが出てきそうなフルートと鍵盤のトレモロから始まり、ネッシーが泳いでいるような上下にうねる音型など「面白真面目」でユーモラスな小品です。
演奏時間:約3分

晩夏にむけていかがですか?

フルーティストにお馴染み、大人気のゲイリー・ショッカーの作品をご紹介します。
ショッカーはアメリカのフルーティストであり作曲家、ピアニストとしても活躍しています。自身がフルーティストということでフルートに関わる作品を多く作曲しています。 ショッカーの作品は耳触りのいい音楽や遊び心がたくさん詰まった曲、興味を惹かれるタイトルetc・・・魅力的です。
その中でも、今回ご紹介します「a latesummer night’s dream」はとても爽やかで夏にオススメの曲です。この題名に何となく見覚えはありませんか?メンデルスゾーン作曲の“真夏の夜の夢〜A Midsummer Night’s Dream〜”に似ていますね。ショッカーはメンデルスゾーン作曲の“真夏の夜の夢のスケルツォ”から夜の雰囲気をよく感じ取れると言っているそうです。「a latesummer night’s dream」はショッカー自身が大好きな“真夏の夜の夢〜A Midsummer Night’s Dream〜”からインスピレーションを得て生まれた曲と言えるでしょう。
夏の終わりに、楽しかった夏を思い出しながら演奏してみて下さい♪
【中級者向け】 演奏時間:6分30秒 (OU)

すべてのフルーティストへ

アメリカの作曲家、ゲイリー・ショッカーは本当に多作家です。有名なエアボーンをはじめ、フルートとピアノの編成以外でも2本のフルートや2本のフルートとピアノなどアンサンブル作品も数多く作曲し、出版されています。
今回ご紹介するこの『踊りと白昼夢』は、11曲の小品からなり、「ギャラント」「図書館にて」など、それぞれにタイトルがつけられています。親しみやすいメロディーですので、どなたにでも楽しんでいただけるでしょう。
【中級者向け】 (B)

オールド・ファッションド・アメリカ

ガーシュウィンが出入りしていたニューヨークのマンハッタンにある一区画ティン・パン・アレイは、アメリカのミュージカルの創成期を築き上げた場所として有名です。まさにその創成期、ガーシュウィンより少し前に活躍した作曲家にハリー・フォン・ティルザーとアルバート・フォン・ティルザーの兄弟がいます。ハリーは数々のブロードウェイ・ミュージカルをヒットさせ、また、歌やピアノの小品も残しています。「金の鳥かごの鳥」は「彼女は金の鳥かごの鳥でしかない…」というアーサー・ラムの詩にハリーが曲を付けて1900年に大ヒットした繊細な美しい曲で、往時のアメリカ音楽の雰囲気を良く伝える名曲です。現代の人気作曲家ゲイリー・ショッカーがこの曲をもとにファンタジーを作り、1世紀をまたぐ、同じアメリカの作曲家同士のコラボレーションが実現しました。 ちなみにハリーの弟のアルバートは、アメリカのメジャー・リーグで7回表終了後に観客全員で歌う「私を野球に連れてって!」の作曲者です。
(SR)

現代の多作家ショッカーによる爽やかな作品です。

この曲は、2005年にイギリスの自然愛好家ハンナ・マニーの依頼により作曲されました。そのため、Hannah’s Glade(ハンナの空き地 ※glade=森林の空き地)というタイトルになっています。演奏時間は約7分ですが、冒頭フルート・ソロが約1分半あります。こちらの楽譜の表紙写真のような情景を思い浮かべ、森林の間を通る爽やかな風を想像しながら演奏してみて下さい。全体的にテンポはあまり速くなく(楽譜の最初に 四分音符=80-84と指定されています)、技巧的に難しいところもあまりないので、ショッカーの作品を吹いてみたいけれど、どれもちょっと難しそうだから…と躊躇されていた方に是非おすすめします!!
【中級者向け】 (I)

花の季節にこんな曲はいかがでしょうか? 2

アメリカのフルーティスト兼作曲家としてすでにおなじみ、G.ショッカーの作品です。小さな花(Little flower)と題されたこの曲は1999年の5月に書かれました。シンコペーションのピアノの前奏に乗って、フルートの伸びやかな旋律が流れるように登場します。4/4拍子、ニ長調で書かれた明るい曲想は、題名の通り小さな花の愛らしさを十分に表現しています。途中数小節ほど変拍子の箇所がありますが、難易度はさほど高くないでしょう。4分ほどの小曲ですが、さわやかでかわいらしい作品です。ぜひチャレンジしてみてください。
(A)

ピッコロとピアノのイタリア風?(Pic.Pf.)

ショッカーのピッコロとピアノの作品はいくつかありますが、今回ご紹介するのは「ピッコロ・イタリアーノ」という曲です。この曲はイタリアのフルーティスト、ラファエーレ・トレヴィザーニとその夫人のピアニスト、パオラ・ジラルディに献呈されており、楽しいタイトルが添えられた3曲から構成されています。
爽快な旋律の合間にあるユニークな旋律が魅力的な1曲目、Fellini was here「フェッリーニはここにいた」
静寂の中に不穏な空気が漂う2曲目、Ricordarsi「忘れないように記憶を残す」
民族舞曲サルタレッロのリズムで戯れる軽快なダンス、3曲目、Polpettina「小さなミートボールの冒険」
ショッカーの楽しい世界をピッコロでいかがですか?
【上級者向け】 演奏時間:6分程度 (NS)

決して後悔はさせません・・・!?

とても不思議なタイトルをもつ、ちょっと気になる作品をご紹介します。
『後悔と決心』皆さんこのタイトルを聞いて、どんな曲だろうと思いませんか? 現代作曲家、フルート奏者として、多くのフルート作品を手掛けてきたアメリカ出身のゲイリー・ショッカーは、1986年に知人の80歳の誕生日を祝うために委託され、フルートとオーケストラ用にこの曲を作曲しました。 1988年ペンシルバニア大学にて、アランバーニーの指揮に合わせて初演され、今では同じタイトルをもつCDも制作されるようになりました。
この曲は、タイトルから想い描かれるような暗く堅苦しい音楽とは正反対で・・・ ホッと一息つくようなとても明るくさわやかなピアノのメロディーで始まります。つい聴きいってしまうようなメロディーに合わせて、フルートの美しい音色があとから追いかけるように、曲のタイトルからは想像もつかない綺麗な作品です。 途中、変拍子もあり、まるで今までの音楽から一変し、嵐のように気持ちの変動を激しく音に表現したとても面白い作品です。 『後悔』そして『決心』といったタイトルから誤魔化されてしまうほど、とてもショッカーらしいユニークなスタイルでできた作品ですので、ぜひ演奏会のプログラムに取り入れてみては如何でしょうか!!
【中級者向け】 (M)

デュエットでもソロでも踊れる「3つの踊り」

ゲイリー・ショッカー、1959年生まれ、この現代きっての多作家はフルート作品の楽譜を大小合わせて200曲以上出版しています。もちろん、作曲した曲の数はそれをはるかに上回るでしょう。
いくら人気があるとはいえ、さすがに200曲以上もあるこれらの曲をすべて把握するのは難しいでしょうが、中でも特に演奏されたる機会が多い人気のある曲があります。
フルートとピアノでは「後悔と決心」や「エアー・ボーン」、2本のフルートとピアノでは「3つの踊り」などが代表的な作品です。「3つの踊り」はこれまで演奏会などでもよく取り上げられ、曲の親しみやすさもあって、人気作品の筆頭に挙げられるほどの曲になってきました。このような作品をさらに多くの人が演奏できるようにしたのがこのフルートとピアノ版の楽譜です。プログラムの中の1曲として、またアンコールなどにも使える作品なので、利用範囲の広い楽譜です。
原曲の、2本のフルートとピアノのための「3つの踊り」とともにご活用ください。(楽譜 ID:25962
【中級者向け】(SR)

有名な歌曲をフルートとピアノで!

シューベルトは大変多くの歌曲を作曲し(なんと600曲も!)、ドイツ歌曲を大きく発展させた作曲家です。もちろんピアノ曲、交響曲など、ほかにもたくさんの名曲がありますが、やはり歌曲の王と呼ばれるだけあってシューベルトと聞くとまず最初に歌曲をイメージされる方が多いのではないでしょうか?今回ご紹介する作品はそんな魅力溢れるシューベルトの歌曲の中からテオバルト・ベームが6曲選曲してフルートとピアノ用に編曲した作品です。
内容は以下の6曲です。
歌曲集「冬の旅」より第1曲「おやすみ」、第5曲「菩提樹」
歌曲集「白鳥の歌」より第10曲「漁師の娘」、第4曲「セレナード」、第12曲「海辺にて」、第14曲「鳩の便り」
編曲者ベームはベーム式フルートの発明者でありますが、すばらしいフルート奏者、作曲者、編曲者でもありました。この作品はいかにもフルートの名手らしい技巧をちりばめながら、ただの技巧的な編曲になるのではなく、すべてに流れるようなシューベルトの美しい旋律をお楽しみいただくことができる、まさに名編曲といわれる作品となっています。1曲が約5分程度なので、1曲だけピックアップしてみるのもいいかもしれません。フルート版のシューベルトの歌曲、レパートリーのひとつに入れてみてはいかがですか?
【中・上級者向け】 演奏時間:約25分 (NS)

冬のおすすめ

シューベルトは1820年代に入ってから体調を崩し、入院を繰り返しました。そんな生活の中で1827年に作曲されたのが、この歌曲集「冬の旅」です。「美しき水車小屋の娘」「白鳥の歌」と合わせて三大歌曲集と呼ばれています。原曲では全24曲ですが、この楽譜は10曲が選曲され、編曲されています。
1. お休み 2. 郵便馬車 3. 勇気 4. 嵐の朝 5. 辻音楽師 6. かじかみ 7. あふれる涙(水の流れ) 8. 菩提樹
9. 宿屋 10. 幻の太陽  
「歌曲王」シューベルトの世界を、是非フルートでもお楽しみ下さい。
【中・上級者向け】 (I)

ジャズ風の軽やかなフルート・ソナタです

近年再評価が進んでいる、E.シュルホフのフルート・ソナタです。
シュルホフはチェコに生まれ第二次世界大戦中に強制収容所で亡くなるまで、指揮者、ピアニストとしても活躍した作曲家です。作品はジャズや前衛的な作風のものが中心で、このフルート・ソナタも、軽やかで流れのあるピアノ伴奏とそれに乗るフルートのジャズ風のリズムが印象的です。全四楽章。
CDも数種類発売されています。新たなレパートリーの一曲として、いかがでしょうか。
【中・上級者向け】 演奏時間:約12分 (AN)

ロマン派のレパートリーを増やしましょう。

ロマン派を代表する作曲家の一人、シューマンの作品をご紹介いたします。
1849年にクラリネットとピアノの為に作曲され、「夕べの小品集」という表題が付けられました。ヨハン・ゴットリープ・コッテのクラリネットとクララ・シューマンのピアノでシューマンの家で私的に初演されたと言われています。クラリネットはもちろん、ヴァイオリンやチェロで演奏されることもあり、知っている方も多いのではないでしょうか。3分半から4分程度の短い3曲からなる、しっとりとロマンティックな旋律とピアノの掛け合いが美しい大人の雰囲気の作品です。原曲のクラリネットの深く暖かい音色をイメージして歌い上げてみてはいかがでしょうか。
T. Zart und mit Ausdruck
U. Lebhaft, Ieicht
V. Rasch und mit Feuer
【中級者向け】 (U)

新しいレパートリーにどうぞ。

2010年が生誕200年記念だったロベルト・シューマンは、ご存じのとおりドイツロマン派の大家ですが、残念ながらフルートのためのオリジナル作品は書いていません。今回ご紹介する曲もオリジナルはチェロとピアノのためのものですが、「3つのロマンス」同様他の楽器でも演奏されることの多い佳曲です。「民謡風」というタイトルからもわかるように、派手なテクニックを披露する曲ではありませんが、親しみやすい快活で明朗な作品になっています。1曲3〜5分程度の短い小品5曲からなっていますが、必ずしも全部まとめて演奏する必要はなく、アンコールなどに1、2曲取り上げるのもいいでしょう。ロマン派のフルート曲が少ない中、シューベルトやブラームスのプログラムに加えてみてはいかがでしょうか。
【中級者向け】 (T)

シューマン「歌の年」に作曲した歌曲(Fl.Pf)

フルートでもよく演奏される《3つのロマンス》の他、ピアノ曲《子供の情景》や4曲の交響曲で知られるドイツ・ロマン派を代表する作曲家、ロベルト・シューマンは、1840年代に《リーダークライス 作品24(ハインリヒ・ハイネの『歌の本』からの詩)、作品39(ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩)》《ミルテの花 作品25(ゲーテやハイネなどの詩)》《女の愛と生涯 作品42(アーデルベルト・フォン・シャミッソーの詩)》《詩人の恋 作品48(ハインリヒ・ハイネの詩)》といった多くの歌曲を作曲しています(「歌の年」とも呼ばれています)。
この曲集では、《詩人の恋》から第1曲〈美しい五月に〉、《リーダークライス 作品24》から第5曲〈私の苦悩の美しいゆりかご〉、第9曲〈ミルテとバラを持って〉、《12の歌 作品35》から第8曲〈ひそやかな愛〉の4曲を取り上げ、フルートとピアノ用に編曲してあります。編曲者のエリザベス・ウォーカーは、単に歌の部分をフルートにするだけではなく、ピアノの前奏、後奏もフルートに割り振るなどして、より豊かで演奏し応えのある曲にしています。シューマンの歌曲は憂いを帯びた、もの悲しい雰囲気がありますが、どれも心にうったえる美しい響きを持っています。是非演奏してみてください。
【中級者向け】(B)

シューマンって、やっぱり素敵

この作品はもともとヴィオラ(ヴァイオリン)とピアノのために書かれた曲(1851年)で、当時デュッセルドルフ楽友協会のコンサートマスターを務めていた友人ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヴァジレフスキーに捧げられました。4つの小品からなる曲で、あえて標題はつけられていません。曲そのものから感じる、それぞれの「おとぎ話」の世界を奏者が創りあげていくことこそ、この作品の醍醐味でしょう。
フルートへの編曲はバイエルン放送交響楽団の首席フルート奏者であるヘンリク・ヴィーゼが行っています。移調はされておらず、原調を生かしてあります。4曲全て通しても15分ほどで、アンコールにどれかを抜粋しても、全曲通してステージのプログラムに加えても使えます。繊細で美しく、ときに悲しく…言葉では表現しきれない魅力があります。フルートの楽譜が今まで見当たらなかった曲です。ぜひ、聴いて、演奏して、味わっていただきたい佳作です。
第1曲:Nicht schnell(速くなく)/約3分20秒
第2曲:Lebhaft(活き活きと)/約4分
第3曲:Rasch(急いで)/約2分40秒
第4曲:Langsam, mit melancholischem Ausdruck(ゆっくりと、メランコリックな表現で)/約5分
(YS)

クリスマス・ジャズ(Fl.Pf)

オーストリアの作曲家オットー・M.シュヴァルツとジャズ・トロンボーン奏者レオンハルト・パウルによるクリスマス・ジャズ曲集です。トロンボーン奏者のレオンハルト・パウルは、ウィーンで活躍する金管バンド「ムノツィル・ブラス」の創設者の一人で、演奏だけでなく作曲や編曲も担当しています。ご紹介するクリスマス・ソングは、彼らのオリジナル作品が多数収録された曲集で、定番曲ではないクリスマス・ソングをお探しの方におすすめです。ジャズ特有のスイングやアーティキュレーションは、基本的な形ばかりなので初めてジャズを演奏される方も気軽に楽しめます。
また巻頭に二次元コードが付いており、読み取ると伴奏トラックへつながりカラオケ伴奏で演奏を楽しむことができます。いくつか選んでホーム・パーティーのBGM演奏にもおすすめです。1曲の演奏時間は約2〜3分、ジャズの軽快で明るい曲や落ち着いた雰囲気の曲など幅広く収録されています。今年のクリスマスは、素敵なジャズ・フルート演奏とともにお楽しみください。
【初・中級者向け】(TO)

フルーティストには馴染みない!?シベリウスの作品です

シベリウスは1865年フィンランドに生まれました。フィンランド人で初めて国際的に高い評価を得た作曲家です。交響曲、交響詩やバイオリン協奏曲に加え、劇音楽の作曲家としても活躍しました。
今回ご紹介する曲は、劇音楽「スカラムーシュ 作品71」の中に出てくるフルートソロの部分をフルートとピアノの編成に編曲したものです。この作品はパントマイムのための音楽として1912年に作曲されました。色男スカラムーシュの登場により夫婦仲がもつれ、殺人まで起きてしまうという愛憎悲劇を演じる舞台作品です。スカラムーシュに妻を連れ去られた夫がひとりでワインを飲むシーンで演奏されるのがこのフルートソロです。 とても美しいメロディーで、短いなかでもシベリウスの世界を味わっていただけると思います。
【初・中級者向け】 演奏時間:3分20秒 (OU)

発表会にいかがでしょうか?

ジルヒャーは合唱曲として親しまれている「ローレライ」を作曲したドイツの作曲家です。「うつろな心」をテーマにした変奏曲というとフルートではベーム、ピアノではベートーヴェンのものが良く知られていますが、それらに劣らずこのジルヒャーの作品はとても上品で素敵な曲です。5つのヴァリエーションがあり、どのヴァリエーションも演奏しやすく華やかですので、発表会の曲探しでお悩みの方におすすめです。
【中級者向け】 演奏時間:12分30秒 (E)

ピッコロの初恋(Pic.Pf)

シルヴァはブラジル出身の作曲家でフルーティストでもあります。 「ショーロ」と呼ばれる19世紀にリオデジャネイロで生まれたポピュラー音楽の世界で 活躍したそうですが、わずか26歳で亡くなっています。
この曲は爽やかで愛らしく、駆け出したくなるようなワルツで、 まさに「初恋」というタイトルがぴったりです。 なんとなく優雅な雰囲気もあり、数年前に化粧品会社のCMに使われたというのも納得の おしゃれな曲です。 演奏会などにデザート感覚で取り入れてみてはいかがでしょうか。
【中級者向け】 演奏時間:約2分30秒 (U)

新刊紹介(Pic.Pf)

作曲者のパタピオ・シルヴァは1880年リオ・デ・ジャネイロ生まれ。ブラジルのフルート界の草分けとして活躍しましたが、惜しくも1907年にわずか26歳で亡くなっています。しかしその演奏はレコードが残っていて今も聴くことができます。基本はクラシックですがショーロなどブラジル音楽の影響も感じられます。
今回ご紹介する曲はポルカとあるように軽いタッチの楽しげな曲で、踊り出したくなるような軽快なメロディが印象的です。原曲はフルートですが、この楽譜はボーマディエがピッコロ用に手を入れてあります。3分半ほどの短い曲ですが、ちょっとした演奏会に、またアンコールにも良さそうです。
【中級者向け】 演奏時間:約3分30秒 (T)

力試しにいかがでしょうか??

作曲家、演奏家、教育家として、ヨーロッパ中に名声を轟かせ活躍したポール・タファネル。 1877年、パリ音楽院管楽器科における常任入学審査員になったタファネルは、学生のために 年度末試験(コンクール)の初見演奏として、ピアノ伴奏付き課題曲【アレグロ・スケルツァンド】【アレグロ・グラツィオーソ】を作曲しました。 試験曲とあって、わずか全30小節ほどのとても短い曲ですが、様々なリズムや音域移動、またアーティキュレーション、テクニックや音楽性が求められる難易度の高い曲です。 よく知られている「フォーレ:コンクール用小品」は、コンクールの課題曲(最終試験)として作曲された作品ですが、今回ご紹介する曲もそれぞれの曲の演奏時間が約1分程の短い曲なため、プログラムの最後やアンコール等で演奏してみても良いでしょう。 一度、力試しにチャレンジしてみてはいかがでしょうか・・・。
(M)

力試しにいかがでしょうか?? 2

「フランス・フルート楽派の父」といわれるポール・タファネル。彼は、フルーティストのバイブルとも言うべき「17の日課大練習」(ゴーベールとの共著)などの教則本や、「ファンタジー」「アンダンテ・パストラルとスケルツェッティーノ」「『魔弾の射手』によるファンタジー」「『ミニヨン』によるグランド・ファンタジー」など多くの素晴らしい作品を書いています。
今回ご紹介する「アンダンティーノとアンダンテ」はそれぞれ1883年と1884年にパリ音楽院の初見用課題曲として作曲されました。あまり知られていませんが、短いながらも美しくかわいらしい曲ですのでアンコールなどでさらりと演奏してもステキです☆
【中級者向け】 演奏時間 アンダンティーノ:約1分15秒、アンダンテ:約1分20秒 (I)

忘れられた19世紀フランス・オペラ3

タファネルによるオペラを基にした華麗なフルート独奏作品、一つ目はレオ・ドリーブ(1836-1891)の《ニヴェルのジャン》(1880年初演)を取り上げます。ドリーブは《コッペリア》や《シルヴィア》などのバレエ作品が現在でもよく演奏されますが、彼のオペラは《ラクメ》が知られている程度です。この《ラクメ》も《ニヴェルのジャン》もともに「オペラ=コミック」に分類され、前回までご紹介した「グランド・オペラ(グラントペラ)」と厳密には異なります。「コミック」と付くため、元来は滑稽で軽いものが主体で、グランド・オペラは壮大な歴史物や悲劇、といった内容での区別もなされていましたが、その後は台詞が入る小規模なオペラか、全てのテキストが歌われてバレエの場面もある大規模なオペラか、という違いに落ち着きました。ただし当時は、グランド・オペラはオペラ座(サル・ル・ペルティエ/ガルニエ宮)、オペラ=コミックはオペラ=コミック座(サル・ファヴァール)と上演される劇場が限定されており、両者の間には厳然たる格式の差が存在し、当然、オペラ座で作品が上演される、というのは作曲家にとってステータスでした。
今でこそビゼーの《カルメン》はフランスを代表する「オペラ」とみなされていますが、創作当時、駆け出しの作曲家であったビゼーにはオペラ座からお呼びがかからず、初演してもらえたのはオペラ=コミック座だったのです。オペラ座はただの劇場ではなく、社交界の場としても機能していたので、威信を保つために保守的な路線となり、フランスの若手作曲家の新作を取り上げることには消極的だったのでした。
《ニヴェルのジャン》も歴史に題材をとっており、形式はオペラ=コミックですが、内容はグランド・オペラに近いものです。15世紀、主人公はモンモランシー男爵の息子でしたが、フランス王国の統一を進めていたルイ11世とブルゴーニュ公シャルルとの争いにおいて、父に背いてブルゴーニュ公の側につき、父の怒りを買って勘当され、フランドル地方(現在のベルギー)のニヴェルに逃げたことから「ニヴェルのジャン」と呼ばれるようになりました。フランス史では有名な逸話で、様々な俗謡が生まれたほどです。
ドリーブのオペラも、その史実に恋物語を追加し脚色されていますが、ルイ11世とシャルルの戦争がクライマックスとなり、激しい戦闘で両腕を失ったジャンは再びフランス軍と対峙することをあきらめ、恋人のアルレットと立ち去るのでした。ファンタジーとして用いられているモチーフは以下の通り。「マンドラゴラのバラード」「射手の行進と道化の三重奏」「風車の物語」です。オペラの成功を受けて初演の翌年に作曲され、当時オペラ座管弦楽団の同僚であったドンジョンに献呈されました。
(2020年6月記) (M.N.)

忘れられた19世紀フランス・オペラ1→楽譜ID:26347(ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー )
忘れられた19世紀フランス・オペラ2→楽譜ID:30704(ドップラー/オペラ・フェイヴァリッツ 第2巻 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ3→楽譜ID:26588(タファネル/「ニヴェルのジャン」によるファンタジー)
忘れられた19世紀フランス・オペラ4→楽譜ID:24355(サン=サーンス/パヴァーヌ&夕べの夢 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ5→楽譜ID:25608(タファネル/「フランチェスカ・ダ・リミニ」によるファンタジー(ベルノルド編))
忘れられた19世紀フランス・オペラ6→楽譜ID:24046(マスネ/バレエ組曲「ル・シッドより」)
忘れられた19世紀フランス・オペラ7→楽譜ID:20970(グノー/「ロメオとジュリエット」(グノー)によるファンタジー 第2番)
忘れられた19世紀フランス・オペラ8→楽譜ID:30070(ビゼー/耳に残るは君の歌声(歌劇「真珠採り」より))
忘れられた19世紀フランス・オペラ9→楽譜ID:27579(ボワエルデュー/曲集「バグダットの回教国の王」より )
忘れられた19世紀フランス・オペラ10→楽譜ID:23103(アレヴィ/サロン風四重奏曲 (アレヴィ) )

忘れられた19世紀フランス・オペラ5

タファネルによるオペラを基にした華麗なフルート独奏作品、二つ目はアンブロワーズ・トマ(1811-1896)の《フランチェスカ・ダ・リミニ》(1882年初演)を取り上げます。
トマは19世紀フランスを代表するオペラ作曲家の一人で、コンセルヴァトワール(パリ音楽院)の院長を務めるなど、フランス楽壇の重鎮でした。これは彼の最後のオペラ作品となり、プロローグとエピローグにバレエの場面がついた四幕のグランド・オペラです。フランチェスカ・ダ・リミニ(1255-1285頃)についてはダンテ(1265-1321)の『神曲』の第5歌に取り上げられ、さらにそれを題材としたチャイコフスキーの管弦楽のための幻想曲(1876)やラフマニノフのオペラ(1906年初演)が書かれているため、物語自体は忘れられたとまでは言えないかもしれません。トマのオペラも、『神曲』をベースにしています。史実のフランチェスカは、父グイド・ダ・ポレンタの意思により敵対するマラテスタ家との和解のために政略結婚させられます。相手のジョヴァンニは足が不自由で、容姿も醜かったため、弟パオロが替え玉として結婚式に出席します。騙されたフランチェスカはパオロと恋に落ち、結婚の後もパオロと密会したため、ジョヴァンニに現場を押さえられ2人とも殺されてしまうという悲恋の物語です。
フランチェスカを責めるのは酷な部分もありますが、ダンテは不義密通の罪により2人を地獄篇に登場させました。『神曲』は地獄篇、煉獄篇、天国篇の三部からなり、ダンテが古代ローマ詩人ウェルギリウスと出会い、彼に導かれてそれぞれの国を遍歴する物語です。本来煉獄は天国への可能性が残されているものの、地獄は永遠に罰を受け続ける救いのない世界であるのに対し、トマのバージョンでは地獄にいるフランチェスカとパオロにも最後に許しが与えられます。
タファネルの編曲では、プロローグより第一場、地獄の門の前でウェルギリウスが登場する場面と、第3幕のバレエより、アダージョ、サルタレロ(イタリア起源の舞踊)、セビリャーナ(スペイン起源の舞踊セビジャーナス)の3曲を取り上げ、後半2曲の華麗なダンスで盛り上げて締めくくります。献呈者は明記されておらず、タファネル自身が演奏したという新聞雑誌記事も見つかっていませんので、初演者は不明です。タファネルによる一連の「ファンタジー」がこの曲で打ち止めになっていることと関係があるのか、残念ながら今となっては確認する術がありません。
(2021年4月記) (M.N.)

忘れられた19世紀フランス・オペラ1→楽譜ID:26347(ボルヌ/「アフリカの女」による華麗なファンタジー )
忘れられた19世紀フランス・オペラ2→楽譜ID:30704(ドップラー/オペラ・フェイヴァリッツ 第2巻 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ3→楽譜ID:26588(タファネル/「ニヴェルのジャン」によるファンタジー)
忘れられた19世紀フランス・オペラ4→楽譜ID:24355(サン=サーンス/パヴァーヌ&夕べの夢 )
忘れられた19世紀フランス・オペラ5→楽譜ID:25608(タファネル/「フランチェスカ・ダ・リミニ」によるファンタジー(ベルノルド編))
忘れられた19世紀フランス・オペラ6→楽譜ID:24046(マスネ/バレエ組曲「ル・シッドより」)
忘れられた19世紀フランス・オペラ7→楽譜ID:20970(グノー/「ロメオとジュリエット」(グノー)によるファンタジー 第2番)
忘れられた19世紀フランス・オペラ8→楽譜ID:30070(ビゼー/耳に残るは君の歌声(歌劇「真珠採り」より))
忘れられた19世紀フランス・オペラ9→楽譜ID:27579(ボワエルデュー/曲集「バグダットの回教国の王」より )
忘れられた19世紀フランス・オペラ10→楽譜ID:23103(アレヴィ/サロン風四重奏曲 (アレヴィ) )

国歌作曲者によるフルート・ソナタ

タクタキシヴィリは1924年生まれのグルジア(旧ソヴィエト連邦の構成国の1つ)の作曲家です。オペラや2曲の交響曲、4曲のピアノ協奏曲、2曲のヴァイオリン協奏曲、またチェロ協奏曲などを書いており、トビリシ音楽院在学中にグルジア国歌を作曲しました。
快活な第1楽章と第3楽章も魅力的ですが、間にはさまれた第2楽章の美しさは格別です!
ロシア音楽のレパートリーに是非どうぞ☆
【中・上級者向け】 演奏時間:約17分 (I)

かわいらしいピアノ小品集

収録曲:1・朝の祈り、5・木の兵隊の行進、6・新しいお人形、8・お人形の葬式、11・マズルカ、15・イタリアの歌、16・フランスの古い歌、18・ナポリ人の歌、21・甘い夢、24・辻音楽師    
チャイコフスキーは交響曲やバレエ音楽が有名ですが、この曲はシューマンの「子供の情景」に影響を受けて、可愛がっていた甥のために書かれたピアノ曲が原曲で、平易なメロディーの中に優しさや愛情が感じられる小品集です。本当は全部で24曲からなりますが、この楽譜では10曲をフル−トとピアノにアレンジしてあります。初心者の方でも吹けますし、中上級者の方にもチャイコフスキーの甘く美しいメロディーを味わっていただきたいと思います。
【初級者向け】 (T)

人気のあの曲が再登場!

「レンスキーのアリア」という名称で親しまれているこちらの楽曲は、パユの演奏によりフルーティストの間で大変話題になりました。原曲は歌劇「エフゲニー・オネーギン」で演奏される、テノール歌手によるアリアです。一度聴いたら耳に残る旋律は大変美しく、フルートでよく演奏されます。
こちらの楽曲は、今までUNIVERSAL社から出版されていましたが、残念ながら絶版になりました。しかしこの度、米大手出版社のALRY社から同楽曲が出版されました。こちらの版はチャイコフスキーと同年代に活躍した名ヴァイオリニスト、レオポルド・アウアーの編曲をもとにしています。楽曲解説と歌詞が英語で記載されています。C管用とH管用のパート譜が別々で用意されているので、吹きやすい音域の方で演奏してみてください。
※パユ校訂版とは編曲の相違がございます。
【場面のあらすじ】詩人のレンスキーは、親友のオネーギンを小規模なパーティーに誘います。実際のパーティーは大規模で、オネーギンは場になじめません。その上、会場にいる参加者に陰口を叩かれ激怒します。侮辱されたと感じたオネーギンは復讐を企み、レンスキーの恋人オルガをダンスに誘います。二人のダンスを目撃したレンスキーは腹を立てます。レンスキーはオネーギンに決闘を申し込むものの、不安と複雑な心境に包まれます。そんな場面でレンスキーが歌うのが、このアリア「青春は遠く過ぎ去り」です。
【中・上級者向け】(CK)

チャイコフスキーの有名な曲ばかりが集まっています。

チャイコフスキーのいろいろな作品から有名なメロディーをゴールウェイがフルートとピアノで演奏できるように編曲したアルバムです。オリジナルのフルート作品は残していないチャイコフスキーですが、美しいメロディーを吹いてみたいと思っていた人も多いのではないでしょうか。どれも一度は耳にしたことのある旋律で、オーケストラの曲も、原曲はフルートパートではない部分もフルートで楽しめるようになっています。
【中級者向け】 (T)

幼い頃の思い出をソナチネに

フルート・トリオ「妖精の絵op.40」が日本でもお馴染みになり、最近注目されているチェスノコフ。ウクライナに生まれ現在はパリで活躍中の、若手ピアニストであり作曲家です。
この曲は3楽章から成っており、神秘的にサラサラと流れるピアノ旋律の上で朗々と語る「贈り物」、衝動や激しい感情の起伏から目(耳?)が離せない「空想」、上行系の勢いのあるフレーズが形を変え繰り返される「遊び」の順で展開されます。
幼い頃の牧歌的郷愁を音楽にした曲とのことですので、様々に思いを馳せながらお吹きいただければと思います。秋の夜長を寂しげに温かく、そして情熱的に彩ってくれるかもしれません。
【中上級者向け】 (AN)

ヘンデルが認めたテレマンの名曲?

自作品の出版にも力を注いでいたテレマンが、1733年に出版した3セットから成る『ターフェルムジーク』もその一つで彼の代表作になっています。3つのセットは夫々、「管弦楽組曲」「四重奏曲」「協奏曲」「トリオ・ソナタ」「ソロ・ソナタ」そして管弦楽組曲と同じ楽器編成による「終曲」の6曲からなり、全18曲はどれ一つとして同じ楽器の組み合わせはありません。この楽譜は確実に売るために予約販売の形をとっていました。
今回ご紹介するのは第1集に入っているソロ・ソナタ、『フルートと通奏低音のためのソナタ ロ短調 TWV41:h4』です。5小節にわたる通奏低音の後に、流麗な旋律で登場するフルートが印象的な第1楽章 Cantabile、スラーとダッシュ、トリルによって動きのある第2楽章 Allegro、順次進行と跳躍、転調による変化が豊かな表情を作る第3楽章 Dolce、特徴的なスラーとダッシュによって勢いのあるジーグ風の第4楽章 Allegroという典型的な緩―急―緩―急の4楽章から成る大変美しいソナタです。
テレマンと親交のあった大作曲家ヘンデルは、この『ターフェルムジーク』を予約しました。初版楽譜に印刷された予約者名簿には『ロンドンのヘンデル博士』の名前がありますが、それだけではありません。ヘンデルは後の1746年にロンドンで初演した『オケイジョナル・オラトリオ HWV62』の幕間に、客寄せにヘンデル自身が演奏するために作曲した3楽章からなる『オルガン協奏曲 第15番 HWV304』の両端楽章にこのテレマンのソナタの第1、第4楽章を編曲して使っています。これは盗作というよりは、ヘンデルの内に忘れられない印象を残したテレマンの名曲に花を持たせたものと考えられます。
【中・上級者向け】 演奏時間:約13分40秒 (SR)

この協奏曲、おすすめします!!

ティリエはフランス近現代の作曲家です。 フルートと弦楽オーケストラによるこの協奏曲は、1959年に作曲されました。
かわいらしいテーマで始まり、気持ちよく晴れ晴れとするような旋律が続く第一楽章。 壮大でドラマチックな第二楽章。 技巧的でありながら、どこかかわいらしい雰囲気もある第三楽章。
と、どの楽章も魅力にあふれています!まだあまり知られていませんが、聞き映えのする曲だと思いますので、音大などの試験や演奏会にいかがでしょうか? フロマンジェ氏による演奏でCDが出ています。
オーケストラ伴奏による収録ですが、オーケストラ用スコアとパート譜は貸譜となっています。
【CD:ID】3814

もう一つの「愛の喜び」 2

「愛の喜び」といえば名ヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーの名曲を思い出す方が多いでしょう。でももう1曲あるのです。ここで「ああ、あのナナ・ムスクーリが歌っていた曲ね」と分かるアナタは相当古い・・・・・・。そうです、今回取り上げるのはその「愛の喜び」なのです。
このポピュラー・ソングとして大流行した「愛の喜び」は、実はイタリアの古典歌曲とされていて、マルティーニが作曲した曲です。でも間違ってはイケマセン。よく混同されるのですが、イタリアのマルティーニとして有名なのは、モーツァルト少年にも音楽を教えたジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニ(1706 – 1784)ですが、「愛の喜び」の作曲者はジャン・ポール・マルティーニというイタリア名を名乗ってパリで活躍した、本当はヨハン・パウル・シュヴァルツェンドルフ(1741 – 1816)というれっきとした(?)ドイツ人なのです。この人はパリ音楽院の監督官まで務めた人ですから、それなりに実力はあったのでしょう。えっ、なんて面倒なですって・・・そうです、この世の中、実に複雑で面倒くさいんです。
(*ちなみに、今回ご紹介しているチュルーの楽譜の表紙には、ジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニと記されています)
この歌は当時から人気があったらしく、2人の名フルーティストがそのメロディーを使ったファンタジーを書いています。ひとりはイタリアのB.T.ベルビギエ、64小節の序奏に続いて主題と5つの変奏がくり広げられます。もうひとりはフランスのJ-L.チュルーで、こちらは72小節の序奏、主題、3つの変奏と123小節からなる長い終曲から出来ています。どちらも名フルーティストの作品ですからそこそこ難しいのですが、チュルーの方がより難易度が高そうです。演奏会のプログラムなどに肩の凝らない曲として是非使ってみて下さい。
(SR)

忘れられたコンクール用小品10

第10回で一区切りつけるに当たり、コンクール用小品とはそもそも何であったか、ということを確認したいと思います。1795年に音楽院(コンセルヴァトワール)の設立が決定され、学校は充実していくのですが、第3代学長のルイジ・ケルビーニの時代に入学、卒業試験の制度が制定されました。このうち、卒業試験に課された新曲演奏用の作品が「コンクール用小品」です。モーツァルトの作品など既知の曲は当然前もって練習が可能で、実力を測る物差しとしては公平ではないと判断され、まだ誰も聴いたことのない新曲を限られた期間で一斉に練習し、その仕上がり具合で評価する、というのはいかにも革命を経て誕生した学校にふさわしいシステムでした。とはいっても、弦楽器やピアノがもてはやされる一方、管楽器があまり大作曲家から作品を残してもらえなかったロマン派の時代、管楽器のクラスのための新曲を作曲したのは教授自身でした。というわけで、コンセルヴァトワールの記録に残る最初のフルート科の課題曲は1824年のベルビギエによる《コンチェルティーノ 第5番》ですが、その次の1832年から1860年まで、チュルーの在任期間中(1829-1859)はずっと彼の作品が続くことになります。
《グランド・ソロ 第11番》 作品93は1845年のコンクールのために書かれ、H.リッテルという友人に捧げられました。曲は両端のアレグロと中間部のロマンスの3部構成になっています。6度の跳躍が印象的な序奏に始まり、そこから派生した第一主題をフルートが奏でます。最初のカデンツァの後、線的な第二主題となり、少しずつ技巧的な旋律となって頂点を迎えます。短い第2カデンツァを挟んでロマンスが始まり、6度の跳躍をもとにこちらは叙情的な歌となります。第3のカデンツァの後、第二主題が4度移調の原調で演奏され、さらに技巧的に音階を上下行し、華やかに締めくくられます。
このころのチュルーにとって、コンクール用小品の作曲は、単に試験用に作品を供給するだけでなく、もう一つ大きな意味があったものと思われます。というのも、フランス楽壇にベーム式フルートの波が次第に押し寄せ、1839年にはパリ音楽院でベーム式フルートのクラスの新設の審議まで行われたからです。このときはチュルー自ら委員の前で演奏して伝統的な多鍵式(チュルー・システム)の優位性を主張し、新設の話を延期に持ち込むことに成功しましたが、自身の流派の存続に対し大きな危機感を覚えたことは想像に難くありません。そこで、ベーム式よりも伝統的なフルートの方が優れていることを証明するための手段としてチュルーは作品を書き、公開演奏である卒業試験において生徒に演奏させることで、審査員である音楽家の同僚仲間や音楽院、音楽行政の上層部にアピールしたのです。
1845年のコンクールにおいて一等賞を受賞したのは、当時わずか12歳のジュール・ドゥメルスマンでした。二等賞のピエール・ブランコは19歳、次点のジュール・クプレが22歳でしたから驚きです。ドゥメルスマンの才能もさることながら、実力成果主義、エリート(選択集中教育)主義、早期教育主義といったフランス教育文化の典型例と申せましょう。実際ブランコもクプレも後世に大きな業績を残さなかったのですが、この非情ともいえる厳しさのおかげで、免許皆伝に相当するコンセルヴァトワールの「プルミエ・プリ(一等賞)」の権威と信頼性が現在まで保たれてきているのかと思うと、歴史と伝統の重みを感じます。
(2019年6月記) (M.N.)

忘れられたコンクール用小品→楽譜ID:7903(ムーケ/牧歌)
忘れられたコンクール用小品2→楽譜ID:2335(マゼリエ/ディヴェルティスマン・パストラル)
忘れられたコンクール用小品3→楽譜ID:7628(オベール/序奏とアレグロ)
忘れられたコンクール用小品4→楽譜ID:1721(ジョルジュ/ア・ラ・カスバ!)
忘れられたコンクール用小品5→楽譜ID:1620(ブラン/アンダンテとスケルツォ)
忘れられたコンクール用小品6→楽譜ID:1653(ドゥメルスマン/演奏会用ソロ第2番)
忘れられたコンクール用小品7→楽譜ID:11633(ポート/伝説)
忘れられたコンクール用小品8→楽譜ID:2040(ブトリ/コンチェルティーノ)
忘れられたコンクール用小品9→楽譜ID:1639(ドルリュー/折画)
忘れられたコンクール用小品10→楽譜ID:1957(チュルー/グランド・ソロ第11番 )

日本人女流作曲家の作品です

作曲者の上林裕子さんは京都出身でパリ在住。フルートの作品も多く手がけています。 このソナタは2003年の作曲で待望の出版です。4楽章からなり、レントから始まって、次々にテンポと表情を変え、海辺に寄せる大波小波を思わせる美しい第1楽章、軽快なスタッカートとスラーの対比が面白い第2楽章、たおやかな第3楽章、闊達で躍動的な第4楽章、とそれぞれ異なった様相ながら、全体を貫く繊細で美しいメロディが印象的な曲となっています。難解さは感じられず、特殊技法も必要ありませんが、ピアニストともども高い技術は求められます。新しくリサイタルのプログラムに加えてはいかがでしょうか。
【上級者向け】 (T)

演奏会におすすめ

東京藝術大学作曲科を卒業された上田真樹さんの作品を紹介します。朝日カルチャー新宿教室で講座を受け持ったり、指揮者山田和樹さんとのトークセッションでも活躍しています。
上田さんは言葉選び、音選びがとても上品で美しく、臨時記号を効果的に使い、魔法のように和音が変化していくところに魅力を感じます。この作品もフルートとピアノのための作品ですが、まるで合唱を聞いているかのような響きを感じることが出来ます。
「抒情小組曲」は、フルート奏者・中山広樹さんの委嘱、2007年のリサイタルで初演されました。
1.Prelude≪あかり≫ フルート・ソロから始まる素朴でかわいらしい曲。
2.Ayre≪みち≫ 悲しげな旋律で始まりますが、「希望」を感じさせるアリアです。
3.Danza≪のぞみ≫ フルートとピアノの掛け合いが楽しいです。
「献呈」は、山田和樹さんの委嘱でアンコール・ピースとして作曲、2007年に北川森央さんのフルート、山田さんのピアノで初演されました。フルート作品としては珍しいFis-durの曲で、温もりを感じることのできる小品です。
【中・上級者向け】 演奏時間:「抒情小組曲」約8分30秒 「献呈」約3分 (B)

スパイシー!!

ヴァン・ブリンクはアメリカの若手ピアニスト・作曲家で、この曲は2003年の「米著作権協会(ASCAP)・ 若手作曲家コンクール」で入賞しています。 タイトルの「ダル・ドーサイ」はインド料理のパンケーキのようなものの名前。また各楽章のタイトル「ガラムマサラ」「アソフォェティダ」「タルカ」もそれぞれインド料理に使われるスパイスなどの名称です。しかしこれらのタイトルは、曲が作られた後で初演者のトーマス・ロバーテロが名づけたもので、いわゆる標題音楽とは違うようです。シンコペーションのリズムがジャズ風の響きを誘う第1楽章、叙情的な美しいメロディーの第2楽章、めまぐるしい動きと複雑なリズムが絡み合う第3楽章と、フルート、ピアノともにかなりの技巧を要しますが、とても面白い曲です。 おそらくロバーテロは、この曲のいろいろな要素が混ざり合った、楽しく、またスパイスの効いた感じから、このタイトルをつけたものだと思われます。以前このコーナーでご紹介したショッカーやマウワー、シュナイダーなどに興味を持たれた方に、ぜひ挑戦していただきたいと思います。なお、ロバーテロによるCDが発売されています。
【上級者向け】 (T)

原曲はサックスのための作品です

「ブラジル風バッハ」で知られるヴィラ=ロボスのこの「ファンタジア」は、オリジナルはソプラノ・サックスと小編成のオーケストラのために1948年に書かれたのち、テナー用にも編曲され、現在もサックスの重要なレパートリーとなっています。フルートへの編曲はヴィラ=ロボスの助手を務めていたフルーティストのセバスチャン・ヴィアンナによってなされましたが、出版・演奏される機会がなく、2009年ヴィアンナの死後草稿が発見され、今回出版に至りました。
曲は3楽章からなり、軽快さと美しさ、そしてストラヴィンスキーやバルトークに通じるような諧謔性もあわせ持った面白い曲です。特殊技法もなく、技術的にはそれほど高難度というわけでもなさそうですが、ピアニストともども粋な感性で演奏していただきたいと思います。
【上級者向け】 (T)

ダ・ヴィンチではないレオナルド

歴史上有名なヴィンチは2人います。1人はもちろんルネサンスの大天才、「万能の人」と呼ばれ、城や町、武器などを設計し、軍事顧問を務めさらに彫刻や絵も描けた(!)というレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)。そしてその200年以上後のバロック時代に活躍した作曲家が、レオナルド・ヴィンチ(1690〜1734)です。“ダ・ヴィンチ”はフィレンツェなどを中心に北イタリアで活躍し、“ヴィンチ”は南のナポリで作曲活動を行ないました。
当時のナポリはオペラが大流行し、A.スカルラッティ、ペルゴレージ、チマローザらが活躍、ヴィンチもその中の1人で40曲ほどのオペラを作曲した人気作曲家でした。今回ご紹介するのは2曲のフルートと通奏低音のためのソナタです。彼が残したこの編成の曲は、1764年に出版された「12のソナタ」という曲集の中に、他の作曲家の曲と一緒に収められたこの2曲しかありません。この曲集は、当時ロンドンでよく海賊版楽譜の出版をしていたことで悪名の高かったジョン・ウォルシュが出版した海賊版です。作曲家が亡くなってから30年も経っていれば、文句を言う人もいなかったのでしょう。
2曲ともナポリ楽派らしく、よく歌う美しいメロディーを持った簡明な作品なので、昔からフルートでよく演奏されてきました。これまで使われてきた楽譜は編集者が後から付け加えた装飾などがあり、オリジナルの形が分かりにくいものでしたが、このAMADEUS版は余分な付け足しを取り去って、オリジナルの形を再現した楽譜です。初めてこの曲を吹く人はもちろん、吹いたことのある方も、もう一度この楽譜で曲を見直してみませんか。
(SR)

ミステリアスでクールな協奏曲

作曲者のCarl Vineは1954年生まれのオーストラリアの現代作曲家で、クラシックはもとより、映画やテレビの音楽を作ったり、アトランタ・オリンピックの音楽を担当したりと幅広く活躍しています。
この「笛は夢見る」はオーストラリア室内管弦楽団の委嘱作でシャロン・ベザリーが初演、同タイトルのCD(ID:6521)も発売されています。
曲は単一楽章で美しいメロディーの中に神秘的な雰囲気とスリリングな味わいがあります。かなり高度な技巧を要しますが、ユニークでとても面白い曲です。 現代の作品というとなかなか取り上げられる機会がありませんが、新しい音楽をお探しの方にぜひトライしていただきたいと思います。
【上級者向け】 (T)

ヴィヴァルディの真作「フルート・ソナタ」(Fl.Bc.)

長らくヴィヴァルディのフルート・ソナタ集といわれてきた「忠実な羊飼い 作品13」は、今ではフランスのニコラ・シェドヴィルの作または編作といわれるようになり、“伝ヴィヴァルディ”と表記されています。これは、シェドヴィルが部分的にヴィヴァルディの作品を用いて6曲のソナタにまとめ、出版したものであることが分かったからです。
それでは、あれだけフルートのための協奏曲や室内楽を残したヴィヴァルディがフルート・ソナタを残さなかったのかというと、そうではありません。今回は、これらヴィヴァルディの“真作”「フルート・ソナタ」をご紹介します。「ハ長調 RV 48」「ト短調 RV 51」「ニ短調 RV 49」「ホ短調 RV 50」の4曲で、それぞれケンブリッジ、ライプツィヒ、ウプサラ、ストックホルムの図書館に手書きの楽譜の形で所蔵されている曲です。
RV 48とRV 51の2曲は、緩-急-緩-急の4楽章構成でシンプルな作品です。RV49はPreludio. Largo – Siciliana. Adagio – Sarabanda – Allegroの4楽章からなる装飾音や音の動きに新しさがあります。RV 50はAndante – Siciliano – Allegro – Ariosoの4楽章ですが、この曲も装飾やリズムに新しさが見られ、不思議な楽章構成にも特徴があります。
ヴィヴァルディのフルート・ソナタはこの他にもリコーダー用と考えられる「ヘ長調 RV 52」や、その後の発見になる2曲などが(うち1曲「ト長調 RV 806」と同一曲が、Schott社から「ニ長調 RV 810」として出版されている。ID : 28303)ありますが、現在、明確な形でヴィヴァルディのフルート・ソナタとしてまとまっているのはこの楽譜です。
(SR)

注目の作曲家、ヴァインベルクのフルート作品

ミェチスワフ・ヴァインベルク(1919-1996)はワルシャワで生まれ、第二次世界大戦で亡命のため旧ソ連に渡った、ポーランド系ユダヤ人の作曲家です。交響曲、室内楽、オペラ、声楽などの作品を書き残しており、近年再評価が進み、多数の録音がリリースされています。彼はフルートのためにも2つの協奏曲の他、幾つかの作品を残しました。
ご紹介するフルートとピアノのための「5つの小品」は、1947年に書かれ、翌年モスクワで出版された作品です。それぞれ1分半〜5分程度の「風景(Landschaft)」「ファースト・ダンス(Erster Tanz)」「セカンド・ダンス(Zweiter Tanz)」「メロディー(Melodie)」「サード・ダンス(Dritter Tanz)」の5曲で構成されています。1曲1曲に作曲者の自由な遊び心を感じ、メロディーも覚えやすく、演奏する楽しみが感じられる作品です。
第1曲「風景」は、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」の有名な旋律の引用で印象的に始まります。“ダンス”とタイトルに付く3曲は、民謡色を感じる舞曲のメロディーが特徴的で、ピアノとの軽快な掛け合いや、ユーモアを効かせた曲の仕掛けが、聴く人を惹きつけます。その中の第3曲「セカンド・ダンス」はヴァインベルクが4年前に書いた弦楽四重奏のための「カプリッチョ」をアレンジした作品です。第4曲「メロディー」はフルートのゆったりと流れるような美しいメロディーラインが魅力です。
注目の作曲家、ヴァインベルクのフルート作品に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ご興味のある方は、ヴァインベルクのフルート作品全曲が集められたCD「ヴァインベルク:フルートのための作品全集」(CDID:8068)や、楽譜「フルート協奏曲」(楽譜ID:33438)等も合わせてチェックしてみてください。
【中・上級者向け】演奏時間:約13分30秒(M)

たまには違うアレンジで(Rec.Pf./Fl.Pf.)

皆さんよくご存じの「グリーンスリーヴス」。イギリス民謡として親しまれています。フルートとピアノ、またはフルートとハープへの編曲として、フルーティストのルイ・フルーリーによる変奏曲が、また、管弦楽曲としてはヴォーン・ウィリアムスによる幻想曲が知られていますが、今回はウェルディンによるリコーダー(またはフルート)とピアノのための変奏曲をご紹介します。
テーマと9つの変奏からなります。テンポ、拍子が変奏ごとに変わり、どれも飽きさせないアレンジです。フルートとピアノにそれぞれ1曲ずつソロがあります。
これまでに曲集なども含め色々な楽譜が出ておりますが、このウェルディンによる編曲、新しいレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
【中級者向け】 (B)

「組曲」=suite いくつかの小曲あるいは楽章をまとめた複合的な器楽曲

近代フランスのオルガンの巨匠、作曲家として知られるヴィドールはリヨンで生まれ、父親からオルガンの手ほどきを受け、自然と音楽の道へ進みました。パリの教会のオルガニストを務め、パリ音楽院ではオルガンと作曲を教え、シュヴァイツァー、デュプレ、オネゲル、ミヨーらを育てました。第一曲「モデラート」、第二曲「スケルツォ」、第三曲「ロマンス」、第四曲「終曲」。フルーティストの技術を存分に生かした、色彩豊かなメロディーがリサイタルのフィナーレを飾ります。この名曲は当時、パリ音楽院の教授を勤めていたフルートの名手P.タファネルに捧げられました。
(Y)

セレナーデの決定版!

この曲のプログラム解説を書かれる演奏家は大変苦労されると思います。何故なら、楽譜にはA.WOODALL作曲と書かれているのですが、ファーストネームさえ不明だからです。 単純で美しい旋律、9/8拍子が一層効果的な流れを表現しており、まさに名曲にふさわしい小品です。作風は19世紀後半位?でしょうか。演奏時間はフルートパート譜2ページ、約3分です。アンコール、サロンコンサートのプログラムにお勧めいたします。
【初・中級者向け】 (Y)

Trevor Wyeの「ラテンの花束」

[1巻収録曲]
1. Estilo
2. Maracaibo En La Noche
3. Milonga
4. Urpila
5. El Diablo Suelto!
6. El Contrabando
7. Junana
8. La Partida
9. Cielito
10. Camino Pelao

こちらの楽譜は、言わずと知れたトレバー・ワイがコレクションしたラテン曲集で、全2巻となっています。
演奏時間が1〜2分半程の小品で構成されており、ラテン独特のリズムが私たちを異国に連れていってくれるかのようです。2拍子と3拍子の複合リズムや6/8拍子と3/4拍子の交互進行からなる、いかにもラテン的な曲などが収録されています。普段のレパートリーとは雰囲気が違った曲は、演奏会のアンコールなどにおすすめです。
音源はワイ自身が演奏している「FLUTE RECITAL」より「A LATIN BOUQUET」として全曲ではありませんが、2冊からそれぞれ5曲ずつ収録され、ワイのアドリブも披露されていましたが、残念ながら廃盤となっています。
現在手に入る音源は、W.ボウスタニーの「WANDERING WINDS」(CD-ID:6610)に6曲が収録されています。あまり馴染みのないリズムなので、まずはCDで雰囲気を掴むのもよいでしょう。是非あなたのお気に入りの一曲を見つけてください。
【中級者向け】(MR)

[2巻収録曲]
1. Pasaje No.1
2. Sol en Merengue
3. El Frutero
4. Bailecito de Procesion
5. El Camaleon
6. El Quintapesares

「鳥」の物語

吉松隆さんといえば、「鳥の作曲家」と呼ばれるほど鳥がらみのタイトルの作品を書いていらっしゃいます。その中でフルート&ピアノの編成の曲といえば、「デジタルバード」。全5曲からなる小組曲で、1.鳥恐怖症 2.夕暮れの鳥 3.さえずり機械 4.真昼の鳥 5.鳥回路 と、なんとも不思議なタイトルばかりですね。鳥のさえずり、羽をバサバサ動かしながら飛び立つ姿など様々な光景が目に浮かんできます。上級者向けですが、現代曲のなかでは比較的演奏しやすいでしょう。ピアノとの息もぴったり合わせましょう。
(G)

定番!?ジャジーな現代フルート・ソナタ

サミュエル・ジーマンは、1956年にメキシコに生まれ、米国のジュリアード音楽院で長年にわたって音楽理論の教授を務める現代作曲家です。メキシコを代表する作曲家として評価され、様々なジャンルの作品を発表していますが、彼自身フルートを学んだ経験もありフルートを含む室内楽作品も多数出版しています。
この「フルート・ソナタ 第1番」は彼の代表作として知られ、1994年にメキシコで初演、1997年にTh.Presser社から楽譜が出版されました。日本での演奏機会はまだ多くありませんが、米国を中心に世界中で演奏されており、コンクールの推薦曲や課題曲にも選ばれるなど、フルートの定番レパートリーに数えられているようです。
曲は全3楽章で構成され、第1楽章 Allegro assaiは ♩=160 の急速なテンポで始まり、ピアノと対等に力強くジャジーな対話が繰り広げられます。途中歌う部分を挟み、冒頭の主題に戻ります。第2楽章 Lento e molto espressivoはフルートの緩やかな独奏から、哀しく神秘的なメロディーが歌われます。第3楽章 Prestoはフルートの3連符の技巧的なパッセージから、ピアノが力強く刻む伴奏に乗ってミステリアスな主題が繰り返され、勢いよく曲が閉じられます。
上級者向けですが、特殊な奏法はなく、第1楽章と第3楽章にはジャジーなリズム感が求められそうです。「カッコイイ!」と褒められること間違いなしのこのソナタ、演奏会やリサイタル、コンクールの自由曲などで、ぜひ取り上げてみてはいかがでしょうか。多数の演奏者がCDやYouTubeで演奏音源を出していますので聴いてみてください。
収録CDはこちらです。
(CD-ID:8207)ジーマン:フルートのための室内楽作品集
(CD-ID:8578)アンデスのフルート
【上級者向け】 演奏時間:約18分 (M)

19世紀のイタリア音楽集

19世紀のイタリアは器楽よりもオペラが盛んだった印象がありますが、歌劇場の奏者を中心にたくさんのヴィルトゥオーゾが輩出された時代でもあります。フルートも例外ではなく、ブリチアルディ、ガリボルディなどの名演奏家が活躍し、多くの楽曲を残しています。残念ながらその大部分の曲は今では忘れられた存在になっていますが、今回ご紹介する楽譜はそういった曲を集めたもので、作曲者が自分の名人芸を披露すべく作ったフルートらしい華やかな技巧を使った佳曲集です。サロン演奏会や発表会など、様々な機会に使えるでしょう。新しいレパートリーにぜひ加えてみて下さい。
【中級者向け】 (T)

ピッコロとピアノの曲をお探しですか?(Pic.Pf.)

今回ご紹介するのは、ピッコロとピアノのための曲集 1巻、2巻(トレバー・ワイ版)です。
この曲集にはポルカやボレロといったかわいらしい5分程度の曲が1冊に4曲ずつ収録されています。 19世紀後半、ピッコロの名手たちがソリストとしてオーケストラ伴奏やピアノ伴奏で演奏をするのは珍しいことではありませんでした。彼らは町から町へとコンサートをするために移動し、コンサートホールや時には野外で演奏会をして聴衆を大いに喜ばせました。そのような所で演奏されていたポルカやボレロです。
ピッコロといえば、小鳥のさえずり・・・をイメージされる方も多いかもしれませんが、まさにその通りで、楽器を最大限!?にアピールできる鳥のさえずりなどからインスピレーションを得て作られた曲が多く、この曲集にも「Le Roitelet(ミソサザイ)」、「The Mocking Bird(マネシツグミ)」、「森の小鳥」、「ヒバリ」といった鳥のタイトルが付けられている曲もあります。どの曲も技巧的な部分もありますが、華やかでかわいらしい曲です。
ピッコロ大好きな方!!ぜひ!レパートリーにいかがですか?
(NS)

フランスのエスプリ

「フランス音楽」と言われて、どのような音楽をイメージしますか? もちろん答えは人それぞれですが、この楽譜は古くは1819年生まれのオッフェンバックから1901年生まれのソーゲまで、19,20世紀のフランスを代表する作曲家たちの小品を集めた曲集です。「フランスのエスプリ」というタイトル通り、この時代のフランスの音楽のエッセンスが詰まった美しい曲ばかりです。オリジナルはフルートの曲ではないので馴染みのないものもありますが、メロディがきれいでフルートでも無理なく吹けるようアレンジしてあります。粋で洒落た香りを味わってみてください。アンコールピースとしても使えます。
【中級者向け】 (T)

“使える”曲集です☆

ルイ・フルーリー(1878−1926)が監修、編曲した曲集をご紹介します。ルイ・フルーリーはフランスのフルート奏者で、忘れられたバロック時代のフルート曲の再発見、同世代の作曲家の新作の初演に尽力しました。あの有名なドビュッシーのシランクスやルーセルの笛吹き達の「V.クリシュナ」もフルーリーに献呈された曲です。
この曲集には、ヴィンチ(1690-1734)、ルイエ(1688-1720)、ノード(1690?-1762)作曲のソナタが収録されていますのでフランスバロックの曲が一気に楽しめます。また1600年代のイギリスの伝承歌であるグリーンスリーヴス=i変奏曲)、ジョン、キスしてちょうだい≠ェ収められています。グリーンスリーヴスは色んな編曲で出版されていますので演奏されたことのある方も多いかと思います。この曲集のグリーンスリーヴス≠ヘ12変奏あります。すべて8小節で作られており、それぞれは短いですが変化が分かりやすく洒落た変奏になっています。ジョン、キスしてちょうだい≠ヘ日本ではほとんど馴染みがないかもしれません。親しみやすく、つい口ずさみたくなるメロディーなので皆さんも是非演奏してみて下さい。
【中級者向け】 (OU)

女性のパワーを感じて下さい!

女性作曲家の作品ばかりを集めた曲集をご紹介いたします。
国や時代に関係なく、総勢13名の女性のフルート小品が収められています。 フリードリヒ大王の妹であるアンナ・アマーリアやシャミナード、ボニス、タイユフェールといった、フルート吹きにはお馴染みの作曲家、コーツ、シュリュンツの現代奏法を含む作品も含まれています。作曲に性別は関係ありませんが、やはり、女性らしい瑞々しさとしなやかさ、それぞれの個性が伺える作品ばかりだと思います。ピースになっていない曲も多く含まれているので、とてもお得な曲集です。
なお、こちらの曲集に準拠したCDも出ておりますので、合わせてご紹介します。→CD:ID6280
お気に入りの作曲家がきっと見つかるはずです!新しいレパートリーに、サロン・コンサート、アンコールにも是非お使い下さい!
【中・上級者向け】 (U)

フランス近代の知られざる小品を集めて

この楽譜は、19世紀中ごろから20世紀初頭にかけて、パリで活躍した作曲家たちで、パリ音楽院で学んだり、教えたりと何らかの形で音楽院と関係のあった人たちの、フルートの小品を17曲収めた曲集です。フルート奏者ばかりでなく、ピアノや楽理の教授などの作品もありますが、おそらくこの時代のパリ音楽院で演奏されていたものでしょう。この時代はフレンチ・スクールの黄金時代なので、よく知られ評価の定まった名曲も数々ありますが、それらの影に隠れて、忘れられてきたこれらの作品も大変にチャーミングな美しさを持った佳品ばかりです。初版をそのまま復刻しているので、多少見にくいものもありますが、演奏にも十分使えます。また、フルートのパート譜にはこの曲集に登場する作曲家たちのプロフィールをはじめ、顔写真、関連する資料なども掲載されています。
なお、これらの曲の中で、現在、他社からも出版されているのはルフェーヴルの曲だけです。
(SR)

アンコールピースにいかがですか?

ドホナーニは1877年にスロバキアで生まれたハンガリー人の作曲家です。指揮者、ピアニストとしても活躍しました。 管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、ピアノ曲、歌劇、宗教曲とたくさんの曲を残しています。
今回ご紹介します曲、「アリア」は、ドホナーニの作風が色濃く出ている作品です。ドホナーニが生存している間には出版されませんでした。初めて聴くとつかみどころのない感じがするかもしれませんが、ピアノパートで同じリズムを刻んでいるのが印象的でハーモニーの移り変わりがとても美しい小品です。
【中級者向け】演奏時間:5分37秒(OU)

気軽に楽しむバレエ&オペラ

オペラに登場する美しいメロディーを、フルートで演奏してみたい!と思ったことはありませんか?そんな方におすすめの楽譜をご紹介します。豪華な表紙のこの楽譜には、名曲といわれるオペラのアリアが19曲収録されています。ほとんどが中音域で演奏できるようにアレンジされており、難しいリズムもありませんので、初級者の方でも演奏できると思います。上級者の方は、よりドラマティックに聞こえるようにさらにいろいろな表情をつけて演奏してみてはいかがでしょうか。華麗なるオペラの世界をお楽しみください。
(A)

表紙の写真を見てお分かりのとおり、こちらはバレエ音楽ばかりを集めためずらしい曲集です。ガイーヌからは「剣の舞」、くるみ割人形からは「葦笛の踊り」「花のワルツ」、また白鳥の湖の「4羽の白鳥の踊り」などなど、おなじみのバレエの名曲をフルートとピアノの編成でお楽しみいただけます。比較的やさしいので、初級、中級者でも演奏できます。
(A)

「痒いところに手が届く」曲集

「フルート教室の発表会のプログラムが年々マンネリ化…」「初心者〜中級者向けで、聴き映えのする曲は?」「センスの良い選曲をしたい!あまり有名ではない曲だけど綺麗な曲はありますか」
大変多いお問い合わせです。この曲集はいかがでしょうか。
ロマン派の大変耳馴染みが良い曲ばかりを選曲してあり、今日演奏会などで取り上げられることの少ないものがほとんどです。他の方と曲が重なりにくく、でも印象に残る曲をお探しの方や、従来の名曲集では物足りなくなってきた方などに特におすすめ致します。多くのニーズに応えられ、また幅広いシーンで活用できそうな曲集です。
第2巻もございます。商品ID:31630
(AN)

技巧的なタンゴ・ファンタジア

この曲集は、デンマークにゆかりのある作曲家作品を集めたものです。
表題の「タンゴ・ファンタジア」は、ヤコブ・ゲーゼの代表作である『ジェラシー』という名前で親しまれている作品をフルート用にアレンジしたものです。装飾あり、ヴァリエーションありで、派手に、そして情熱的に演奏して楽しんでください。
他に、ベッリーニのオペラ「ノルマ」のアリアを基にしたアンデルセンの「ノルマ幻想曲」、ノルウェー生まれの作曲家、ヨハン・スヴェンセンの「ロマンス 作品26」(原曲:ヴァイオリン曲)、デンマークの作曲家、ヨハン・ペーター・エミリウス・ハートマンの「プレリュード」が収録されています。
【上級者向け】 (B)

美しい日本の歌

ルイ・モイーズは、「フルートの神様」の異名で知られるマルセル・モイーズの息子です。優秀なフルート及びピアノ奏者で、教育者・作曲家としても晩年まで活躍しました。趣味の絵画も毎年展覧会を開くほどの腕前で、とても器用な方だったようです。
母(マルセルの妻)はフランス人と日本人のハーフでしたので、ルイは日本人のクォーターです。その関係かルイは日本の歌をモチーフにした変奏曲をいくつか作曲しており、今回ご紹介するのはその中から個性の異なる三曲を収めた曲集です。
「さくら変奏曲」は朗々と歌い上げたいおなじみのテーマと、ふわりと舞い上がり儚く舞い散る花弁を思わせる第一変奏、決然とした意志を感じる第二変奏から成る、幻想的で印象深い世界観の作品です。
「荒城の月変奏曲」はドラマティックな展開が演奏会向きの一曲で、どっしりと聞かせるテーマのあと、堂々としていて華のある第一変奏、粒立ちよく大切に吹きたい第二変奏が続く構成となっています。
最後は「茶摘変奏曲」。軽快なテーマに続き、うたう、はずむ、わらう、といったイメージの、キラキラしたものが詰まった第一変奏が楽しい気分を盛り上げます。第二変奏は青い田園風景の中、茶摘み娘たちがコロコロと笑っているかのような平和な雰囲気で、第三変奏はほどよい疾走感と清涼感がたっぷり、フレンチらしい洗練された空気に溢れています。
三つの歌はどれも私たち日本人にとって馴染み深いものですが、その素朴なメロディと新たな魅力が引き出された変奏との対比をお楽しみいただければと思います。
日本の歌は本当に美しいと、改めて感じられる曲集です。
(AN)

忘れられた佳曲集

このところ楽譜出版社では、自社でピースで出している楽譜をまとめて曲集として出版することが多くあり、これもそういったものの一つですが、他と違うのはすでに絶版になっている曲を集めている点です。
収められているのは、ハイドンを除けばほとんど19世紀後半に活躍したロマン派の作曲家の作品で、ブリチアルディ、チュルーやヴィドールなどフルーティストにはおなじみの作曲家のものもありますが、半数くらいの作曲家は名前も現在ではほとんど忘れられているようです。有名作曲家の作品も収録作品では現在はあまり知られていないものです。
中にはチュルーの曲のように、「グランド・ソロ」などと比べても遜色なく、なぜこれが絶版に、と思うようなものもあります。
どの曲もおそらく出版された当時はよく取り上げられた曲なのでしょう。
こういう形で出版されなければこのまま埋もれてしまったであろう、思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれません。宝の山に分け入ってみませんか。
  【中・上級者向け】(T)

歌えない人でもオペラが楽しめる一冊

オペラのアリアをフルート用にするのは、フルートは吹けても歌えないオペラ・ファンのためばかりではありません。多くの先生方が様々な教則本やレッスンでおっしゃるとおり、フルートだけではなく、楽器を演奏する人が身に着けるのが難しいとされる「歌い方」をマスターするため・・・などとそんな小難しいことを言わなくても、とにかく吹いて楽しい歌ばかり。この手の曲集は選曲が難しく、いくつも出ている割には、欲しかった曲が入っていなかったりして2冊、3冊と買ってしまうことにもなります。
この曲集は選曲にもこだわっています! 「闘牛士の歌」「誰も寝てはならぬ」「花から花へ」「私のお父さん」「私は鳥刺し」「乾杯の歌」「浅黒い顔で星を仰げば」「女心の歌」「恋とはどんなものかしら」「ジプシーの歌」。誰もが吹きたい曲ばかり。編曲は元の歌を大切に、洗練されたピアノ伴奏で、まさにフルートでアリアを歌うように演奏できます。オペラ好き必携、もちろんフルートで歌うことを学びたい方もです。
【初・中級者向け】 (SR)

秘めた輝きをフルートで

タイトル「人魚の涙」は宝石の「真珠」のことで、磨かずとも美しく輝く真珠のように、得難い美しさを秘めている作品を例えています。収録作品は、ピアノ作品やヴァイオリンのための作品を中心に取り上げており、これまでの曲集に収録されていない曲が多数あるため、新しいレパートリーをお探しの方におすすめです。どの作品も耳馴染みのいいメロディと美しく抒情的なフレーズが印象的で、アンコールや発表会、練習の合間など様々な場面で演奏できそうです。
編曲・編集は、インターナショナル・フリードリヒ・クーラウ協会会長の石原利矩氏です。石原氏がフルート以外の知られざる曲に巡り合い、フルートで吹いたらどんな音楽になるだろう、と思うたびにそれらの曲を編曲し、発表会や講習で活用されてきました。 この曲集のもう一つの特徴は、各巻に、クーラウの作品が収録されていること。また、第1巻から第6巻に分散して、「ルル組曲」が掲載されることです。現在、第3巻まで出版され、第4巻以降の出版も待たれます。巻頭には、石原氏による解説付き、演奏の音源もYouTubeチャンネルで紹介されています。
【中級者向け】 (TO)

ミュージカルがお好きな方へ

大人気の全音の“フルートで奏でる”シリーズから、待望のミュージカル編が出版されました。
ミュージカルの名曲を集めた楽譜は数多くありますが、これまでフルートとピアノの編曲では出ていなかった作品、ウィキッドより『自由を求めて』、マイ・フェア・レディより『踊り明かそう』、マンマ・ミーアより『ダンシング・クイーン』、コーラスラインより『ONE』といった作品も収録されており、他の楽譜では満足できなかった方へおすすめしたい一冊です。
今回も同シリーズでおなじみの編曲者たちによって上品にアレンジされているため、フォーマルな演奏会でもプログラムに取り入れることができそうです。
ピアニストが近くにいないという方や、ピアノと合わせる前に自身で雰囲気を掴んでおきたいという方にも安心のピアノ伴奏CD付きです。
是非、名場面を思い出しながら演奏してみてください。
【初・中級者向け】 (HS)
作曲家A-G/作曲家H-N/作曲家O-Z/その他/